ナスダック+43.44%、日経平均+16.01%、S&P500+15.52の裏側で
波瀾万丈だった2020年大納会を終えて
日経平均は30年振りの高値となる27,444.17円と27,000円台を回復して終わりました。年間の上げ幅で言うと3,787.55円、騰落率で言うと+16.01%ということになります。新型コロナウイルスの感染拡大に振り回され、結局新型コロナウイルスに対しては急遽開発された新型ワクチンの接種が始まったという事以上には特に朗報も無いまま、寧ろ感染者数、死亡者数は増加の一途の中で新年を迎えることとなります。下のテーブルが2020年、今年私たちがくぐり抜けてきた各市場の毎月の騰落率となります。一見するだけでも、上下の動きが激しいことから、毎月色々あったことが思い出されます。
日米各株式市場の2020年の年初来毎月の騰落率
日米市場共に指数毎の跛行色が強い結果が示すのは?
上記テーブルの最下段に示す年間騰落率を見ると、どこか異様な感じがします。それは日米市場で差が出たというよりは、各市場間で物凄い跛行色が出たという事です。本来ならば、日経平均とTOPIXは、当然多少は異なった動きをするものですが、基本的には東証一部銘柄で構成される指数ですから、相応の乖離の範囲に収まるものです。ところが今年は日経平均が16.01%も上昇した傍らで、TOPIXは4.84%しか上昇していません。投資信託がベンチマークとして採用するのもTOPIXが多いですから、運用サイドから見たら、思った以上にTOPIXには勝ったなと思える反面、投資家側から見ると大納会で30年振りの高値回復と騒がれるほどには儲かっていないという実感が強いのではないでしょうか?もし、マザーズ銘柄に比重が掛かっていれば、年間で3割も上昇していても可笑しくは無いのですから。
下のチャートは過去2年間の日経平均とNT倍率の推移です。この指数は「日経平均÷TOPIX」でその相対比率を検証しているだけのものですが、日経平均が20,000円前後から27,000円を超える水準で大納会を終えるまでに、随分とTOPIXよりも先駆して買われてきたことが分かります。数値で言うと13.3倍程度から15.2倍にまで跳ね上がりました。取り分け、2020年10月以降の跳ね上がり方が勢いがついているとも言えます。
もし、仮に日経平均とTOPIXの相対比率が2年前と変わっていないと仮定してTOPIXの水準から日経平均を逆算すると、1,804.68×13.3倍≒24,000円となり、約3,400円分の上昇が帳消しとなります。
同様なことが、米国市場内でも起きています。ナスダックが+43.44%も上昇する傍らで、一般的には市場全体の動きを現すと言われているS&P500は+15.52%の上昇に留まり、NYダウに至っては+6.56%しか上昇していません。かなり歪な状況が示現しているというのは事実です。
何が起きているのかを調べるには、その指数の計算方法や、指数の構成銘柄やウェイトを調べる必要があります。Fund Garageのプレミアム・レポートではそうしたことを随時お伝えしてきておりますが、その調べ方、分析手法、スタンスや視点によって、こうした歪みは良くも取れれば、悪く解釈することも出来ます。一般的には悲観論を組み立てる方が、この場合は容易いでしょう。例えば「ヒストリカルな傾向値から大きく乖離した結果は、いずれ修正される」というロジックで纏める方法です。
ただ逆に、市場構造全体やファンダメンタルズが大きく変化しているからというタイプの論陣を張れば、ヒストリカルな傾向値から乖離して新たな均衡点を求めに行くというような言い方をすることも出来ます。この歪を是とするのも、否とするのも投資スタンスやモノの見方によってどちらにもすることが出来ます。どうやら、2021年はその答えを探っていく一年となりそうです。
今年も一年間、ありがとうございました。
新年2021年はどんな年になるか、個人的には非常にワクワクしています。確かに新型コロナウイルスの話題に目を向けると安易な楽観的な見通しは立てられないと思います。ただその一方で、大きな変化や革新が起きていることも事実です。
2021年はそうしたことをどうやって投資に活かして行けば良いのかを考えつつ、また年末に「良い一年でした」と言えるようにしたいものです。2020年、いろいろありがとうございました。来年も引き続き宜しくお願い致します。良い年をお迎えください。