都市封鎖を警戒するより、投資家はより冷静に自分をモニターすべき

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都知事の言葉の重みと客観的なデータに相関性は無い

NY市場が上昇して朝を迎え、中国のPMIも予想以上に好調であったにも関わらず、TOPIXはこの年度末に△2.26%の下落。日経平均株価に換算すると△431円安。実際の日経平均株価の下落△167.96円よりもインパクトは大きい。何故なら、これが期末の企業決算の参照株価となるからだ。TOPIXが昨年度末よりも11.9%安く終わった為、評価減が発生する企業もあるだろう。

海外市場が上昇しているにも関わらず、日本市場の株価が下落したこと自体は日本株の不甲斐なさ以外の何ものでもないが、もしこれが市場参加者の「都市封鎖(ロックダウン)への警戒心の表れ」ならば、小池都知事が記者会見で使ったひとつひとつの言葉に関する責任は重い。

「都市封鎖(ロックダウン)」という事態を現実味を帯びて受け止めている人達が増えているのは確かだが、そうさせたのは「外出自粛要請」の時に「ロックダウン(都市封鎖)」というカタカナを安易に使ったからだ。昨日のネット上でのデマの拡散の下地も、この時に整えられたのだろう。

なぜもっと丁寧な物言い(話し方の問題では無い)をしなかったのかが惜しまれる。中央銀行などがアナウンスメント効果を狙って、敢えて「先ぶれ」として、「オオカミが来るぞ」と小出しにすることはよくある話。或いは軽い気持ちで反応を見るために脅したつもりなのかも知れない。単に欧米のニュースに倣って英語で「ロックダウン(都市封鎖)」と言ったのかも知れない。

それとも本当に「都市封鎖」をしないとならない「知事レベルだけが知り得る特別な情報」があるのかもしれない。統計学的に捉えてここから級数的に飛躍する臨界点という理論があるのかもしれない。それ以外にも、ここから急速に感染が蔓延するという根拠が他にもあるのかも知れない。ただ昨日の新規感染者数が13人と前日までに比べて大幅に減少したのも事実(土日の集計が人員不足で不充分というのが原因ならば、正式にその注釈をつけるべき)。もしかすると今晩の発表値は70人、80人、或いは100人超になるのかも知れない。

だが、そんなことは未だ今日の株式市場は知る由もない。そもそも何を根拠に「都市封鎖」となることが必然のように思えるようになったのか、もう一度考えてみても無駄では無い。少なくとも「都市封鎖」が現実となった国々とは数値上は大きな違いがある。「PCR検査が少ない、少ない」と喧伝する論客は多いが、陰で蔓延しているのならばもっと死亡者数がうなぎ登りになる筈だ。東京都の人口は欧州の一国よりも多いのだから。

数値データは下記の記事を参照頂きたい。

客観的なデータと確かな情報だけを冷静に測る

為政者たるもの、自らが発する単語ひとつひとつの重みをよく考えて会見すべきだと思う。恐怖は恐怖を煽り、ネガティブ・スパイラルとなる。そんなことは社会心理学の基礎的な話だ。だからネット上で「緊急事態宣言」の噂が駆け巡ったりする。恐怖に駆られた善意が拡散を促進したのだから。

もしかすると、誰かが意図的に恐怖心を煽るように仕向けているのではないだろうか?と考えてみる。社会心理学を巧みに使って、何かを自分の思う方向へ向かわせようとする狡猾な企みがあるのかも知れないと考えてみる。いろいろと想像を逞しくする。今はまず余計な恐怖心に煽られないように最大限の注意を払いながら、周りの状況を判断してみる。違った構図が見えて来るかも知れない。

今は世界中が団結してでもこの難局を最小限の被害で乗り越えることを考えるべき時で、国民にとっては与党も野党も本来は関係無い。当然、6月18日に告示され、7月5日が投開票の都知事選の行方などどうでも良いことだ。ただ残念ながら、いつの時代でも違う考え方をする人はいる。誰もが「水戸黄門」様のように清廉潔白ではない。

その意味では、最近はよくメディアが左傾化しているとも言われるようになった。事実、特別な恣意性を感じる報道は多々ある。クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」に関わる扱いひとつとっても、それは記憶に新しい。仮に何の恣意性が無くても、なぜトイレットペーパーが店先から無くなったかを考えれば、意図せずとも危機意識が社会心理に刷り込まれることがあるのは明らかだ。

今日、2020年3月31日、年度末の日本株式市場が下落で終わった意味は、例年とは違った重い意味がある。ただ今からでも、幾らでもリカバリーは出来る。

そして何より大切なことは、投資で成功する秘訣は、どんな時でも冷静でいること。逆に冷静に状況を正確に把握、分析出来た人にだけ幸せの女神が訪れる。ひとつの方法は、自分が冷静かどうかをモニターする自分を作れば良い。簡単なことだ。「今、私は冷静かな?」と自問自答してみるだけのこと。不思議とそうするだけで、おかしな時は「あれ?」と思うものだから。お試しあれ。

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ファンドガレージ 大島和隆

Fund Garageへようこそ。主宰の大島和隆です。投資で納得がいく成果を得る最良の方法は、自分自身である程度「中身の評価」や「モノの良し悪し」を判断が出来るところから始めることです。その為にも、まず身近なところから始めましょう。投資で勝つには「急がば回れ」です。Fund Garageはその為に、私の経験に基づいて、ご自身の知見の活かし方などもお伝えしていきます。