ファンドマネージャーとして身に着けた私の投資方針
最初に一枚の図を見て頂きたい。これこそが私が長年ファンドマネージャーとして運用をしながら、その試行錯誤の中で最終的に辿り着いた投資方針、その基本的な考え方だ。
きっと誰もがこんな経験をしたことがあるだろう。
- 人気銘柄に飛びついて高値を掴み。その後株価は大幅下落、そして長期の塩漬けに
- 値下がりを待ち、満を持してやっと買ったが、株価はそこからさらに下落
- これは、と思う銘柄。押し目を待てど、そのままスルスルと上昇。もうとても買えない値段に感じたが株価はさらに上昇
- 塩漬けから回復しようやく買値近辺に。やれやれと手放したらそこから更に上昇が加速
こんな経験を全くしたことが無い投資家は少ないだろうし、誰しもが多かれ少なかれこれに似た経験をしている筈だ。そうでない人にはFund Garage の価値は半減してしまう。
株価が一本調子で上昇することは、残念ながら有り得ない。良い時もあれば、悪い時もある。日経平均のような指数でも個別株でも同様である。
そんな中、株式投資で利益を上げるためには2つの方法があると考える。
- ドンピシャリのタイミングで買う(売る)
- 購入後、仮に値下がりがあっても時間軸の中で大きな利益を生み出す可能性がある銘柄を買う
残念ながら私は1. の投資方法を知らない。そんな天才的な天賦の才を持った投資家ではない。そうであれば、多少タイミングがずれても、或いは買うタイミングとは関係なく利益を出せる投資方法を取らなければいけない。
もっと言えば、仮にリーマン・ショックのような大暴落があっても自信を持って持ち続けることができる銘柄、売られたところを喜んで買い増ししたくなる銘柄を買う、ということだ。
私はそれを「技術ロードマップの上にあるビジネストレンドの恩恵を大きく受ける銘柄」と定義している。私の銘柄を見る着眼点はすべてこれが基準だ。
20年以上見てきたアマゾン(AMZN)が証明するもの
1997年5月15日にナスダックに上場したアマゾン(AMZN)のIPO価格は僅か18ドル。その後3回の株式分割があり、換算すると1.5ドル相当になった。現在の価格は1855ドルなので、「1855÷1.5≒1237」となり、最初に1000ドル投資していれば、現在約1.2百万ドルになっている。
ITバブルが崩壊しようが、NYのワールドトレードセンターに旅客機が突っ込もうが、湾岸戦争が起ころうが、リーマン・ショックを迎えようが、右肩上がりのビジネストレンドのメインプレーヤーはまず間違いなくトレンド線上に回帰する。
1997年にアマゾンがIPOをした時からこの方、どんな時ならe-commerceの中心にいるアマゾンのビジネス自体が衰退すると感じただろうか?
私はこの約20年間、ずっとアマゾンのヘビーユーザーでもあるし、楽天投信の社長として楽天在籍時も、楽天本社ビル内に「打倒アマゾン」の標語が飾られているのを見ながら、「かなり手強いのでは」と常に感じていた。
一方、このアマゾンの例を引き合いに出して「だから、長期投資をしましょう!」と言う人が居る。だから「長期投資がお薦めです」としたり顔の人が居る。だがはっきり言っておこう。普通の投資家にそれは絶対に無理だ。もし、そんな長期投資が出来るのなら、それを説く人はもうとっくに仕事などしていない筈だ。
ジェフベソズ氏が最初からずっとアマゾンの株を持ったままでいられたのは、はっきり言ってオーナーだからだ。オーナーだからこそ持ち株を売るに売れない立場だからこそ、この間、ずっと持ち続けることが出来た筈だ。それでも当然時々一部売却している。
ファンドマネージャーならどこまで長期投資が出来るか?
実際私もファンドマネージャーとして、ほぼほぼ当初のIPOの段階からファンドで投資をしていたが、正直言って、何度も出たり入ったりしたのは事実だ。ずっと投資したままではいられなかった。
一番の理由は、ファンドマネージャーにはファンドの投資家への説明責任があるからだ。どんなに右肩上がりのビジネストレンドを信じていようとも、時に突き付けられた評価損率を前に「絶対に戻りますから大丈夫です」と胸を張って言う事は出来なかったからだ。
ならば、オーナーであるジェフ・ベゾスと同様には株を保有し続けられないとしても、それに近い成果を得る方法は本当に無いのだろうか?
その為には、その企業が属しているであろうビジネストレンドのことを誰よりも、少なくとも他の投資家よりも、よく知っていることが必要ではないだろうか。
これによってはじめて、自分の懐が許す限り、信念に従い、右肩上がりのビジネストレンドのメインプレーヤーの成長の恩恵を受けることができるようになると考えている。
これが私の投資方針の基本だ。
特に右肩上がりのビジネストレンドが明確に見えている時、私の投資方針は非常に有効だ。だからこそ、1998年からの数年間、日経平均株価の上昇率の更に2倍近い投資成果を、上げることが出来た。あの時の右肩上がりのビジネストレンドは「第3次産業革命」と呼ばれた「IT革命・インターネット革命」だ。
そして今、私たちは「100年に一度の大変革」とも、「新たなるIT革命」とも呼ばれる大きな右肩上がりのビジネストレンドが始まるところに立っている。
もし、その考え方は納得できる、それなら成果が得られそうだ、と感じられた人には、必ずや「FG Premium Report」などプレミアム会員様向けに提供している情報は役に立つと思う。是非、「FG Premium Report」もお読みいただきたいと思っている。
こちらの記事に続く