身近なところでFPGAは活躍しています
トヨタ自動車が発表したこの宣伝を見て、「おっ?」と関心を持った人はそんなに多くないでしょう。気が付いていない人の方が圧倒的多数だと思います。ただこれこそがCPUやGPUなどとは異なる半導体「FPGA」が頑張り始めた証拠の一つなのです。まずは広告と、その内容をWebページで見てください。画面クリックで該当ページが開きます。
でもきっと殆どの人が「自分の乗っているクルマじゃないから関係ない」或いは「わかんない」という感想で終わると思います。でも、これこそが今後自動車産業のイノベーションの中で、FPGAの必要性が益々高まることの明らかな証なのです。
何が画期的な出来事なのか?
今までもカーナビの地図データをアップデートした経験がある方は多いと思います。でもクルマの本質的な安全機能に関わる部分までを既に購入済みのクルマ、或いは中古車にまで適用する話は殆ど聞いたことが無いと思います。トラブルによるリコールによる部品交換の話とは全く違う話ですので、誤解しないでください。世界初かどうかまでは断言できませんが、これって相当に耳新しいアフターケア・サービスだと思いませんか? まるで電気製品のファームウェアのアップデートみたいなものですから。
今回拡充される機能は、ADAS(先進運転支援システム)の代表的な機能であるPCS(プリクラッシュセーフティ)の検知対象を車両だけから、昼間に限り歩行者まで検知可能に拡大するもので、金額は僅か4,180円(税込)也です。
簡単にPCSの機能を説明をすると、クルマに搭載されたレーザーレーダーと単眼カメラが前方の車と衝突の危険がある考えた場合、まずはブザーやディスプレイ表示でドライバーに知らせ、ブレーキ操作を促し、それでも駄目だったら、自動(被害軽減)ブレーキが作動し、衝突回避や被害軽減をサポートするというものです。
今回はこの検知可能対象範囲をクルマだけから、昼間は歩行者にまで拡大するというものなのですが「なんだ、大したことないじゃない」とパソコンやスマホなどの機能拡充のアップデートに慣れている人は考えるかも知れませんが、クルマはちょっと状況が違います。
安いASICからちょっと高いFPGAに変えたことによるメリットが遂に表れ始めた
そもそも時間経過と共に、既にラインアウトした工業製品をリコールという特別な状況は別にして、時流に合わせてアップデートしていくという設計思想は、そのものが今までのクルマ作りにはありません。カーナビの地図ソフトは全く別な話です。
従来からこうした何かを検知して制御を変える判断は、情報を制御する論理回路を備えた「ロジック半導体」と呼ばれるものが使われています。でも、ご承知の通り、自動車の原価計算と言うか、コスト削減というのは、ネジ一本、1銭単位で行われるのが普通です。一方、一般に皆さんにイメージ頂けるロジック半導体の代表例はCPU、例えばインテルのCoreiシリーズや、AMDのRyzenなどです。ひとつが数万円以上するものです。
でもこの程度の制御の為にCoreiシリーズやRyzenは使えません。値段が高過ぎてクルマの単一機能制御には勿体なさ過ぎるのです。センサーなどから送られてきた情報で、衝突しそう(距離と相対速度から停止可能距離を演算する)だなと考えるのは、言うなれば単一の作業です。条件反射みたいなものです。だからその処理さえ出来る回路を持ったロジック半導体があれば充分なのです。この特定用途の制御機能の頭脳に使われる半導体をASICと呼び、車内の多くの場所で使われてきました。プログラム自体が回路の中に製造時点で書き込まれています。だから小さく、安く作れ、クルマには向いていたのです。当然、リコールになるようなプログラム・ミス(要するに設計ミス)が無い限り、その半導体は組み込まれた時から廃車になるまでそのままの状態で、その車と運命を共にします。
乗用車の平均使用年数をご存知ですか?
