【無料記事】FG Free Report 賢人の行動経済学(2021年10月11日号抜粋)

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無料版の始めに

こちらは、Fund Garageのプレミアム会員専用の「プレミアム・レポート」の再掲版の記事です。公開から半年以上経った記事になりますが、当時の市場の空気と、普遍的な知見を皆様にお届けできれば幸いです。より最新の情報や個別企業の解説に関心をお持ちになられた方は、是非プレミアム会員にお申し込みください。

前置きが長くなってしまいました。ではこの後、「プレミアム・レポート 2021年10月11日号」の一部を無料抜粋という形でご覧頂きましょう。

———–<以下、プレミアム・レポートより抜粋>———–

冷静に、肯定的に、流れを捉える

8連敗、9連敗はなぜ起きたのか

日経平均株価は先週木曜日、TOPIXは先週金曜日に漸く9月24日から続いた下落が止まり反転した。なんと日経平均株価が8連敗、TOPIXが9連敗にも及んだ。個人的には下げ過ぎと思ったが、一旦振り子が動き始めると慣性による惰性もあるのはよくあることだ。相変わらず国内金融機関は全セグメントで売り越しているが、これに個人投資家が立ち向かった構図がハッキリと出ている。不思議なぐらい海外投資家と個人投資家の方向性が重なることはないが、海外投資家とは機関投資家であり、

国内外の機関投資家の売りに対して逆張りの個人投資家が買い向かった

という図式に見える。

米国市場はNYダウ、S&P500、金利上昇に弱いと言われているNASDAQでさえプラスを維持した。すなわちこれは海外投資家がリスクオフになって株式のウェイトを落としている訳では無いことを物語る。何か海外投資家の投資判断に日本をネガティブに評価する情報があったということだ。

下記に日米主要市場の月毎の騰落率をブレークダウンしたいつもの表をご紹介する。米国市場に比べて年初来の騰落率で日本は圧倒的に分が悪い。

ポートフォリオに米国株を混ぜている人と、日本株だけで運用している人のパフォーマンスはこれだけ見てもだいぶ違うだろうなと想像出来る

というものだ。特に日本株の中小型株に拘っていたら、今年はかなり厳しい目に合っているだろう。

メディアの論調が海外投資家の売りを呼ぶ

8日(金曜日)に所信表明を行った岸田首相の新政権に対する各メディアの批判姿勢が誤った情報ループを作り、海外投資家などからの売りを呼んだとみている。実際日経電子版に掲載された記事

「岸田首相、四半期開示「見直す」 投資家は継続希望

など、正に単なる「アンチ岸田政権」の賜物であり、「投資家は継続希望」などというのは同社の全く記者の憶測に過ぎない。だが米国で言えばWSJ誌に匹敵する同誌がこうした論調の記事を垂れ流せば、海外投資家も「日本国内での新政権、新首相に対する評価は悪いんだね」と、嘗ての民主党政権時代の株価アンダーパフォームを想起させても不思議ではない。

同記事の冒頭を引用すると

<FG Free Report では中略>

実際記事にも書かれているが、英国、フランス、ドイツでは2015年には四半期決算の法的義務は廃止になり、米国でもトランプ大統領時代から議論が燻っている。逆に言えば、日本でこの議論を掲げたのは岸田首相が初めてぐらいで、日経新聞社は反対だということだろう。

四半期決算については実際に市場関係者の間でも賛否が分かれているのは事実だ。反対、もしくは不要という考えは

企業の実経営の時間軸に合わせるべきだ」

というものであり、賛成、もしくは継続すべきとする側の論点は

途中経過の情報は多い方が良い

というもので、どちらかと言うと「リサーチする側の分析力の低さの問題では」と思えるものが多い。

ここに大きく存在すると思われるものは「企業は株主のもの」という考え方の解釈だ。前者は既存株主の目線に近く、後者はアナリストやメディアの目線、或いは売買頻度を高めたい人達に近い。

いずれにしても、この手の否定的悲観バイアスは目に余るように思われる。

だからこそ悲観し過ぎる必要は全くない

「株価は短期的には需給が決定し、中長期的にはファンダメンタルズが決定する」

とは常日頃からお伝えしてきているが、前述のような状況だからこそ、全く慌てる必要は無いと思っている。寧ろ世界のファンダメンタルズの状況を考えれば、日本にビッグチャンスがあるだろうぐらいに考えている。

