はじめに
株式投資で失敗しない銘柄選択法があれば、と考えたことはありませんか?
また、株式投資で高値掴みや底値売りをしてしまったり、塩漬けになってしまったりした経験はありませんか?
この記事では、私の投資手法である「技術ロードマップ投資法」を紹介します。株式投資にご興味がある方のご参考になれば幸いです。
この方法を上手に使い投資基準を明確にすることができれば、高値掴みや底値売り、塩漬けをかなり回避できるようになると思います。
プレミアム会員限定記事では、私が株主になりたいと思う10の企業(日米各5社)を例に挙げ、より詳細に技術ロードマップと投資をどう結び付けていくかを解説しているのでご興味がある方は是非、プレミアム会員にご登録ください。
「技術ロードマップ」を意識することによって、現役のファンドマネージャー時代に日経平均を大きく上回るパフォーマンスを上げることができました。また、誰でも知っている大型株で小型株ファンドのパフォーマンスに伍す成果を上げることもできました。
過去10年のスマホの時代から5G、AI、自動運転、エッジコンピューティングなどの新しい技術活用の時代に変わる今、有効性が高い株式投資手法であると考えています。
技術ロードマップ投資法とは
技術ロードマップ投資法を一言で表すと以下のようになります。
技術の進歩発展は、一足飛びにジャンプはしないが、後戻りもしない。そして人間の欲望を満たすために、一歩ずつかならず前にも進む。その流れの真ん中にいればいるほど収益も上がる。それを探して投資する方法。
技術ロードマップ投資法は以下のようなメリットがあります。
メリット1 企業の大きな成長ステージを享受できる
大きな値上がりを得るためには小型株から銘柄選びをする方も多いのではないでしょうか?なぜ小型株を選好されるのでしょうか?
こんなことを考えたことはありませんか?
「こんな小さな会社で出来ることが、なぜ、研究開発費も優秀な人材も豊富にいる大手企業で出来ないのか?」という素朴な疑問です。資金も人材も豊富ならば、基本的な優位性は大手企業にある筈です。私は常にこういう視点を大切にしています。
日本と米国の違い、それはシリコンバレーにはスタンフォード大学があり、ボストンにはマサチューセッツ工科大学があるということです。
一番の大きな違いは産学協同のレベルの違いです。だから米国ではベンチャー企業から大きな芽が出ることが良くあります。でも、日本の場合はどうでしょうか?
残念ながら、予算的にも、あらゆる面で産学協同は弱いと言わざるを得ません。だから日本のベンチャー企業と米国のそれとは、そもそも育つ土壌が違うと言わざるを得ません。
米国では産学協同の中で、大手企業が手を出し難いニッチな部分は、ベンチャー企業がまず担い、それが上手く出来たらIPOをするなり、大手が買収したりするという流れがあります。だから米国ではベンチャーが盛んです。
しかし日本ではどうでしょうか?産学協同の繋がりが薄いこの国で大手企業が自ら手を出さない分野は、そう簡単にソロバン勘定が合わないと判断されている場合が多いのです。
東証マザーズに2004年に上場した「シコー株式会社」(旧シコー技研)というのがありました。同社は携帯電話やスマホに搭載する小型カメラの自動焦点用モーターを手掛ける会社でしたが、アップルの仕様変更に伴い2012年8月には民事再生法を申請するに至りました。
同社は携帯電話のマナーモード用のバイブレータ―用小型振動モーターを開発した事でも有名です。しかし、2012年初め、この小型カメラの自動焦点用モーターに商機ありと踏んだシャープが光学式手振れ補正機能搭載のCMOCカメラモジュールを開発して来ます。今でもシャープがこの部分は担っている筈です。
このように小型株は外部変化に弱い一面もあり、中には何分の1の値段になりかなりの長期に渡り報われない場合が多いのも事実です。
企業規模の大小にかかわらず、新しい技術がビジネスと結びついた時に企業は大きく飛躍し、たとえそれが大企業であっても大きく値上がりをすることがあります。京都の電子部品メーカー、村田製作所やローム、そして日本電産などがその好例でしょう。
小型株の中からお宝を探しあてるのも株式投資の醍醐味だと思いますが、前述したようなリスクが沢山潜んでいるのも事実です。特にアーリーステージの新技術にはよくあります。
一方で、よく知っている大企業の株であっても前述企業群のように、技術トレンドに乗って大きな値上がりを得ることができるのであればより安心して投資ができるのではないでしょうか。
メリット2 保有継続・売りの判断基準が明確
技術ロードマップ投資法では、売り・買いの判断が明確になります。今後技術がどのような方向に進んでいって、それによってどのようなビジネストレンドができてくるのかが投資の着眼点です。前述のように技術は基本的に後退することはありません。
人間の欲を満たすために日々一歩ずつ前進していきます。●●危機、××ショックのような時にはその影響を受け値下がりすることがありますが、技術の進歩と人間の欲は危機やショックを乗り越えて続いていきます。
これらの着眼点をノートに記入し、当該企業、関連する技術やビジネストレンドに関連するニュース、四半期ごとの決算を確認しエントリーノートと照らし合わせることで周囲の雑音に左右されずに投資判断をすることができます。
メリット3 買値を選ばない
株を買うときは安く買いたい。誰しもがそう考えるのではないでしょうか?
