国際分散投資シミュレーション 2022年7月末

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ポートフォリオの概況

2022年7月の月間パフォーマンス

「リスク中程度のモデル・ポートフォリオ」の2022年7月末までのパフォーマンスは、ドルベースのポートフォリオで設定来が月末194.14%(設定来年率4.42%複利)と6月末からは回復してきました。2022年年初来のパフォーマンスは絶対値でマイナス13.16%、そして2021年年初来のパフォーマンスも絶対値でマイナス3.19%とマイナス・リターンは3カ月目となりました。一方、円換算ベース・ポートフォリオは7月末時点で218.91%、2022年年初来のパフォーマンスは絶対値でプラス0.48%とマイナスを脱出、ただ円高の影響が若干足を引っ張っています。2021年年初来のパフォーマンスはプラス24.44%と好調です。

前述通り、オリジナルのドル・ベースのポートフォリオと、円換算したポートフォリオのパフォーマンス差は当然為替差損益が要因。7月末時点のドル円は133円00銭と5月末時点の136.63円より2.66%の円高となりました。

外貨建ての投資商品と為替ヘッジ付きの投資商品、そのどちらを選ぶべきかと悩まれる人は多いです。ただ為替の決定要因、つまり為替の変動要因は常にプレミアム・レポートなどでお伝えしている通り、決して一般に思われている程「ロジカル(論理的)」なものではありません。基本的には通貨交換のための需給要因、そして足元ではやはり投機的な理由によるものが強いです。購買力平価や金利差で説明が多く試みられ、更にはテクニカル要因が重視されているかに思われがちですが、実際の動きを振り替えると需給要因で動いていると言っても過言では無いです。一方で国際分散投資が目指す「地球規模の経済成長を享受する」という考え方は理に適っており、為替ヘッジのありなしの選択は投資家の投資ポリシーに依存すると思われます。

単月のパフォーマンスはドルベースのオリジナル・ポートフォリオが+4.05%、円換算ベースのポートフォリオは円安が貢献してプラス1.28%となります

7月は新興国株式とコモディティを除いて全てのアセットクラスの騰落率がプラスとなりました。先進国株式は+5.33%、不動産が+7.20%です。加えて金利低下の影響で先進国国債が+2.67%、投資適格債が+4.20%、ハイイールド・新興国債券が+3.95%となります。一方、新興国株式は△1.10%、コモディティも△3.20%とマイナスです。

インフレ、物価高という単語が多くのメディアなどで飛び交いますが、商品相場は6月にピークアウトしています。原油価格も6月は確かにWTIで120ドル代をつけていますが、7月は90ドル台と殆ど連日続いています。小麦などの穀物も同様、インフレの要因は人件費高によるものが大きいかと思われます。

前回もお伝えしましたが、時々「分散投資をしているのだからなぜトータルでマイナスになるのか?」と考えられる人もいらっしゃいますが、当然にしてある期間損益がマイナスになることは起こり得ます。単純に考えて、「国際分散投資」が狙うものが「世界経済の地球規模での拡大」とするならば、足許の状況は世界のGDP成長率が想定よりも減速していることを織り込んでいると言えるでしょう。時速60キロで巡航走行していたものが、諸々の障害物が出てきたことで、ブレーキを踏みつつ徐行運転しているというイメージでしょうか。当然ブレーキを踏んで減速する時は「マイナスG」を感じますよね。それと同じです。

そしてとても重要なことは、その渦中に居る時は減速徐行期間がいつまで続くか分からず、不安が膨らみやすいということです。例えば6月末時点の時のように、騰落率が2カ月連続でマイナスになったりすると、投資家のフラストレーションもかなり高いレベルで溜まってしまいます。ただ7月は反転しました。

投資を止めようかと思われる方、或いは実際に止められた方、どちらもいらっしゃると思います。何となく続けられた方も含めて、今はどうお考えでしょうか。実は正解は無いと思っています。投資に対する考え方、投資特性などは人それぞれ違うからです。ただ市場のことが気になって気になって仕方がないとうような状況は、本来避けた方が良いのかも知れません。

常に冷静な判断が出来る状態、ストレスの源にはならない程度のリスクの取り方、それが一番大切です。きっと結果的に「良い投資」が出来る筈ですから。

国際分散投資が目指しているものを思い出す

一方で国際分散投資とは前述の通り「世界経済の地球規模での拡大」を享受することを企図して設計されたポートフォリオです。このポートフォリオは「リスク中程度」に設定され、ボラティリティもマイルドにしてあります。つまり、投資家が考えるべきは「世界経済の地球規模での拡大」がこの先どうなると考えるかです。そして足元ではどうなっているかです。ただ一つ確実に言えることは、数多の世界経済の危機の歴史を乗り越えながらも「国際分散投資」は果実を納めてきたということです。時として1年以上の長きに亘って「辛抱」の時もありますが、最終的にはそれらをすべて克服してきています。

プレミアム・レポートでは予てから国際分散投資に限らず、米国で40年に亘って続いてきた金利低下の歴史が塗り替わる中で、多くのことが「転換点」を迎えているとお伝えしています。例えば、これからも今まで通り「債券」は「安定」とか、「安全」という表現が可能なのかという問い掛けです。毎週、イールドカーブの形状変化をみながら、利上げの影響を米国債券市場では実際にどのように考えているのかなどをこのところは重点的に注目しています。

そしてもうひとつは、やはり「新型コロナのパンデミック」は世界的に人間の生活慣習を根本から大きく変えたのだろうという視点です。だからこそ、多くの従来型経済予測モデルが先々を正確に予想出来ずにいるということです。同じようなことが2000年のITバブルの前後にありました。その背景にあったものこそが「右肩上がりのビジネス・トレンド」です。さて、それが現在ではどんなものでしょうか?

Fund GarageのモデルポートフォリオはSAA型(戦略的アセットアロケーション)ですので年に一度はアセットアロケーションの見直しを行います。

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ファンドガレージ 大島和隆

Fund Garageへようこそ。主宰の大島和隆です。投資で納得がいく成果を得る最良の方法は、自分自身である程度「中身の評価」や「モノの良し悪し」を判断が出来るところから始めることです。その為にも、まず身近なところから始めましょう。投資で勝つには「急がば回れ」です。Fund Garageはその為に、私の経験に基づいて、ご自身の知見の活かし方などもお伝えしていきます。