今朝の日経朝刊(10/31)早読み。5番目の記事に取り上げた「民意どう測る(中)探れ 携帯だけの世帯 データ分析の蓄積少なく」だが、記事を読めば読むほど「なるほど、そんないい加減なデータだったんだ」と思ってしまう。或る意味では昨今の世間を騒がす「データのねつ造」に近い話だと思う。今時、固定電話だけで聴取した内容で「世論調査」とされても、外出中なども含めれば、固定電話での聞き取り可能対象がどれだけ偏っているかは議論をするまでも無い。その結果が堂々と大手メディアが「世論調査の結果」と公表し、それで政治が右往左往するのであれば、これは由々しき問題だ。だから18歳から29歳までの民意とそれ以上の層の世論は明らかに違うのは、こうしたところにもその原因があるのだろう。

1. 【1面】診療報酬マイナスに 来年度、薬価大幅下げ

薬価の引下げはまだ分かるが、医師の人件費にあたる診療報酬を引き下げることは如何なものか疑問。厚生労働省と財務省は2018年度予算編成で、医療行為や薬の対価として医療機関が受け取る診療報酬をマイナスにする方針。薬の公定価格である「薬価」を大きく下げ、医師の人件費と合わせた報酬全体を引き下げる。国の財政状況は厳しく、社会保障費の見直しは避けられない。全体のマイナス改定が固まったのを受け、医師の人件費の見直しが焦点となる。老人医療費の膨張が高齢化と共に問題になっているのは事実。不要不急の受診に関しては受益者の負担をもっと増やす(自己負担割合の調整)とか、細かな調整が必要なのでは無いか?またそろそろ本気で議論すべきは、高額延命医療の是非ではないだろうか?

2. 【1面】スプリントと米携帯3位、統合中止申し入れへ ソフトバンク

ソフトバンクグループは傘下で米携帯電話4位のスプリントと同3位のTモバイルUSの経営統合に向けた協議を打ち切る方針を固めた。31日にもTモバイル親会社の独ドイツテレコムに申し入れる見通し。スプリントとTモバイルの統合した後の新会社の筆頭株主となることを互いに主張し続けたため、交渉の最終局面で折り合いがつかなかった。米携帯電話市場を巡るソフトバンクの再編構想は振り出しに戻る。

3. 【1面】ヤマダ電機がEV 小売り主導、100万円以下に

作ることは出来るのかも知れないが、問題となるのは、安全性と、商品のアフターサービス体制だろう。行動を時速数十キロで走る以上、品質上の問題で事故が起きたら大問題だ。嘗て、トヨタのエンジニアと話した時「家電メーカーとは基本的な考え方が違う」と言っていたし、事実そうだと思う。だが、家電量販最大手のヤマダ電機が電気自動車(EV)事業に参入するという。EV開発のベンチャー企業に出資し、部品は中国の自動車大手からの調達を見込む。生産は船井電機に委託し、2020年までに低価格のEVを発売する。EVはガソリン車より参入障壁が低く、自動車以外のメーカーも発売を計画する。ヤマダ電機のような小売事業者までプレーヤーが広がり、競争が激しくなる。本当に大丈夫なのだろうか。

4. 【総合2】神鋼、業績立て直し暗雲

信用を無くすのは瞬時の事だが、信用を築くのは時間が掛かるというお手本みたいな話だ。神戸製鋼所は30日、アルミ・銅のデータ改ざん問題を受けて2018年3月期の連結純利益の見通しを撤回した。3期ぶりに350億円の黒字転換を見込んでいたが、部品交換や賠償請求がどれだけ広がるか算定できないためだ。10円を予定していた中間配当も見送った。業績の立て直しへ多様な収益源の育成を進めてきた神鋼の戦略は見直しを迫られている。これはあくまでも現時点で想定できる損失だ。顧客離れが本格的に進むのはこれからになる可能性があり、アルミ・銅や鉄鋼の受注がどこまで減るのか予想が難しい。

