それはトランプ大統領が「バージニア州シャーロッツビルで12日に白人至上主義者らと反対派が衝突、突っ込んだ車によって反対派の女性1人が死亡した事件に対して、「双方の側」に責任がある」と言ったことからの波紋だった。これを受けて大統領の助言組織「戦略・政策フォーラム」に参加する米産業界の首脳たちは、これ以上はトランプ大統領についていけないと考え、自主解散することをホワイトハウスに伝える予定と報道された。

しかし、これを察知したトランプ大統領は、先に得意のTwitterで「製造業諮問委員会と戦略・政策フォーラムのメンバーである企業経営者らに圧力をかけるくらいなら、私は両組織とも解散する。皆さんありがとう!」と呟き、先手を打つ形で解散してしまった。

この一連の動きを見ていて思うのは、トランプ大統領と金正恩最高指導者も、どっちもどっちの共通項があるということだ。

すなわち「自分の意にそぐわない者は皆周りから排除する」というものだ。国家の首席でも、企業のトップでも、共に重要な人格的要素は「耳が痛いことでも、真摯に耳を傾け、必要ならばあらためる」器量の大きさだ。どうも二人ともこの点において酷似しているように思われる。

米国政府は未だに主要なポストの人選が決まらずに空席が目立って空回りしているというのに、更に首にしたり、解散したり、地政学的リスクの問題のみならず、現在の米国自体も極めて危うい。

異なる点は、金正恩最高指導者が世襲でその地位を得ている一方で、米国トランプ大統領は長い大統領選挙の結果として、米国民に選ばれた人だという事だ。今、米国民は何を思っているのだろうか?このまま行けば、恐らくトランプ大統領が再選されることは無いだろうというのが一般的に外から見ている者として印象だが、3年後、もし再選するような流れが見えることがあるとしたら、米国系のリスクアセットは全て処分した方が無難。今はそんな風にしか思えない。