ますます長期化する平均使用年数
年々長期化していると言われる自家用車乗用車の平均使用年数ですが、「一般財団法人 自動車検査登録情報協会」がまとめたところによると「平成30年3月末の乗用車(軽自動車を除く)の平均使用年数は13.24年となり、 前年に比べ0.33年長期化し、3年連続の増加で過去最高となりました。」とある。つまり最近のクルマはそれだけ長いこと(13年~14年間も)路上を走り回るのです。
一方、嘗ては国産車のモデルチェンジ・サイクルは4-5年と言われましたが、最近では日本でもだいぶ長くなり7-8年となってきています。それでも、もしモデル末期のクルマを買えば、次期2世代のモデルを見るまで生き永らえる長さが13年であり、優に次期モデルの間は元気に走り回ることになります。実はこれが今の自動車部品メーカーにとっては非常に悩みの種になっているのです。
13年も、14年も時間が有ったら、どれだけエレクトロニクス技術は進歩するか、考えてみてください。今から13年遡ると、iPhoneはまだデビューしていないんですから。そういう時間軸の話です。
昔はメカトロニクス、今はエレクトロニクス
話は一旦横道にそれますが、どうしてメルセデスベンツの走行性能が世界中で高く評価されてきたのでしょうか?(最近は必ずしもトップランナーでは無くなってしまったのが惜しまれます)
理由は簡単です。これは某Tier1自動車部品メーカーの技術系の部長からお聞きした話ですが、ドイツに昔からある速度制限なしのフリーウェイ、アウトバーンの存在が大きく影響しています。つまり昔からドイツ車は「走る、曲がる、止まる」の基本3要素について、非常に高い次元での性能が求められていました。でも当然昔は今のようなエレクトロニクス制御技術などあろう筈も無く、基本的にはメカトロニクスの追及だけで、時速200キロを超える状態での「走る、曲がる、止まる」という基本の安全性能を追究してきました。シートベルトやエアバッグなど多くの安全装置・装備をベンツが一番最初に開発してきた理由こそ、そこにあります。
一方、日本を代表するトヨタ自動車が、満を持してベンツのSクラスに対抗するクルマとして発表したのがセルシオ、なんと1989年のことです。その「初代セルシオ」でさえ、メカトロニクスの部分ではベンツの足許にも及ばないとその部長は教えてくれました。でもトヨタ自動車は社運を賭けてベンツのSクラスに対抗できる走行性能を手に入れようとグループを挙げて頑張ります。その成功が無ければ、最大市場であった北米での地位が築けないからです。その為、彼らはメカトロニクス技術ではカバー出来ない不足部分を、日本のお家芸でもあるエレクトロニクス制御技術でカバーする方向へ舵を切って勝負に挑んだそうです。
結果については敢えて説明するまでも無いでしょう。消費者から初代セルシオはベンツのSクラスに負けない高い評価を北米でも勝ち取ることが出来ました。これが後に日本のプレミアムカ―・ブランドの主力となるレクサスの発展へと繋がっていきます。技術系の部長は、確か既に2000年に入っていたと記憶する当時でさえ「もしエレクトロニクス制御を外して、メカトロニクスの技術だけでガチンコ勝負をしたら、トヨタに勝ち目は今でも無いと思う。」と教えてくれました。それほど一旦開いた技術力格差を詰めるのは難しいという意味でもあります。
確かに、第二次世界大戦では日本の航空技術はゼロ戦が代表するように世界最高峰を誇りました。少なくとも米国よりも上でしたが、敗戦後久しく航空機開発を禁止られたことから、戦後75年になる今でさえ、未だに日本は完全に航空機技術では米国の後塵を拝しています。三菱重工のあれ、まだ飛びませんものね。技術開発というのはそういうものだとあらためて思い知らされます。逆にエレクトロニクス制御技術を使うことで今やベンツと対等に張り合えるクルマを開発出来るようになった日本の自動車技術、これがどんなに素晴らしいものかもこれでお分かり頂けるだろうと思います。
そして「クルマのCASE」に代表される新しい流れ、主役は完全にエレクトロニクス制御技術です。「走る、曲がる、止まる」の3原則はほぼ開発し尽くした感さえあります。自動で走り出すし、曲がるし、止まります。表面上はADASという形で「安全運転補助機能」として利用されていますが、自動運転の要素技術は既に揃っています。
これからの注目材料である自動運転に代表される新しいCASEの流れ、これは完全にエレクトロニクス制御技術の勝負と言っていいでしょう。でも、だからこそ、前述通り、自動車部品メーカーは多くの悩みを抱えているのです。何故なら、今販売している最新の車が、これから先、13年以上も公道を走り回るのですから。そのクルマ達を僅か13年の間に陳腐化した物体にするわけには行かないのです。
この辺りの事情を充分理解しないと、ハイテク株投資と自動車株投資は全くの別物になり、投資家は収益機会を逃すことにも成り兼ねません。
14年以上使える電子制御技術を開発する
クルマのエレクトロニクス制御技術とはどんなもの?
