株式投資をするとき、証券会社のおすすめの銘柄を購入したり、株式に関する本や雑誌を参考にして銘柄を決めることもあるかもしれません。でもそのような時にその銘柄にとって悪いニュースがでたらどうしますか?
また、株価は日々のニュースによって動きますが、それにより売買をしてもうまくいかなかった、という方も多いのではないでしょうか?
ここでは、2019年3月8日に報道された「世界半導体、30か月ぶり減 GAFA向け足踏み」というニュースを題材に、株式投資におけるニュースの読み方を考えてみたいと思います。
企業が発表した決算資料を確認すること
決算データは新聞記事を鵜呑みにするのではなく企業が発表した決算短信と決算説明会資料を併せてなるべく早く目を通す事が大切です。
新聞記事の中には見出しは大きくても古い内容を蒸し返しているのものもありますし、とりわけ立ち合い時間中に発表されたものは、すでに市場でそのインパクトが消化されている場合があります。
朝刊や夕刊で記載される各企業の決算情報にはおもに2種類あります。
- 憶測記事
- 新聞記者が憶測で書く記事で、よく「当社が発表したものでありません」と当該企業がのちにコメントを発表したりするもの
- 事実記事
- 当日に決算説明会があり、新聞記者が出席して記事として記載するもの。逆に言えば、新聞記事になった時は、各種速報ニュースなどで、少なくとも市場関係者の間では既に周知の事実になっているもの。
記載されている記事がどちらなのかをよく確認しながら読むことが大切です。
ニュースが対象にしている「もの」はそもそもどうゆうものなのかを確認する
この記事では、「半導体」とひとくくりにかかれています。まずは対象を明確にする必要があります。
世間一般に半導体と言われるのは、「半導体集積回路」の略語です。普通はシリコンウェハと呼ばれる薄い円盤状の板の上に金属皮膜を作って、写真現像の要領で回路パターンを作成します。一度に数十個から数百個の四角い集積回路が円盤上に作成され、それを切り出してパッケージに包んで使います。
棒状のものがシリコン単結晶で出来たインゴット。これを薄くスライスしたものがシリコンウェハ。
これが回路を作り上げたところ。ここから四角くカットして出来上がり。
問題は、この中に描かれている回路の内容によって、演算処理が得意なロジックチップになったり、記憶が得意なメモリーチップ、或いは画像処理が得意なグラフィックチップになったりすることです。それぞれの用途は全く違うし、価格も何もかも違います。
インテルが作るCorei7やクワルコムが作るSnapdragonは典型的なロジックチップ、マイクロンやサムソンが作るのはDRAMというメモリー、Western Digitalが作るのもメモリーですが、Flush Memoryと呼ばれる電気を通電していなくても記憶が保持されるタイプ、エヌビディアが作るのはグラフィックチップなどです。
ひと口に「半導体」と言ってもそれが何を指しているのかを確認する必要があります。
ビジネスのトレンドと半導体の今後を検討する
上記のように「半導体」といっても様々な種類があります。
主たる用途がパソコンやスマホ向けだけのものならば、市場が飽和してくることで買い替え需要のみになるのは当然の話。
一方、時代はAI、IoT、5G、自動運転、エッジコンピューティングなど、大きなうねりが新たに始まったばかりです。仮にそうだとすれば、半導体の需要は増えることはあっても減ることは無い。それも今まで以上により高性能なものが必要になる、と考えることができます。
このようにマーケットにインパクトを与えそうな記事が出たときには、記事の表面を鵜呑みにせずに自ら確認し、仮説を立てていくことが大切です。そしてその仮説をノートに記録し、検証してみてください。
その中でミスプライシングのお宝銘柄に出会うかもしれませんから。