【連載記事】新入行員諸君!リスク商品でござる vol.4「リスク商品の基本まとめ」

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はじめに

ここまで3回の「新入行員諸君!」、リスク商品の基本編はお楽しみいただけたでしょうか?

今回は、過去3回(vol.1〜3)の記事を総括した内容となっています。以下に過去話のリンクも掲載しておきます。

  1. 「はじめに」
  2. 「リスク商品の基本①」
  3. 「リスク商品の基本②」
  4. 「オプション活用の基本」

 

また、ここまでの内容をお読みいただいてご意見やご質問もあると思います。「正直、ここが全然わからん。」「もっとここを詳しく知りたい。」というご意見も、勿論大歓迎です。(ご意見頂ければ、編集部から主宰に直談判します。

是非ご遠慮なくSNS(TwitterFacebookInstagram)やお問い合わせフォームからご連絡ください!

今日から社会人としての第2週目が始まりますね。焦らず無理せず、少しずつ生活に馴染んでいきましょう!

では、本文をどうぞ。

本文「リスク商品の基本まとめ」

ここまでリスク商品の基本として話したことは、

(1) リスクとリターンはトレードオフの関係、手品は無い

(2) リスク商品には必ずコスト(金融機関の収益)が掛かっている

(3) オプションは商品組成に便利なツール、ただ手数料がより分かり難い

の3点であったが、お分かりいただけただろうか?

正直ここがわからなかったとご意見を頂ければ、後日詳しい解説編を投稿しようと思う。是非皆さんのご意見を頂戴したい

今回は、それぞれまとめの意味で考え方のおさらいをしようと思う。

リスクとリターンのトレードオフ

「リスクとリターンはトレードオフの関係」という意味を端的に表している英語がある。商品ラインの外人がよく使う表現が「risk-reward」という言い方である。まずはこれをご紹介しよう。

彼らは「risk-return」とは言わず「reward」という単語をよく使う。「reward(リウォード)」とは「~に報いる、褒美[報酬]を与える」という意味だ。すなわち「risk-reward」は、「リスクを取ったが故の報い、褒美」ということになる。これは、トレードオフなどと言う小難しい単語を入れずとも端的にその関係を表していると言えるだろう。

要するに、「期待リターンの高いものは、必ずそれ相応のリスクを背負っている。」ということだ。これだけは、改めて肝に銘じておいて欲しい

金融商品には必ずコストがかかっている

手数料が必ず掛かっているのが金融商品である。

故に、「risk-reward」は商品スキーム自体では均衡していたとしても、実際には「risk-(reward-手数料)」である。つまり、実は手数料分だけは最低限均衡していないことに販売する際は充分留意して頂きたい。これが落とし穴となる。

この超低金利の時代に、もし仮に期待リターン(reward-手数料)が二桁を示すような商品があるとする。そんな商品に出会ったら、それはまやかしor相当な内在リスクのある商品だと言っていい。勿論、結果オーライとなることはある。しかし、3勝1敗でトータル・マイナスというのも良くある話だ。

ただ、始めから手数料がきちんと明示されている場合は、当然お客様にも説明出来る。更に、お客様もご納得(の筈)の上での取引なので大きな問題にはなり難い。トラブルが無いとは言わないが、契約書や目論見書に書いてある話なので、単に言った言わないの議論とはならない

ただ、私の経験をお話しすると…。こういうトラブルの終息面談の為に借り出される時こそが、商品サイドの責任者としては「金融マンとして最も自己嫌悪に陥る時」でもある。相手が強欲なだけなら良いのだが…。契約書や目論見書の該当箇所を示しながら強弁しないとならない時は、本当に辛い。

これを避けるためには、お客様に正しくその仕組みを説明し、理解・納得してもらうことが最重要ポイント。それには、皆さんが商品とコストの関係を確りと把握することが重要になる。

オプションは商品組成の便利なツール

オプション内在の商品の場合は、更に難しい。見えない手数料で「risk-reward」の関係が歪んでいるからだ。これは販売時に、お客様との「適合性の原則*1」に鑑みて、慎重に対処して貰いたい。

ここで一つ皆さんに質問をしてみよう。

「皆さんのお爺様かお婆様にオプションを簡単に説明出来ますか?」

いかがだろうか?

これに「はい!」と元気よく答えられる人は逆に危険だと思って貰いたい。

だってそうでしょう。

スマホ、テレビの使い方ひとつについても、孫の貴方が手取り足取り丁寧に何度も説明して、それでも「またかいな」と言いたくなるような世代の人達です。彼・彼女らにオプションを上手く説明できるでしょうか?

仮にできたとして、それは理解してもらえたと言い切れるでしょうかカタカナや英語3文字で言い表すような新手の金融商品を説明して、ご理解いただけるでしょうか?

これから学ばれる皆さんには、是非この意識を常に持っていて欲しい

リスク商品への心構え

よく聞く話として「外資系はあくどくガッポリ手数料を取るだけ取るでしょう?」というのがあるが、実は全くその逆。日系の方が取れるところでとことん抜こうとする傾向にある。外資系の新商品に関するディスカッションでよく出たのが「本当に日本ではそんな手数料デブ(FAT)な商品が売れるのか?」「それではrisk-rewardがバランスしないのではないか?」という質問。

このときは日本固有の状況を説明するのにいつもかなり苦労した。事実、調べてみると全世界的にみても、同一商品ならば手数料は日本が一番高い。だからこそ、金融庁は「フィディーシュアリー・デューティー」という事を、殊更に強調しているのかも知れない。

それでも敢えて「やれ」という組織や上司もいるかも知れない。もしそんな上司に当たったら、自分のお爺様やお婆様の顔を思い出して欲しい。そして、根気強く丁寧に対応して頂きたい。それが強いてはご自身の身を守ることにも繋がるのだから

次回以降は「お客様を知る」という点について、また何回か話を綴ってみたい。

用語解説

*1.適合性の原則:顧客の財産、知識、経験、目的に照らし合わせて、不適当な勧誘を行ってはならないと言う原則のことです。証券外務員試験でも必出の常識として覚えましょう。

おわりに

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

今回の記事に関するご質問、知りたいこと、記事のご要望などがございましたら、お気軽にメール(info@fundgarage.com)や各種SNS(TwitterFacebookInstagram)からご連絡ください。お問い合わせフォームからもご連絡いただけます。皆様のご意見を反映させた記事の内容にしたいと考えております。

また、今回の記事がよかったなと思った方は、SNSで共有していただけると嬉しいです。

ではまた次回の記事でお会いしましょう。

👇次回記事へのリンクはこちら👇

vol.5「リスク許容度①」

(編集:Fund Garage 編集部)

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ファンドガレージ 大島和隆

Fund Garageへようこそ。主宰の大島和隆です。投資で納得がいく成果を得る最良の方法は、自分自身である程度「中身の評価」や「モノの良し悪し」を判断が出来るところから始めることです。その為にも、まず身近なところから始めましょう。投資で勝つには「急がば回れ」です。Fund Garageはその為に、私の経験に基づいて、ご自身の知見の活かし方などもお伝えしていきます。