クルマのエレクトロニクス制御技術は安全を司り、命を運ぶものばかりです。歩行者だって、クルマの側で守ってあげないといけない。高齢化社会になればなるほど、自由な移動手段としてのクルマの需要は本来高まるべきですが、動体視力が弱り、足腰も機敏に動き辛くなれば、クルマを手放さないとならなくなります。「プリウス・ロケット」などと揶揄する表現が流行ったのも、そうした背景に起きた悲劇があったからです。
でもその分を、ADAS(先進運転支援システム)のPCS(プリクラッシュセーフティ)のような機能が補ってあげることが出来れば、高齢者が車を利用することも可能になるし、経済発展にも役立ちます。
ADASというと次の新車に買い替えないと手に入らない装備と思いがちですが、その一部、原型は既に軽自動車でも搭載されています。数例を挙げます。
1. ABS(Anti-Lock Brake System)
滑りやすい路面の上で急ブレーキをかけた時、タイヤがロックしないように油圧を瞬間的に抜いたり、加えたりするブレーキ制御装置のABS(Anti-Lock Brake System)などがそれです。ABS技術がどれだけ凄いものかということを教えてくれる例は、その制御回数です。一般のドライバーならば1秒間にせいぜい1~2回のブレーキの踏み分けが出来たら上等です。でもABSなら毎秒数十回の早さで繰り返すことが出来ます。だから止まれるのです。(雑学:天才F1ドライバーと呼ばれたアイルトン・セナは、人間なのに何と6回~7回も一秒間に踏み分けられたそうです)
2. EPS(Electric Power Steering System)
パワーステアリングも、最近は殆ど油圧制御ではなくモーター制御となりました。モーターがしていることは、ドライバーがステアリングを切ろうと思った方向を感知して、そっちに向かって助力し軽く回るようにしているのです。ならば「そっちに切ると危ない」とクルマが判断することが出来れば、前輪を反対の角度に回すことも可能ですよね。これがEPSの進化系のADASです。高速道路で車線からはみ出そうになったのを検知して、車線に戻すようにする機能は、既に多くの新車が採用を始めています。
3. 前車追従型クルーズコントロール
速度を一定に保ちながら、前車との車間距離が詰まってくれば減速し、開けばまた加速する。前車が停止すれば安全な車間距離を保ってブレーキを掛け、最後はクルマを止めるまで制動を利かす。前述のPCSとの合わせ技も色々とあります。
自動車部品のエレクトロニクスが決定的に民生用電気製品のそれと違うところ
クルマに積むためのエレクトロニクス製品が、決定的に民生用の電気製品、簡単に言えば、パソコンやスマホと違うところはどこでしょうか?