そのひとつが、欧州の天然ガス価格高騰によるエネルギー問題であり、中国の電力不足問題だ。もしこの話題から

だからこそサステイナブルな世界を実現するために、再生可能エネルギーの普及拡大に弾みがつき、電気自動車(BEV)が主流になる

という論調が広まるようなら、余程この世はおめでたい。「エネルギー転換の過渡期の問題だ」という論調も聞こえてくるが、その安易な考え方には笑いさえ出てしまう。

まず天然ガスは石油や石炭に比べて二酸化炭素の排出量は半減すると言っても、火力発電が続く限りサステイナブルとは言えない。にも拘わらず、現時点で天然ガスの供給が滞っただけで欧州は悲鳴を上げた。

さて、この欧州と中国、共に対米、対日の経済政策としてBEVを主力とすることを政策的に打ち出しているが、現時点で既に電力不足問題に慌てる状況で、どうすればクルマに供給する電力を再生可能エネルギーで賄うつもりだろうか。専門的に成り過ぎるので割愛するが、仮にHEVがやはり主力になるとしたら、欧州車神話が瓦解する日もそう遠くないかもしれない。

米国債金利は徐々に上昇してはいるが・・・

<FG Free Report では割愛>

今週の悩みの種

Windows11の登場がパソコン市場をさらに刺激できるか?

<FG Free Report では割愛>

原油価格の上昇はどこまで続くのか

WTI原油先物価格の値上がりが続いている。週末現在の79.35ドルという水準は、過去に遡って2018年の水準は既に超えており、2014年の秋口にまで戻らないと突き当らない。そしてそこまで遡ると、2011年初めから2014年終り頃までの約3年間は原油価格は90ドル台前後で推移していたことが分かる。

何が悩ましいかと言えば、2014年の後半になると為替水準も現在よりは「やや円高」というレベルの100円台になるが、それを更に遡ると70円台後半の円高が見えてくるからだ。つまりその当時は原油価格が上昇しても為替の関係もあって「円ベース」で見た場合の原油価格は今よりも安かったということだ。恐らく最近ガソリンスタンで給油する時に「ガソリン代、原油価格の上昇よりも上がっている気がする」と思われている方は、原油価格の上昇は気づいていても為替水準が記憶から抜けているからかも知れない。

実は石油輸出国機構(OPEC)プラスは10月4日の閣僚級会合において、月に日量40万バレルのペースで増産する現行の合意案を11月も維持することを確認した。原油や天然ガスなどエネルギー価格の高騰が本格化しているため、米国など一部消費国からはOPECプラスに対して増産ペースの加速を要請する声も強くなっていた。しかし、OPECプラスとしては、少なくとも現段階で政策調整を行う必要はないとの判断を下したようだ。これでその後に原油価格の上昇を招いている。当然、天然ガスが急騰しているので、そのヘッジもあるとは思うが、これら燃料費の上昇は世界経済全般にとって喜ばしいものではない。

まとめ

賢人の行動経済学

「あばたもエクボ」と言うのはマーケットでも同じ。皆が楽観論で強気の時はネガティブ材料は無視されるか、若しくは良いように解釈される。だがひとたび見る角度が変わると、それまでの可愛いエクボはあばたに変わる。今市場で言われている弱気材料で新鮮味のある話は無い。

そしてもうひとつ重要なこと。以前にもお伝えしたことがあるが「賢人の行動経済学」というのがある。それは投資で成果を挙げるためには

投資を続ける

こと、

少なくとも企業収益が黒字を続ける限り、株価は本質的な価値が膨らむ

のだから。

そしてもうひとつ大事なものの見方がある。現在米国10年国債の利回りは1.6%前後。恐らく金利は下降トレンドに入る可能性よりも、FRBのテーパリングや利上げに合わせて金利上昇する可能性の方が高い。債券は償還まで保有していれば当初購入時の利回りを得ることが出来るが、金利上昇の過程においては時価評価額はマイナスになる。「上手に債券の入れ替えをしながら、金利上昇時でも安定的な債券運用を行います」という話があったとしよう。でも米国金利は過去30年余り、一貫して低下してきたので、誰も金利上昇時のトラックレコードを持っていない。

恐らく過去30数年間、現在のような金融環境でポートフォリオ運用を行った経験がある機関投資家はいない。つまり(長期亘る)金利上昇局面において運用をしたことがある人自体が居ない、これからは未体験ゾーンに突入ということだ。これを否定出来る人は火星から来た人しかいない。

一方で、AI、IoTやエッジAI、或いはクルマのCASEといった大きな時代の流れは、まだまだ第一コーナーを回ったかどうかという段階だ。持っている金融資産の値段が下がって平気でいられる人はまずいないのと同様、右肩上がりで値上がりを続ける市場も無い。短期波動の底値で買って、高値で売り逃げられる投資家を私は知らない。

ファンダメンタルズを確認して、もし問題が無いと思えば、あとはジッと機が熟すのを待つことだ

結局勝つのはバフェットのような人なのだから。

———–<以上、抜粋終了>———–

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(編集:Fund Garage編集部)

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