収益予想は社長でも難しい、ましてや外部のアナリストになんて・・・
「株価は企業収益動向で判断するもの」、というのは株式投資をする上での常識中の常識です。
だからこそ、ファンドマネージャーやアナリスト達は毎年の決算を気にし、四半期ベースの決算動向をフォローし、月次の売り上げなども気にします。事実、決算の数値が良ければ値上がりするし、悪ければ値下がりします。
ただ私が運用会社の社長を2社経験した感覚から言えば、内容を知り尽くした自社の事でさえ、収益見通しを立てるのは極めて難しいことです。たぶんビジネス経験のある人ならば、私と同じように「明日の売り上げは幾らになるのか?」って簡単そうな予測すら、実は物凄く難しいというか、経験と勘に頼ったエイやっ!の世界に近いものだということ、ご同意頂けるかなと思います。
ましてや半年や一年、或いは中期経営計画などと呼ばれる数年先の企業収益予想の話など、ある程度の根拠はあるにしても、本当は当たるも八卦当たらぬも八卦の努力計画というのが正直な本音ではないでしょうか。
かくあるべきとか、こうなって欲しいとか、この位の利益は出したいという理想や夢物語と、実際に積み上げられるものとは全然違うという事です。
企業収益の道標こそ、ビジネス・トレンドだ
そんな中で、何を道標に投資判断を組み立てていくのが正解への近道かと、私が長い悪戦苦闘の中で見つけた方法は「右肩上がりのビジネス・トレンドを探す」ということです。
そして出来ればその中心にいるであろう企業を見つけ出すということです。
「右肩上がりのビジネス・トレンド」さえ確かなものを見つけることが出来れば、多少目をつけた商品やサービスが消費者という気紛れな存在に相手にされなくても、必ずや最後には正しい答えに辿り着けるからです。
「そんなものを見つけることは簡単なことではないよ」と思われてしまう方も多いだろうと思いますが、右肩上がりのビジネス・トレンドは必ず生まれるものなのです。
ビジネス・トレンドは必ずや存在するもの、見つけられるもの
なぜか?それは人間の欲望に際限がないからです。
常に今より楽しいことがしたいし、より楽に何でもすませたいと思うし、当然今より豊かになりたい、異性にもてたいなどと思っている筈です。それは人間の欲望に際限がなく、常に今より前に出たいと思うからです。人間の欲望が次から次と膨らむからこそ、人類は進歩し、前進してきたのです。
映画「ウォール街」で主人公ゴードン・ゲッコーは言いました「欲望こそ、人間が進歩する原動力だ」と。
もうお分かりの通り、企業の決算書を紐解いて財務諸表分析をするのは、一般の方には敷居の高い話なのだろうと思います。でも、そこに書いてある来期予想の確からしさは前述した通りだとしたら、株式投資はより多くの人にとって身近なものになる筈です。
なぜなら自分自身の欲望の方向性を感じつつ、身の回りの出来事にちょっとアンテナを高くした時、専門ファンドマネージャーでなくても、その右肩上がりのビジネス・トレンドは案外簡単に見つかるものだからです。
例えば、スマホを始めて手にした時のことを思い出してみてください。最初は誰もが「凄い、凄い」と驚嘆するだけだったかも知れません。でも一年も経つと多くの人が言いだしたのは
- 「もっと通信速度が速ければ良いな」とか、
- 「バッテリーの持ちが長ければ良いな」とか、
- 「画面がもっと鮮明ならば、スマホのTVでプロ野球のボールの行方も追えるのに」
なんて話でした。これらこそが人間の飽き足らない欲望の連続です。
でも、それを満たすように今では5Gの話になるまでドラマは進み、4Kや8Kという画面解像度の話にまで世界は進んできています。バッテリーに関しては、まだまだ解決感は無いですが、容量は格段に増え、消費電力はどんどん低下しています。
そうした話が、誰(企業)が頑張っているからだろうと考えて、ちょっと調べてみれば、まず間違いなく株価が大きく上昇した企業を見つけることが出来ます。実はそこに精緻な財務諸表分析や、専門家が好むような小難しい分析は必要ありません。
だから身近なところに投資のチャンスはありますと私には断言出来るのです。