国際分散投資シミュレーション 2022年6月末

Facebook
Twitter
INDEX

ポートフォリオの概況

2022年6月の月間パフォーマンス

「リスク中程度のモデル・ポートフォリオ」の2022年6月末までのパフォーマンスは、ドルベースのポートフォリオで設定来が月末186.59%(設定来年率4.63%複利)と5月末よりも悪化しました。2022年年初来のパフォーマンスは絶対値でマイナス16.54%、そして2021年年初来のパフォーマンスも絶対値でマイナス6.95%とマイナス・リターンが2カ月目となりました。一方、円換算ベース・ポートフォリオも6月末時点で216.14%、2022年年初来のパフォーマンスは絶対値でマイナス0.79%と前月同様ですが、これは足元で進む円安による円換算メリットによるものです。おかげで2021年年初来のパフォーマンスはプラス22.87%と好調維持です。円安は悪いものと思われがちですが、少なくともこうした投資家にとってはポジティブなものです。

前述通り、オリジナルのドル・ベースのポートフォリオと、円換算したポートフォリオのパフォーマンス差は当然為替差損益が要因。6月末時点のドル円は136.63円と5月末時点の128.20円よりは6.58%の円安となりました。

外貨建ての投資商品と為替ヘッジ付きの投資商品、そのどちらを選ぶべきかと悩まれる人は多いです。ただ為替の決定要因、つまり為替の変動要因は常にプレミアム・レポートなどでお伝えしている通り、決して一般に思われている程「ロジカル(論理的)」なものではありません。基本的には通貨交換のための需給要因、そして足元ではやはり投機的な理由によるものが強いです。購買力平価や金利差で説明が多く試みられ、更にはテクニカル要因が重視されているかに思われがちですが、実際の動きを振り替えると需給要因で動いていると言っても過言では無いです。一方で国際分散投資が目指す「地球規模の経済成長を享受する」という考え方は理に適っており、為替ヘッジのありなしの選択は投資家の投資ポリシーに依存すると思われます。

単月のパフォーマンスはドルベースのオリジナル・ポートフォリオが△6.45%、円換算ベースのポートフォリオは円安が貢献してマイナス△0.30%に留まっています。

6月は全てのアセットクラスの騰落率がマイナスになりました。中でも先進国株式は△8.43%と大きく落ち込み、新興国株式も△6.84%と厳しい状況でした。また先進国国債もマイナスで△2.20%、投資適格債も△4.22%、ハイイールド・新興国債券も△6.84%とクレジットリスクが上がる程に下落率も大きくなりました。更に6月はコモディティが△6.57%、不動産も△7.08です。つまり全滅です。短期金融商品さえ△0.12%ですから。

時々「分散投資をしているのだからなぜトータルでマイナスになるのか?」と考えられる人もいらっしゃいますが、当然にしてマイナスになることは起こり得ます。単純に考えて、「国際分散投資」が狙うものが「世界経済の地球規模での拡大」とするならば、足許の状況は世界のGDP成長率が想定よりも減速していることを織り込んでいると言えるでしょう。時速60キロで巡航走行していたものが、諸々の障害物が出てきたことで、ブレーキを踏みつつ徐行運転しているというイメージでしょうか。当然ブレーキを踏んで減速する時は「マイナスG」を感じますよね。それと同じです。

そしてとても重要なことは、その渦中に居る時は減速徐行期間がいつまで続くか分からず、例えば今回のように昨年2021年の年初来からの騰落率も2カ月連続でマイナスになったりすると、投資家のフラストレーションがかなり高いレベルで溜まってしまうということです。投資を止めようとさえ思われる方が沢山でてくるのもこんな時です。試されるのは投資家の投資ポリシー、もっと言えば胆力です。ただチャートが厳然とお示ししているように、設定来のパフォーマンスはリーマン・ショックなども挟みつつも今なお186.59%(年率複利4.63%)にもなります。但し、この実績は未来を保証はしません。単なる歴史とも言えます。

国際分散投資が目指しているものを思い出す

一方で国際分散投資とは前述の通り「世界経済の地球規模での拡大」を享受することを企図して設計されたポートフォリオです。このポートフォリオは「リスク中程度」に設定され、ボラティリティもマイルドにしてあります。つまり、投資家が考えるべきは「世界経済の地球規模での拡大」がこの先どうなると考えるかです。そして足元ではどうなっているかです。ただ一つ確実に言えることは、数多の世界経済の危機の歴史を乗り越えながらも「国際分散投資」は果実を納めてきたということです。時として1年以上の長きに亘って「辛抱」の時もありますが、最終的にはそれらをすべて克服してきています。

プレミアム・レポートでは予てから国際分散投資に限らず、米国で40年に亘って続いてきた金利低下の歴史が塗り替わる中で、多くのことが「転換点」を迎えているとお伝えしています。例えば、これからも今まで通り「債券」は「安定」とか、「安全」という表現が可能なのかという問い掛けです。毎週、イールドカーブの形状変化をみながら、利上げの影響を米国債券市場では実際にどのように考えているのかなどをこのところは重点的に注目しています。

そしてもうひとつは、やはり「新型コロナのパンデミック」は世界的に人間の生活慣習を根本から大きく変えたのだろうという視点です。だからこそ、多くの従来型経済予測モデルが先々を正確に予想出来ずにいるということです。同じようなことが2000年のITバブルの前後にありました。その背景にあったものこそが「右肩上がりのビジネス・トレンド」です。さて、それが現在ではどんなものでしょうか?

Fund GarageのモデルポートフォリオはSAA型(戦略的アセットアロケーション)ですので年に一度はアセットアロケーションの見直しを行います。

無料のニュースレターに登録しませんか?

ウェブサイトに掲載した旬な話題を随時お送りします

ファンドガレージ 大島和隆

Fund Garageへようこそ。主宰の大島和隆です。投資で納得がいく成果を得る最良の方法は、自分自身である程度「中身の評価」や「モノの良し悪し」を判断が出来るところから始めることです。その為にも、まず身近なところから始めましょう。投資で勝つには「急がば回れ」です。Fund Garageはその為に、私の経験に基づいて、ご自身の知見の活かし方などもお伝えしていきます。