今朝のNY市場を振り返る
今朝の米国株式市場は、主要3指数の内、ナスダック総合とS&P500種が共に値上がりしてプラス圏で引ける一方、NYダウも寄付き以降は上昇基調を辿るもプラス圏への浮上は出来ずに終了した。
具体的には、ナスダックが前日比 +77.31(+1.08%)となる7,257.87、同じくS&P500種が前日比 +13.58(+0.51%)となる2,691.25となり、NYダウだけ前日比-70.92 -0.29%となる24,538.06ドルで今週の取引を終えた。日中の動きは下記のチャートの通りである。寄付き後からは買い戻しが徐々に入りはじめ、ほぼ日中を通して値を戻し続けた。
これには、昨日市場に驚きを齎したトランプ大統領の発言をどう見るかなどを市場がよく考えたことが背景にあると考えられ、概ね昨晩がブログにアップした「一時635円51銭安も演じて、大引け542円83銭安の21,181.64円の日経平均」の内容通りとも言え、同じような視点のWall Street Journalの記事も幾つか、別途Fund GarageのTwitterやFacebookページの方にも今朝、引用しておいた。
そしてもうひとつには、大統領が一見すると政策に対して断固たる姿勢を取っているようでも、後に撤回するという最近のパターンから、実際に導入される関税は世界の成長を阻害しないのではという楽観が強まったことも背景にある。
指数の属性的に考えれば、新興国市場での売り上げ規模が大きい航空機のボーイングや建機のキャタピラーが売られればNYダウは30銘柄で構成されているのでひとたまりもなく、更に、投資判断の引き下げがあった外食のマクドナルド(-4.77%)が売られたこともダウ平均を下押しした。この3銘柄での値下げ分だけで110ドル相当足を引っ張っており、インテル、メルク、ジョンソンエンドジョンソン、P&G、ファイザーなどプラスで頑張っても支えきれなかったと言える。
来週の日本市場はどうなるか?
株価の上昇に合わせて債券利回りも上昇、10年債利回りは2.86%で週の取引を終えている。ドル円は105.72円と円高がやや進んで105円台になってしまったものの、シカゴの日経平均先物の終値は21,125円と今日の東京市場の終値21,181.64円より若干小安い程度で終わっている。
来週の日本市場を考える時、一番問題となるのはトランプ大統領の追加関税政策の真剣度と影響度ではあるが、「一時635円51銭安も演じて、大引け542円83銭安の21,181.64円の日経平均」リスク・パリティ戦略ともリスク・パリティ運用とも謂われる運用手法の輩の動きがどうでるかによる部分が大きいと考える。
ただ、昨晩のNY市場で発表された2月の米ミシガン大消費者信頼感指数(確報値)は99.7で、市場予想の99.5をわずかながら上回っている。水準としては2004年以降で2番目に高い水準。とは言え、見逃せないのは速報段階では99.9で確報値で下がっているという点だ。同様なことが他に及んでおり、景気現況指数は114.9、速報値は115.1、消費者期待速報値は90.0、速報値は、90.2と、共に速報値からはリバイスダウンされていることである。期待先行ということか。
今年の米国中間選挙を考えた時、トランプ大統領は頑固に保護主義を訴え続けている風を装い続けなければ、固定票を逃がしかねないが、一方で米国景気全体がスローダウンするようなことになれば、それは論外な政策とも言える。最初の任期4年間だけで終わりたいならば与党である議会共和党の意向を無視することも可能かもしれないが、通常の大統領は再選を目指す。となれば、中間選挙でもホワイトハウスだけが孤立することは出来ない。ということを考えれば、追加関税も世界の成長を阻害しないものになり、また足元の経済速報の動向からは過度なインフレ期待は消えていくものと考えられる。
気になるのは来週末の2月の雇用統計だ。年度末でもあり、こうした「重要指標」と呼ばれるものが発表される前に、識者たちは必ず「週末の雇用統計が・・・」と枕詞のように使うだろうし、実際に運用者たちも職人肌の人を除いて、「週末に雇用統計があるからね」と動かない理由を口にするだろう。とすれば、やはりメインプレイヤーはリスク・パリティ戦略族ということになるのかも知れない。
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