一言で言えば、耐久性が違います。クルマに搭載される電子制御装置は、ありとあらゆる環境下で13年間も使い続けられるものであるが故、振動、粉塵、雨や泥水、更に北国の凍える低温から砂漠の照り付ける高温までなど、極めて劣悪な環境で故障せずに働き続けられる品質がなければなりません。肝心な時にフリーズしたり、「再起動してください」とドライバーに頼むわけには行きませんからね。更に言えば「ハッキングされて制御不能です」とサイバーセキュリティに対して杜撰であることも許されません。
古くから米軍用には「ミリタリー・クオリティ」という考え方があります。「外車は壊れやすいからね」と日本でよく言われるような状態では、最前線に配備されて、いざこれより合戦という時に動かないかも知れません。その為、軍事用の「ミリタリー・クオリティ」のモノには全然違う水準のコストを掛けた丈夫なものが作られ、使われています。でも、そんな高い部品でクルマを作ったら、一般の消費者は誰も新車を買えなくなります。だからこそ、ネジ一本に至るまで、1銭単位のコスト見直しがいつも行われているのです。
その最たる例が、必要な回路部分を切り出して作られたASICというロジック半導体で、14年間、壊れず、故障せずに使えるものに絞り込まれてきました。それがこれからFPGAに変わっていくのです。進化する技術に可能な限りクルマの能力を合わせていくために。
自動運転を支える、これからのADAS技術
ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems,先進運転支援システム)とは、従来のエレクトロニクス制御技術を更に発展させ、ドライバーの安全・快適を実現するために自動車自体が周囲の情報を把握し、ドライバーに的確に表示・警告を行ったり、ドライバーに代わって自動車を制御するなどの運転を支援する機能の最近の総称です。前述の通り、既に投入されているものも沢山あります。
最近開発競争が激しいのは、周囲の障害物との距離を測ったり、人間の目では見えないところのモノや、暗闇の中で測距したり、自車位置をGPSやジャイロ・コンパス、或いは高精度地図などを利用して特定したり、よりミッション・クリティカルなことを任され、それに連動して、アクセル、ブレーキ、ステアリングなどを操作する発展形です。
自車位置の特定について、これからとても重要になる技術は「V2X」と呼ばれる「車車間通信」や「路車間通信」です。なぜなら見通しの悪い交差点では、他車や歩行者と出くわすことをシステムは予め相対速度と距離を把握して加減速しないとならないからです。いくら視覚に頼らず、レーダーを使うと言っても、障害物があれば役に立ちません。ただその問題も5Gの登場などで、徐々にクリアされていくでしょう。最後に残る障害は各国の法整備(個人情報保護法など)の筈です。
不可能を可能にするFPGA、それは製造後でも「プログラマブル(書換可能)」だから
CPUでは無駄、ASICは時代変化に対応出来ない。だからFPGA。
専門用語やカタカナが多くて混乱された人も居るでしょうから、もう一度ここで整理します。
ザイリンクス(XLNX)などが作っているFPGAという半導体の正式名称は「Field Programmable Gate Array」で、その頭文字を並べてFPGAと呼びます。技術者の方々に叱責されることを恐れずに大胆に意訳すると「後からでも現場でプログラムを書き換えられる半導体(論理回路)」です。でもこれが肝なのです。そんな凄いポテンシャルの半導体ですが、実は製造しているのはザイリンクスとインテルの2社だけです。勿論、数%程度はシェアを持つメーカーもあるにはありますが、概ねザイリンクスが6割、インテルが4割と思って大きな間違いはありません。インテルのその部門は1983年に創業したAlteraというメーカーを167億ドルで2015年12月に買収完了したことで手に入れた部門です。
テレビコマーシャルなどでお馴染みの「インテル、入ってる」という例の半導体はCPUは(Central Processing Unit)の頭文字ですが、意味としては中央演算処理装置です。例えるならば、文武両道、勉強も出来るし、スポーツも得意な超優秀な人の頭脳部分とでも言いましょうか。プログラムさえあれば何でも出来るということです。だからパソコンには必ずひとつは入っていて、マイクロソフトのオフィスソフトも使えるし、ネットサーフィンも出来るし、ゲームも、音楽も楽しめます。