5. 【政治】民意どう測る(中)探れ 携帯だけの世帯 データ分析の蓄積少なく

正直驚いたが公にしたのは偉い。それは日本経済新聞社が衆院選の情勢を探るために実施した世論調査は、固定電話のみが対象だということだ。他も同じだろう。携帯電話は無作為に対象を抽出しても、どの選挙区の有権者かが分からない。選挙区ごとの情勢判定や獲得議席の予想に生かす予測モデルは確立されていない。しかし携帯電話のみを持つ有権者は増えている。「携帯限定層」の世論をどう反映するかは今後の課題になる。固定電話に連絡をした場合でも、自宅の状況を考えれば、誰が一番電話を取る可能性があるのか?それによって世論調査の結果は変わる。何故なら、4人家族が全員有権者でも、固定電話は1本しかないからだ。これは早急な対策が望まれると思う。

6. 【経済】一般会計98兆円前後 来年度予算案 国債減額、継続カギ

財務省は2018年度予算案の一般会計総額を98兆円前後とする方針だ。17年度当初予算と比べて5000億円ほど増え、当初予算としては6年続けて過去最大を更新する。高齢化に伴って医療や介護などの社会保障費が膨らむためだ。安倍政権は当初予算の編成で新規国債発行額を減らしてきた。税収が伸び悩むなか、新規国債の発行減を続けられるかが焦点だ。社会保障費をどこまで減らせるかが肝心なポイントだと思う。

7. 【企業総合】任天堂「スイッチ」で復活、新しい遊び方追求で成果

「従来とは違う遊び方が顧客に届いた」。君島達己社長は30日の記者会見で、スイッチ成功の理由をこう表現した。「持ち運べる据え置き機」をキーワードに掲げ、自宅などで遊べるだけでなく、タッチパネルを備える本体部分を携帯できるようにした。コントローラーを取り外せば屋外でも1つの画面を見ながら2人でプレーできる。映像表現を追求したプレイステーション4や、手軽に遊べるスマホにゲーム愛好家を奪われ続けてきた任天堂。新しい遊び方を提示することで、愛好家を取り戻すだけでなく、任天堂の主要顧客である家族層も囲い込んだ。結果として任天堂は30日、2018年3月期の連結営業利益が前期比4倍の1200億円になりそうだと発表した。3月に発売したゲーム機「ニンテンドースイッチ」が当初計画を上回るペースで伸びており、通期の販売台数は従来の1000万台から1400万台に上方修正した。任天堂の底力を見たような気がする。

8. 【企業2】レノボ、富士通子会社に過半出資

富士通が中国・レノボグループとのパソコン事業の統合で最終合意する。すでにレノボと統合したNECに続き、富士通の再編形態も固まった。やはりアッセンブリーしかやらない(出来ない)ビジネスは続くわけがない。SONYも東芝も、NECも富士通も、パソコンのキーパーツを作っているわけではない。単なるアッセンブルだ。インテルのCPUにWDのHDDやSSD、メモリーはSAMSUNG、MBはASUSなどなど、部品は全部持っていかれてしまった。「総合電機」という看板を何故外して、何かにもっと特化しなかったのかと投資家の立場では前から思っている。

9. 【投資情報2】花王、最高益下の憂い 1~9月、化粧品出遅れ鮮明

花王が30日発表した2017年1~9月期の連結決算(国際会計基準)は、営業利益が前年同期比5%増の1377億円だった。紙おむつなど主力商品が好調で、沢田道隆社長が「高い目標」と話す通期の営業利益予想2000億円が視野に入ってきた。そんな花王の泣きどころが国内の化粧品事業だ。インバウンド(訪日外国人)需要を取り込む資生堂など競合他社に水をあけられている。仏ロレアルや米エスティローダーをみても、世界的に高級化粧品が伸びているらしく、事実資生堂の「クレ・ド・ポー ボーテ」やコーセーの「コスメデコルテ」など他社の1万円以上する高級化粧品は百貨店を中心に販売が好調だ。花王も1本1万円を超える乳液といった高価格帯の商品を強化するが、沢田社長は「単価を上げる流れに乗れていない」と嘆く。そんな高い乳液を塗っても・・・・。おじさんの独り言です(笑)