ポートフォリオの概況
Fund Garageが国際分散投資用に提案する「リスク中程度のモデル・ポートフォリオ」の9月末までのパフォーマンスは、ドル建てポートフォリオで設定来が月末175.44%となり、前月末の173.75%から騰落率で+0.97%の上昇となりました。円建てポートフォリオは設定来が160.57%となり、こちらも前月末156.78%から+2.41%の上昇です。こちらは為替が先月とは逆に106.43円台から107.95円台まで円安になったこともプラスサイドの押上げ要因となっています。
9月は恐らく市場も想定していた以上に株価が堅調に推移したというのが本当のところだと思います。今月のポートフォリオのパフォーマンスに貢献したのは言うまでもなく、先進国株式がインデックス・ベースで+2.13%、新興国株式が同じく+1.91%、オルターナティブの資産クラスとして分散ポジションをもつコモディティが原油価格の高騰もありましたので商品が+1.75%、不動産も+1.86%です。
一方で、先月は株価のマイナスを緩和してくれた債券は軒並み当然のことながらマイナスです。
これらの積み重ねで年初来の騰落率はポートフォリオ全体として+13.90%となりました。冒頭のチャートを見て頂ければ、やはりこうした国際分散投資で運用すると、月々の変動は勿論ありますが、結局は長く右肩上がりで上昇し続けている形になります。それは世界経済全体が成長を続けているからということでもあります。
細かく分解すると、月々の変動では9月のようにプラスの時もあれば、8月の時のようにマイナスの時もあります。また更に分解すれば週毎、日々と毎日上がった/下がったがあるのが市場です。マイナスになっている時、当然新聞やメディア、或いは訳知り顔の市場コメンテーターなどが悲観論を展開したり、悲壮感溢れる顔でコメントしたりするので、余計に神経が疲れます。投資で大事なのは、そうした時に、どのように「心の平静を保つようにするか」ということです。
どんなにプロフェッショナルな資金運用担当者でも、市場が崩れている時、或いは崩れそうに思われる(単に悲観論者に洗脳されている場合が多いと思いますが・・・・)時は胃も痛くなるし、眠れる夜を過ごしたりするものです。
ならばどうすれば「心の平静」を保つことが出来るのか?
それは投資の入口ですべきことをきちんと行い、その内容を不安になったら確認すれば良いのです。ただ投資の入口ですべきことをきちんとしていないと、何を確認したら良いか分かりませんよね?
「○○証券のA君は大丈夫って言っていたから、彼に確認してみよう」では、あなたの「心の平静」は絶対に訪れません。下手をすれば「Aは先月転勤になりまして・・・私が後任のBです」と金融機関に小馬鹿にされたような応対をされる可能性だってあります。
「結果はどうなろうと文句を言わない!」と潔いのが自己責任を全うするということではありません。それは単なる「自虐的な泣き寝入り」に過ぎません。
投資の入口ですべきこととはなんでしょう?
それは「何を目的に、どういう意図で、この投資を始める」という単純なことの確認です。「儲けることを目的に、良さそうな銘柄を奨めて貰って、A君の話を信じて投資を始める」なんて言うのが最悪なパターンです。転勤していなくても、聞きたい時に「Aは今夏休みを頂戴しています」と言われたら、彼が出社するまで悶々と心を乱したまま過ごさなければなりません。
国際分散投資の目的は、世界経済の発展そのものを効率的に享受する為、「日本資産だ、外国資産だ」と言った区別をすることなく、自分のリスク許容度に合わせた合理的なポートフォリオを組んで、合理的な算出根拠の期待リターン(世界経済の経済成長率)を長期投資の成果として狙うということです。
そして長期投資と決めたらならば、その投資の時間軸と、パフォーマンス評価の時間軸は合わせないとなりません。その辺の話は別の機会にお伝えしたいと思います。
Fund Garageでは、お客様の投資特性に合わせたモデル・アセット・アロケーションをご紹介しています。最終決定は、更にご相談の上で決定します。
9月の市場概況と足許の状況
日米の株式市場を比較すると、9月単月では日本市場の方が、すなわち日経平均株価とTOPIXの方が、NYダウやNASDAQよりも良好なパフォーマンスとなりました。順に騰落率を並べると、+5.08%、+5.02%、+1.95%そして+0.46%となります。
