FG Free Report リアルタイムで楽しむFOMC(12月18日号抜粋)

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米国FOMC(連邦公開市場委員会)は、年に8回開催される米国金融政策を決定する会合です。これは、日本の日銀金融政策決定会合に相当します。日本にいながら現地時間に合わせてFOMCを追う人は少ないかもしれませんが、リアルタイムでしか得られない発見があるのも事実です。

今回は、そんなリアルタイムで見るFOMCの面白さについて、図解を用いながらプロのファンドマネージャーがお教えします。

投資での資産形成をお考えの方も、既に投資を始められている方も、ご自身の知識と照らし合わせながらご覧ください。

(Fund Garage編集部)

FOMCを楽しみましたか?

2023年最後のFOMC

米国では12月14日、年内最後のFOMCが行われ、結果として今回も利上げは見送られた。更に、3カ月毎に発表される経済見通し(ドットチャート)についても、概ね市場が想定していた通りの内容となった。

しかし、折角市場がFOMCの結果を好感して安堵しているところで残念ではあるが、現状の市場は楽観し過ぎと言え、早晩この巻き戻しは必ず起きるだろう

実際に、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は翌15日の経済専門局CNBCとのインタビューで、「金融当局の関心事はインフレ率を2%に下げるために金融政策が十分に景気抑制的かどうかであり、金利を3月にも引き下げることを考え始めるのは早過ぎる」と述べた。

また同日、アトランタ連銀のボスティック総裁はロイター通信とのインタビューで、来年2回の利下げを予想したが、始まるのは第3四半期になるとの見方を示している。

肝心のパウエル議長はというと、FOMC会合後の記者会見で、「物価上昇圧力が再び台頭しないようにするため、追加利上げの選択肢を外す用意はない」とコメントしている。

リアルタイムでFOMCを楽しんでみる

幸い今回のFOMCは、プレスリリースの内容と、その後にあるパウエル議長の記者会見の内容との認識の相違から、市場が慌てるということはなかった。

しかし、プレスリリースの文字情報だけでは伝わり切らないFOMCの本意を記者会見で耳にして、市場が大慌てすることはよくある。少なくとも、2023年は殆どのFOMCがそうなっていた。

だからみなさんにもぜひ一度、リアルタイムでご自身の目でFOMCをご覧になってほしいのだ。

この記者会見におけるパウエル議長の一言一句、それに対して市場がどう反応するのかを知ること。それこそ、何が起きると世界経済の中心であるアメリカ市場はどのように反応するのか、という皆さんだけの知識・財産に他ならないからだ。日本で後からニュースを見ているだけではこれはわからない。

夏時間の間は、時差が更に1時間ズレることもあり、NY時間の午後2時は日本時間の午前3時となってしまうので、かなりマニアックな人でもない限り、これをリアルタイムで追う人はいないだろう。私が知っている限り、日本の現役金融マンでも殆どいない。だからこそ、基本的にはそんなことは私のような専門家に任せて、要点だけあとから把握されれば良い。

ただ冬時間の間は、それが午前4時に変わるので、あながち無理な起床時間とも言えなくはない(もちろん、それでもかなりマニアックではある)。

では、実際には何をどんな手順ですれば良いのか。説明していこう。

まずはNY時間の午後2時、日本の午前4時になるとFRBのWebページにプレスリリースとして、下記のようなものが発表されるので、これを入手してみることから始める。下記の図はブラウザの翻訳機能によって、それを瞬時に和訳したものだ。これなら、誰にだって簡単に内容を理解することが可能である。

基本的な情報はまずここで把握される。ただ、このプレスリリースに関する記者会見をFRB議長が行い、記者たちから行間の意味合いについて質問がなされ、それを議長が答えているうちに、当初のプレスリリースから伝わるトーンと、FOMCの本意が乖離していることに市場が気づくことがある。先にお伝えしたとおり、2023年は12月以外のほとんどがそうだった。

