AIが先か、5Gが先か、いや、どちらもまだ先なのか?未来はあるのだろうか?

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AIが先か、5Gが先か

市場ではやれAIだ、ロボットだ、ディープ・ラーニングだ、或いは通信の世界で5Gが間も無く世界を変える、みたいな情報が喧伝されていますが、それら未来予測って、どこまでが本当で、どこからが絵空事なのでしょうか?考えてみたことありますか?

まずハイテク(新技術)の話をする時に注意をしないといけないのは、その言葉の定義です。単純な例で言えば「工場の製造ラインでロボット化進む」という記事があった時の「ロボット」の定義です。誰も製造ラインに鉄腕アトムやガンダムが勢揃いしている姿はまさか想像しない筈です。正解は溶接ロボットとか、組立てロボットとか、ある特定の用途に特化したものであって、人工知能を持ったアンドロイド紛いのものでは無いという。

最近のAIで身近なものと言えば、「ハイ!Siri!」(iOS)であり、「OK、Google」(Android OS)、或いは「アレクサ、今日の天気を教えて」(スマート・スピーカー)と言ったものでは無いでしょうか?これらは立派なAIです。

その一方で、先日のウォールストリート・ジャーナルによれば「2018年の広範な相場急落の陰には新たな現実がある。取引全体の85%が、機械やコンピューターモデルもしくは定型的なパッシブ投資にコントロールされているということだ。それらは驚くべき速さで同じ方向に進む「群れ」を生みだしている。以前にはなかった現象だ。」(12月27日「株価急落の陰で「群れ」なす機械取引」より引用)だそうです。ある意味ではこれも立派なAIであり、ロボットによる売買ということになります。

しかし私がこの記事から読み取ったのは「なんだ、まだまだ開発途上のシステムばかりなのだな」ということです。恐らく上昇基調の市場動向の中で作られ、改良を重ねてきたプログラムは、一旦モメンタムが反転して相場が下落ムードになった時、殆ど皆一緒に動く以外にノウハウが蓄積されていないモデルだったということです。たぶんこうしたクウォンツ運用のプログラマー達にとっては、2018年終盤の市場は想定外で、巨利を得たモデルもあったと思いますが、トレンドフォローになるだけで、稼げないモデルも数多あっただろうと思います。何故なら、ディープにラーニングしても、この10年近くはこうした下落相場のデータが無いからです。だから一方通行になってしまったのだと思います。

今注目のAI用途と言えば、やはり自動車の自動運転でしょう。完全に世の中でレベル5の自動運転が可能となって自動運転が普及する時代になったら、もう一度大きな産業革命が起きるかも知れません。また下世話な話ですが、米国の某調査機関の研究によれば、レベル5の自動運転は人口減少に歯止めを掛けるきっかけになるかも知れないということです。研究結果の内容はご想像にお任せします。

ただレベル5の自動運転に到達する手前の段階から、AIの技術進歩だけでは自動運転の開発は足踏みを始めます。そこにはどうしても5G以上の高速、広帯域、超低遅延の無線通信が必要になるからです。諸々の法整備の話とは別に、純粋にテクノロジーだけの話です。

それはどんなにGPSが精巧になろうとも、画像センシングが精巧になろうとも、そしてAIのディープ・ラーニングが進もうと、無理な話なのです。必要な要素となるのが、5G以上の通信を介した車同士の通信(車車間通信)、車と路面上のインフラ設備との通信(路車間通信)です。決められたルート上の制限された利用状況でのものは実用化されてくると思いますが、この段階では産業革命にまでは発展しません。人間が前を向いて何かあったら補助しないといけない段階である限り、それは自動運転ではなく、運転補助システムに過ぎません。

更に言えば、昨今の広義のコンピューティング環境発展の大きな立役者となったクラウド・コンピューティングですが、既にクラウド自体がアップアップになりつつあるのをご存知でしょうか?ひとつのボトルネックは、やはり通信環境ではあるわけですが、米中貿易摩擦などの問題もあり、5Gのインフラを誰が作るのかというような段階で進歩の足踏みが始まってしまっています。

でも誤解しないで頂きたいのは、ネガティブな材料を上げ連ねて「未来に夢は無いですよ」という話をしたいのではありません。全くその逆で、これからもう一度、インターネットが人々の生活を変えたような「情報通信革命その2」が起きるであろうということです。ただ、それらの各要素技術について、きちんと時間軸の見立てを正しい知識と情報の下に整理し直さなければ駄目ですということです。昔は株式市場がその任を負ってきた面がありましたが、昨今は全く役立たずになってしまっていると言えます。

米国でアマゾン・エコーなどのスマート・スピーカーの普及率が、2018年にクリティカル・マスを超え41%(2017年は21.5%)となったようです。私も毎朝「アレクサ、今日の天気は?」と声を掛けていますし、ナイトキャップのお供に「アレクサ、スムースジャズを掛けて」とお願いしています。そして寝る前にはつい「アレクサ、お休みなさい」と言ってしまいます。何と返事をしてくるかは、ご自身でお確かめください。きっと何かを感じられる筈です。

安価で、まだ入り口に過ぎないAIのおもちゃとこんなやり取りをしているだけで、やっぱりこの先の未来は楽しく明るいなと思ってしまえるものです。

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ファンドガレージ 大島和隆

Fund Garageへようこそ。主宰の大島和隆です。投資で納得がいく成果を得る最良の方法は、自分自身である程度「中身の評価」や「モノの良し悪し」を判断が出来るところから始めることです。その為にも、まず身近なところから始めましょう。投資で勝つには「急がば回れ」です。Fund Garageはその為に、私の経験に基づいて、ご自身の知見の活かし方などもお伝えしていきます。