狙っていた株が安くなってきた。もう少し下がったら、と見ていたらそれが底値で結局買えなかった、とか押し目を待っていたが値上りが継続し、我慢しきれずに買いをいれたらそれが高値だった、という経験はありませんか?
目先の株価の動きを予想することは難しいことです。
技術ロードマップ投資法であれば、今後相当の期間継続するであろう技術とビジネスのトレンドに着目しますので、目先のあまり細かい値段を気にする必要はありません。
技術ロードマップ投資法の実際
過去の事例
典型的な事例のひとつは携帯電話の歴史です。本体を肩に掛けて使う時代が終わっても、初期の携帯電話は小型の鉄アレイほどの重みがあります。それが10年掛けて10分の1以下の重さまで軽量化されます。
通話機能があるという事以外、殆ど機能に差は無いですが、兎に角小型軽量化/省電力化というニーズの下に、技術開発が進みます。大きな技術進歩は、バッテリーの小型化、電子部品の小型化、半導体の微細化や実装方法の変化などにありました。
しかし、充分に小さくなると、今度は人間の欲望は通話以外の機能に向かいます。着信音が3和音LSIの登場で「着メロ」へと変化していきます。CPUの能力拡充もそれを後押しします。
2005年頃の携帯電話のCPUは処理能力は90年代終わりの頃のパソコンに匹敵します。そしてタッチパネルの進化などがスマホの登場を促しました。最後の流れの中でのビッグプレイヤーは、ご存知のアップル社です。またたくさんの日本企業も恩恵を受けました。3和音LSIはロームが開発しました。
技術ロードマップ投資法の注意点
アメリカの情報を見に行く
残念ながら、新技術が誕生するのは米国が中心になることが多いです。
それは前述したように産学協同が上手くワークしていることであり、一度訪れてみれば分かりますが、シリコンバレーの人を吸い寄せる魅力です。インドやイスラエルから多くの人材が働きに来ています。
ワンクッション、ツークッション置いた情報を元に投資判断をするのではなく、現地からの生の情報を入手することです。IT革命初期の頃と違い、今は各企業がWebで開示している情報が格段に充実しています。
例えば、同じ半導体について日本では「世界半導体30カ月ぶり減 データ「特需」失速 」(日本経済新聞 2019/3/30)と報じられている一方、GPUの最先端は下記の状況になっています。どちらを投資判断の材料にするかは人それぞれだと思いますが、少なくとも両方の状況を確認したうえで判断をしたほうがよいのは間違いないでしょう。
技術評価が必要
本当に有意義な技術かどうか、それがボトルネックのブレークスルーを達成する技術かどうかを見極められるかどうかが、ひとつの成功のポイントになります。
その為には
- 今はどっちの方向に向かっているのか
- 何がボトルネックになっているのか調べる
- 本当にそれが問題を解決する内容なのかどうかを確認する
の3ステップです。
決して難しい話ではありません。数日間で物語が動くものではないので、関連企業のWebサイトを見たり、業界メディアのニュースやコラムを読んだりしていれば、段々色んなものが見えてくる筈です(Facebookの記事が役立ちます。米国企業・メディアのFacebook記事に簡単な解説をつけて投稿していますので、Fund GarageのFacebook ページをフォローしてみてください)。
ビジネストレンドになることの見極め
もうひとつ肝心なのは、それが本当にビジネストレンドとなるかどうかです。
でも安心してください。それを一番よく知っているのはあなた自身です。携帯電話の進化の図を見て頂けば一目瞭然、その進化はあなた自身の欲望と合致している筈です。
今、スマホに何を求めますか?
90年代に携帯電話に何を求めますかと問えば、誰もが「もっと軽くなって欲しい」と言いました。
J-Phone(今のSoftbank)が携帯に初めてカメラを搭載した時、当時のドコモの社長は「携帯電話にカメラなど要らない」と言い切りましたが、誰もが欲しがり「写メ」という文化が出来上がりゆく中で、慌てて方向転換していました。
それがニーズです。
今のスマホ、私はiPhoneXを使っていますが、新機能を見ても敢えて飛びついて欲しいとは思いません。多くの人がそう思ってしまったが故、このビジネストレンドは終わったか、或いは完全に今は足踏みしています。
ブレークスルーは5Gが何を消費者に提供するかでしょう。5Gのサービスを見た時、これは新しいのが欲しいな、と思ったらスマホのビジネストレンドは再開したということです。5G自体は、スマホとは関係なく進む筈です。
まとめ(結論)
このように「技術ロードマップ投資法」は、技術は一足飛びに進化しない、技術は後退しない、人間は便利や快適に対する欲がある、という普遍的な特徴に着目した銘柄選択法です。
従って、バブル崩壊やリーマンショックのような大きなマーケット調整も乗り越えていける可能性が高い投資法であると考えています。
Premiun会員限定記事では、このような観点から着目した日米各5銘柄についての解説や情報アップデートをしています。投資の判断材料に是非ご活用ください。