(ポートフォリオの概況)
Fund Garageが国際分散投資用に提案する「リスク中程度のモデル・ポートフォリオ」の12月末までのパフォーマンスは、ドル建てポートフォリオで設定来が月末184.66%となり、前月末の180.25%から騰落率で+2.45%の上昇となりました。円建てポートフォリオは設定来が170.13%となり、こちらも前月末167.29%から+1.70%の上昇です。こちらは為替が109.47円から108.67円まで円高になったことがマイナス要因となっています。
アセットクラス別にベンチマークを見ると、新興国株式が+7.46%と断トツのパフォーマンスを示し、次がコモディティの+6.99%と良好で、続いて先進国株式が+3.00%となりました。一方で先進国国債はワーストの△0.01%、短期金融商品は+0.15%、投資適格債は+0.34%と奮いませんでした。
2019年年間のポートフォリオのパフォーマンスは+19.89%となりました。以下、この一年間を総括します。
2019年の年間総括
2019年一年間だけを括りだしてみると、ポートフォリオのパフォーマンスは下のチャートの様になります。
ご覧頂ける通り、円建てベースは為替が年初に円高に動いた分だけややマイナス圏に入りますが、基本的に一貫して右肩上がりの状況が続きました。
しかしご記憶にある通り、2018年の後半、特に第4四半期と言うのは10月に米国10年債金利が3%を超えたことで大騒ぎになり、更にリセッション懸念から長短金利の逆転、止めを刺す様に米中貿易摩擦問題の再燃などが重なったことで、一気に悲観論が頭をもたげて「リーマンショック以来の××」のようなネガティブ・キャンペーンが頻繁に行われた頃でもありました。
リスク商品の販売現場では「お客様が何も買ってくれない」という悲痛なセルサイドの声が響き、劣後債などが最後の砦として売れているというような話を聞いたものです。バイサイドからは「一旦、現金比率を高めて様子を見ている。2019年は厳しい一年になりそうだ」と退却してしまった話をたくさん聞きました。
しかし2019年の年初来のパフォーマンスはチャートにある通り、ドルベースで+19.89%、円ベースで+17.55%です。もし2018年中に投資を止めてしまっていれば、どこで買い戻したにしても、どこで現金比率を元に戻したにしても、一旦逃げてしまった以上、戻りの一番美味しい部分は取れていません。
だからこそ、慌てないですむこうした国際分散投資のポートフォリオに継続投資をすることをFund Garageではまずはお薦めするのです。
2019年の国際分散投資ポートフォリオのパフォーマンスを分析する前に
このポートフォリオのパフォーマンスが良かったのか、悪かったのかという議論をしないとなりません。
でもその前に最も大事なことは、前述したように「もし、2018年の市場悲観論の中で投資を躊躇したり、中止したりしていたら、2019年のどこかで投資を再開したとしても、この投資収益を挙げることは出来なかった」ということです。これはリーマンショックの後も一緒でした。行動経済学でよく言われることですが、一度投資から身を引いてしまうと殆どの人が戻っては来られません。
なぜなら、前回撤退した水準より、少しでも低いところから再開したいと思うのが心理だからです。しかし、往々にして「撤退判断」をするタイミングと言うのは、多くの他の投資家が精神的に一杯一杯になっているのと同じタイミングなので、そこが市場の底値圏であることが多くなります。つまりその辺りを底値に市場は徐々にでも切り返し始めるということです。だから「より安いレベルで投資再開」と願っても、その水準は待てど暮らせどやってこないということです。
年間リターン+19.89%、リスク+7.78%のポートフォリオ
このポートフォリオで得られた年間のリターンは+19.89%ですから、おおよそ2割は一年間で増えた形になります。
「なんだ、株にそのまま投資しておいた方が良かったね」と思われるかも知れません。確かに日経平均株価は+21.86%、NYダウが+22.23%、ナスダックに至っては+33.65%ですから、現物株投資に専念すれば良かったと思われるも正しいかも知れません。ただそれは結果論であって、途中のアップダウンについて、つまりリスクについてはどうでしょうか?平たく言えば、株式単一投資の場合のアップダウンに平静でいられますか?ということです。
実はこの国際分散投資のポートフォリオの2019年のリスクを計算してみると年率+7.78%しかありません。
小難しい数字の話を持ち出して煙に巻こうとするまでも無く、上のチャートのドル建て(青線)の動き方を見てください。基本的になだらかに上昇しているのが分かります。数値で言うなら、5月が最悪で△2.96%の下落、次いで8月が△0.42%の下落ですが、残る10か月間は毎月プラスの成果を挙げています。
これこそが分散投資の効用です。当然、アセット・アロケーションが上手に決められているからということになりますが、値動きがマイルドになっているのは分散投資が上手く効いている証です。単一のアセットクラスに集中投資をしていたら、こうはなだらかにはなりません。
たぶん、年間リターンが+19.89%で、リスクは+7.78%(年率換算)というのは、相当に優秀なポートフォリオのパフォーマンスだと思います。
バックテスト・シミュレーションで操作した数値ではありません
最後にもうひとつ。このパフォーマンス、確かに古いデータの部分はバックテストした結果で作成していますので「架空のパフォーマンス」と言われても仕方ありません。
ただこの1年間の結果については、毎月ご報告してきた通りを集計していますので、良い結果になるように作り上げたものではありません。よく「過去のテストの結果では非常に良い数値になっています」というサンプルの提示がこうしたタイプのアセット・アロケーションでは示されます。
過去のデータを使って作るものであれば、良いところ取りになるように作ることは簡単です。実際、そうやって私もファンドをプレゼンテーションしてきましたから良くわかります。そして実弾投下となると、全然違う結果になると言うのはよくあることです。ただこの国際分散投資のポートフォリオのパフォーマンスは、皆さんに毎月その進捗をご覧頂いていたものです。謂わば、皆さんが証人。
2020年もまずは変わらずこのアセット・アロケーションで行きます。来年も同じような総括が出来れば良いなと思っています。
自信? 無ければこんなことは書きません。
Fund Garageでは、お客様の投資特性に合わせたモデル・アセット・アロケーションをご紹介しています。最終決定は、更にご相談の上で決定します。