でもそんな超優秀な凄腕半導体が「雪の上でタイヤが滑っているのを検知したらブレーキを一旦緩めて、また直ぐに作動させなさい」というような単一作業に必要でしょうか?自分の位置を特定するとか、V2Xで通信をするとか言うことは、他の半導体が行うので、「こんな単純な事ばかりやってられないよ」と怒り出しそうです。そして何より余計な部分まで含まれるので、値段がとても高くなってしまいます。
そこで「雪の上でタイヤが滑っているのを検知したらブレーキを一旦緩めて、また直ぐに作動させなさい」という判断だけを行うことに特化させてしまえば、不要な部分は全部そぎ落とせます。単純作業の連続で怒り出すなんて部分も当然不要ですから削ぎ落します。既に前段でお話したように、特定用途に特化した特殊な半導体をASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)と呼び、通常今までのエレクトロニクス制御技術の装置に使われてきた半導体はこれになります。ただ余計な回路部分は全て削ぎ落していますから、全く融通が利きません。もっと最悪なのは、特定用途向け特化とは言え、もし万が一、あとからプログラムに間違えがあったとか、あと一行書き足したら応用範囲が物凄く拡大するとか分かっても、後からの修正が一切出来ません。全部取り替えないとならないのです。ただ安く作れます。
前段迄の話を思い出して貰えば、今までのクルマのエレクトロニクス制御技術に関してならば、14年、或いは20年利用されても、当初決められたことさえ出来れば良いのです。ガラケーに求められているのはあくまでもガラケーの機能であって、今でもこだわってガラケーを使われている人にとっては壊れさえしなければガラケーのままで充分なのです。
でもこれからは違います。クルマの自動運転に向かって活躍するADASのエレクトロニクス制御技術は、日進月歩のハイテク産業のそれとある意味で同じになります。つまり、14年間同じで良いのではなく、時代と一緒にある程度は進化しないとならないのです。
その為に必要な技術は「後からでも現場でプログラムを書き換えられる」ことに他なりません。だからこそFPGA「Field Programmable Gate Array:後からでも現場でプログラムを書き換えられる半導体(論理回路)」の出番が回ってきたのです。そしてその証拠が冒頭のトヨタの宣伝です。
FPGAが本領を発揮するのはこれから。5G基地局向けだけと思ったら大間違い
どこかに「FPGA=5Gの基地局用途専用」と誤解されている人たちがいるようで、米中貿易摩擦問題で米国のHuawei叩きが厳しくなって以降、非常に厳しい見方をしている人たちがいます。ただここまでの説明でお分かり頂けたと期待するように、FPGAの将来は非常に明るいと考えています。
自動車のADASや自動運転以外の分野も例に挙げるならば、クラウド・コンピューティングの次に来ている大きな時代のうねり「エッジ・コンピューティング(IoTの一部と見る人もいる)」にとっても、非常に重要な位置づけにあります。
5Gの基地局向けとして注目されたのも、通信インフラ設備はスマホなどの通信端末とは違って利用期間がとても長いからです。半年や1年毎にニューモデルが開発される多くのハイテク製品とは違います。ただだからこそ、常に可能な限り、最新のテクノロジーに追随できるようにアップデートしていかないとなりません。(投資家の知識もそれに合わせてある程度はアップデートが必要ですね)
勿論、今年発表されたFPGAの商品群よりも、来年のそれの方が新しい技術が導入されている筈です。消費電力を微細化で引き下げるなどもそうでしょう。でも仮に交換しなければ消費電力は下げられなくても、プログラムを書き換えることで、同等の制御が出来るとなれば、インフラやクルマの安全装置などでも長く使えます。
前述の技術部長(当時2002年頃)の弁を借りれば「FPGAはアイデアや機能は優れているんだけど、耐久性が問題なんだよ」と教えてくれました。あれから時が経ち、スバルのアイサイトにはザイリンクスのFPGAが使われていると公然とプレスリリースされました。つまり「耐久性」の問題はクリアしたということです。
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最後にもうひとつ。現在エヌビディアのGPUが脚光を浴びているデータセンタのアクセラレーターとしての役割、もしかするとGPUよりもFPGAの方が優れているかも知れないとも言われはじめています。それが超低レイテンシ(遅延)の問題です。FPGAの方がGPUよりも更にレイテンシ(遅延)が短い、つまり処理が早いということです。
こうした技術トレンドに紐づけて検証するビジネス・トレンドから機会を探す投資。非常に面白いインベストメント・ジャーニーが出来ると思いませんか。