また、3月・6月・9月・12月の各FOMC時には、ドットチャート(詳しい解説は無料記事「ファンダメンタルズに注目して投資判断をする」を参照)も発表されるので、この内容チェックも怠らないようにしないとならない。まずは文字情報からだけで、掴めることを確りと把握する。

プレスリリースの30分後、NY時間の午後2時半、日本の午前4時半になると、「News&Event」のタブの下にある「Video」の中にある「FOMC Press Conferences」のところに、このような画面が掲示される。この左側のパウエル議長の顔のところでダブルクリックすれば、記者会見のLIVE放送をリアルタイムで視聴することができる。

ここからが非常に面白い。その時々の議長の発言によって、市場がどう動くかを観察できるからだ。

下の画像は、Bloombergの米国版でリアルタイムで報じられている記者会見と、それらに関わるニュースである。

  • 左上の小窓には議長の顔と、この時は10年債利回りの日中足が映し出されている。金利が急低下していることが即座に分かる。
  • その下には、「Breaking News」としてパウエル議長が「Inflation has erased but still too high(インフレは沈静化してきているが、まだとても高い)」と発言したことが報じられている。
  • 画面の右端では、上からNYダウ、S&P500そしてNASDAQの動きが、日中足と共に示されている。

私はスクリーンを常時2枚利用しているので、下記のように、上にあるスクリーンの方にFRB自身がWebサイトで中継しているリアルタイムの記者会見を映し出しながら、もう1枚のスクリーンにこのBloombergなどのニュースを映して、状況を見極めながら楽しんでいる。

例えば、下の写真を見てほしい。この女性記者の質問に対して、パウエル議長の発言をピックアップした「Breaking News」が表示され、この時は「今日のFOMCで利上げ開始時期について議論をした」とパウエル議長がコメントしたことが報じられている。

その結果、先程よりも各市場がアップビートになったことが右側の図で確認できる。例えばNASDAQは、上段では未だ+99.54だが、下段では+165.59になっていることが分かる。市場の好感がリアルタイムで見て取れる。

 

結果として、今回のFOMCを受け3市場の株価は揃って、現地時間午後2時から上昇したことが分かる。

後からFOMCの結果だけを確認するよりも、こうやって細かい株価や債券の動きを追うことで、瞬間瞬間の市場の反応を確かめられる。その面白さを、投資家の皆さまにはぜひ感じていただきたい。

まとめ

以上、今回はFOMCの楽しみ方をお伝えしたが、いかがだっただろうか。

もしプレミアム会員の方々が、実際に米国のFOMC開催時に早起きして、ご自身でリアルタイムのFOMCに対する市場反応を楽しまれるようになったら、正直私の商売は上がったりになってしまうだろう。

それでも今回このような記事を書いたのは、他のメディアが情報を加工して報じる前に、一度はご自身でリアルタイムの面白みを味わってもらいたいという思いがあるからだ。

ただ、そうしたことを代わりに私が行って、必要な情報を選択してお届けするというのが、このレポートの重要な使命のひとつと考えてもいる。ぜひ、プレミアムレポートもご活用いただきたい。

編集部後記

こちらは、Fund Garageプレミアム会員専用の「プレミアム・レポート」の再編集版記事です。
公開から半年以上経った記事になりますので、現在の情勢とは異なる部分がございます当時の市場の空気と、普遍的な知見の皆様にお届けできれば幸いです。
また、こちらは無料版記事のため、最新の情報個別企業の解説についてはカットしております。
<FG Free Report では割愛>となっている箇所に関心をお持ちになられた方は、是非、下記ご案内よりプレミアム会員にお申し込みください。

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ファンドガレージ 大島和隆

Fund Garageへようこそ。主宰の大島和隆です。投資で納得がいく成果を得る最良の方法は、自分自身である程度「中身の評価」や「モノの良し悪し」を判断が出来るところから始めることです。その為にも、まず身近なところから始めましょう。投資で勝つには「急がば回れ」です。Fund Garageはその為に、私の経験に基づいて、ご自身の知見の活かし方などもお伝えしていきます。