2020年6月11日の株価急落とボラティリティの変化を見る
感染者数の動向にサプライズ感
昨日6月11日は、新型コロナウイルスCOVID-19の第2波に対する懸念から、日米共に株式市場は急落した。NASDAQ総合指数が前日に史上初に10,000pts乗せを達成するなど、市場には楽観ムードが拡がっていたが、米国のCOVID-19新規感染者数累計が200万人を超えるという話に、市場は驚いたとコメントされている。
これについては、かなり後付け的な理由付けのようが気がしてならない。今朝更新した「世界の新型コロナウイルス感染動向・国別データの分析」を見て頂いてい方になら明らかな通り、確かに200万人を超えて201.5万人となったが、1日の新規感染者数の増加としては+20,380人と言い方は悪いが全くの巡航速度だ。そこに加速する兆候は、この段階では見られない。世界全体で見ても、数値上はいつも通りの中南米と中東、ロシアなどの増加ペースだ。純粋に朝方発表された6月6日終了週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)がまだ高水準にあることなどを受けて、冷や水が注がれた感じでは無いだろうか?少なくとも、感染者数の動向にサプライズ感は生じていない。
日米株式市場共にボラティリティは急上昇した
いつもお見せしている株価とボラティリティのチャートをアップデートしたので御覧に入れる。最初が日経平均株価とインプライド・ボラティリティ、次がS&P500種とVIX指数(恐怖指数)のチャートだ。
当然下落率が日経平均株価が△2.82%に対して、S&P500種が△5.89%と2倍以上になるので、米国市場の方が株価とボラティリティの負の相関具合は綺麗に表れている。実はボラティリティの上昇を伴ってのこうした下落は、楽観ムードが拡がっている時などに起こる「ヘルシーな下げ」と捉えることが出来る。良くない下げの時は、ボラティリティの上昇を伴わずにダラダラと株価だけが低下する。別な言い方をすれば、「潔い下げ」とも言える。
またこの下げでVIX指数は40.79(+13.22)まで上昇した。この水準はこの3年間の間でも充分に高いと言える。短期的な調整はあるかも知れないが、このまま3月下旬の水準を追い越していくほどの力は余程の事が無い限り難しいと思われる。