今朝(7/7)の日経新聞朝刊、大機小機の「会社を潰すのは経営者」というのは、タイトルを見た段階は「御意!」と思った。トップの判断ミスが組織の未来を左右する。にも拘わらず、トップの中には「裸の王様」が沢山おり、唯我独尊タイプの「俺様社長」が居る。共通しているのは、周りの人の言うことに耳を貸さないということ。年齢が行けば、それだけ誰でも頑固になる。それまでの自分の成功や栄光への自信が深まる。だから人の話を聞かなくなる。結果、会社は潰れる方向に向かいだす。という、主旨は賛成なんですが・・・。

でも、大きな問題はここにもありました「マクロの経済環境は企業には動かすことができないが、企業業績に極めて重要だ。例えば日本の消費は消費税増税後に低迷したままだ。こういう時に企業が売り上げを増やすのは難しい」という、今の株式市場に蔓延しているマクロ崇拝主義。

確かに、マクロの経済環境が宜しくなければ、全体全部で浮揚することは難しいかも知れない。しかし、それと個々の企業の売り上げの話はイコールではない筈だ。それはゼロサムゲームで、パイの取り合いになるかも知れないが、それでも決して個々の企業の話と同義にはならない。なのに、昨今の日本株式市場は「米国の雇用統計」だの、「ISM景況感指数」だの、自国のマクロ数値はおろか、他国のマクロ数値で動くような状況が続いている。だからパッシブ運用が礼賛されるのか、パッシブ運用を良いと思う人が増えたから、こうなっているのか。

「今日の東京市場は、今晩の米国雇用統計の発表を前にして動きずらい展開となるでしょう」「米国のISM景況感指数が市場予想を裏切ったので、今日の東京市場も上値は重くなるでしょう」などなど、尤もらしくマクロデータの話、それも遥か遠くアメリカのそれをコメントに織り込んだりすれば、“賢そう”に聞こえるのかも知れない。先程の新聞の文章も、サラッと読む限り、マクロの話を織り込んで、それらしく聞こえるのかも知れない。

でも、ちょっと待って。アメリカの雇用統計が悪いと、皆さん食欲が落ちますか?ISM景況感指数が悪ければ、お風呂に入っても、シャンプーで頭を洗うのを躊躇いますか?そう、マクロデータはあくまでマクロの話であって、ミクロでみたら、人間生きている限りお腹は減るし、梅雨時ともなれば汗臭くなりシャワーが必要性を増します。すなわち、尤もらしいマクロなんて、ぜーんぜん関係ないミクロの世界、人々の生活や好みの変化は沢山あるということです。

さらに言えば、今までより余計に1回車検は取るかも知れないけれど、車が絶対必要なエリアに住んでいる人は、車を買い替えるのを諦めませんよね。「カーシェアリング」なんてお洒落な話は、首都圏の一部の交通の便の良いところに住んでいる人たちの話であって、ちょっと郊外に出れば車庫スペースに車が2台なんてのはザラですから。

つまり何が良いたいかと言うと、株価動向を考える時に、変に賢そうにマクロの話を考えすぎるなということです。そういう人は、マクロだけを見ながら、インデックスファンドやパッシブ運用のETFをのんびりと持っていたら良いだけの話です。そうではなく、株のダイナミズムと戦いながらもプラスアルファの投資収益を上げたいと思う人ならば、マクロだけではなく、ちゃんとミクロも見るようにしましょう。そこに答えは出てくるのだから。

「マクロが悪い中で売り上げを増やすのは難しい」という意見、確かにマクロが良い時のように簡単では無いかもしれない。でも人は毎日お腹が減る。例えばコンビニ弁当。お昼時ともなれば、多くの人がレジの前に列をなして買っている。それは何故だろう?値段の割に、美味しいからで、ガテン系の人さえも満足出来るボリュームだから。

先日、「本日限り ビッグマック 200円」のチラシにつられて久しぶりにマクドナルドでビッグマックを食べてみた。バリューセットにすると割高なのは知っているので、勿論単品で購入。でも朝から体を動かしていた大食漢としては、これだけでは足らず、フィレオフィッシュだけ、とコーラのSサイズを頼んでみた。すると200円のビッグマックに釣られた筈だったのに、支払いは700円近くになってしまった。バリューセットでもなく、ポテトも頼んでいないのにである。

今、吉野家も松屋も牛丼を並盛ならばテイクアウト380円、コンビニ弁当ならばやはり400円前後。それに対して、フィレオフィッシュが単品で320円というのには、レシートを見て驚いた。あれひとつ食べても、満腹感はない。石ちゃんなら一口でしょう。つまり価格設定、マーケティングのミス。たぶん、立て直す方法は幾らでもあるだろう。そうすれば業績は回復するし、結果として株価は上がる。

トヨタの軍門に下って息を完全に吹き返したのが富士重工。車そのものに拘り続けて元気なのがマツダ。経営がボロボロが故に青色吐息なのが三菱自動車。どれもマクロ要因よりも、経営、すなわちミクロ要因としか言いようがない。

海外市場の日経平均先物の終値を中心に上下150円程度の幅を持たせて今日の想定レンジとし、米国マクロでその日の日本市場を語ろうとする習慣は、そろそろ止めないと、お客様がみんなそっぽを向くと思うのは私だけだろうか?

これ、仲のいい、元お客様が先日も同じことを言われてましたよ。