終値ベースで見ると、日経平均株価は9月24日に22,098.84円という最高値を付けています。8月末の終値が20,704.37円ですから「よく上がったなぁ」という声が出ても当然なのかも知れません。月末の終値はそれよりも幾分下落した21,755.84円です。
さて気持ちをタイムマシーンに乗って9月24日の高値の時に戻してみましょう。絶対値で言えば日経平均株価22,000円代というのは随分と高いなと思われるかも知れませんが、実際のところはそんなに高くはありません。何を根拠に言っているかと言えば、株価の割安度を測る代表的な指標であるPERとPBRで見た場合の話です。
9月24日時点の株価終値から算出される、日経平均株価の予想PERとPBRは12.58倍と1.10倍となります。PERは今期各企業の予想利益の水準から算出される数値であり、PBRは直近の決算書上から確認出来る企業の解散価値(純資産価値)から算出される数値です。前者は各企業の決算発表時に示される今期の予想収益から計算されていますので、概ね3か月に一度は微修正されています。それは四半期決算があるからです。
一方、PBRは本決算が終わった段階で示される「一株当たりの純資産」から計算されています。従って、日本の9月の場合、多くがPERは今年7-8月に示された4-6月期決算などの内容を反映した数値、後者PBRは2019年3月末の本決算時のデータを元に算出されたものと捉えることが出来ます。勿論、3月決算でない企業のそれらは、都度更新されています。
さて今年2019年、PER12.58倍、PBR1.10倍という水準が過去に有ったか、無いか、と言えば、実はPERでは2019年3月頃、日経平均株価が21,500円程度を付けている時にも算出されています。一方、PBR1.10倍という水準は、実に今年の1月21日、日経平均株価が20,719.33円の時にも同じ値となっています。
これは何を意味しているのでしょうか?
PERについて言えば、3月頃と言えば2019年3月期決算の前ですから、まだ2020年3月期の数値を織り込んでいません。逆に言えば、2020年3月期の数値を4-6月期経過後分だけはリバイスされた数値で計算した数値が現状のPERですから、2019年3月頃の21,500円よりも500円程度高くても同じPERというのは、その程度は増益になったということを意味しています。
PBRは「株価÷一株当たりの純資産価値」です。「一株当たりの純資産」は企業が赤字で資本や準備金を食い潰さない限り、課税後の当期利益から主に配当金や役員賞与などをマイナスした分だけ、毎年積み上がります。
1月21日に算出されているPBRの根拠となる「一株当たりの純資産」は2018年3月期決算の時に発表されたものが基本となり、9月24日のそれは2019年3月期決算の結果で積み上げられた「一株当たりの純資産」が根拠となります。
よって両日の日経平均株価の差額となる約1,300円程度は日経平均株価の純資産価値の上昇分(225銘柄の合計)ということなります。ならばもう一度タイムマシーンに乗って1月21日に戻ってみて、20,719.33円の水準を高いと思ったか、安いと思ったかということを思い出してみてください。どちらでしょうか?
「そんな日記みたいなもの付けて無いから分からないよ」という声が聞こえてきそうです。あれ?何か投資続ける上でしておくべきことのひとつが見えてきたような気がしませんか?簡単な記録、メモで良いのです。毎日は大変でも、思いついた時に記録をしておけば、その近時のところのメモを振り返れば、今を評価する足しになります。
もうひとつ、取って置きの方法をお教えしましょう。それはFund Garageのプレミアム会員向けのレポートのように、毎週配信されているレポートの「市場コメント」などを調べれば良いのです。残念ながらFund Garageのプレミアム・レポートの毎週配信が開始されたのが2月からなので、1月までは遡れませんが、定期的に配信されているレポートの便利な使い方というのは、過去までタイムマシーンに乗れるということでもあるのです。
私は1994年9月に担当する最初の投資信託が設定された翌週から、毎週ファンドマネージャー・コメントをお客様向けに書き綴ってきました。その後、レターの名前は変遷していますが、毎週何かしらのコメントを書き残してきました。私にとっては「物凄い宝物」になっているのですが、タイムマシーンに乗る方法が有益だと思ったのは、私自身が良くそれを利用しているからです。
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