今朝の日経朝刊(12/13)早読み。病院の入院病棟に近時訪れたことがある人はご存知だろうが、そこは20年前ぐらいの時の雰囲気とは大きく違っている。それ以前と比べれば尚更だ。医療の発達は、心臓の鼓動だけをいつまでも引き延ばす技術には長けてきた。しかしその代償は「チューブ地獄」とも言える。また脳の老化損傷を止める技術は、まだあまり発達していないとも言える。老々介護の現実も大変厳しいものだ。何をもって健康体で長生きと定義するのか。それを再考してこそ、社会保険料の無尽蔵な増加阻止と、クオリティ・オブ・ライフが追求できるのではないかと思っている。

1. 【1面】所得税改革、21年以降も 労働市場変化に対応 与党税制大綱原案

既に既報の通りなのだが、2018年度与党税制改正大綱の原案が12日、明らかになった。所得税改革では年収850万円超の会社員を増税することを盛り込んだ。多様化する働き方に対応するため、誰もが使える基礎控除を増やし会社員向けの給与所得控除を減らす。20年1月から実施する。大綱では21年以降も基礎控除の充実をはかり、労働市場の構造変化に対応する方針を明記した。与党は14日に大綱を正式決定する。基礎控除は一律10万円増やし、給与所得控除は年収850万円以下は10万円減らす。控除額の上限は年収850万円超で年195万円に下げる。22歳以下の子どもや、特別障害者控除を受けるなど介護が必要な人がいる場合は「負担増が生じないよう手当を行う」と明示した。

2. 【1面】医師の報酬0.55%上げ 政府最終調整 前回改定上回る

2018年度予算編成で焦点の診療報酬改定を巡り、医療職の人件費などにあてる本体部分をプラス0.55%とすることで最終調整に入った。前回の2016年度改定の0.49%を超える改定率として、賃上げ資金が必要だとする日本医師会の主張に配慮する。気になる記述は「医療サービスの単価は上がり、保険料や税金など国民負担は約2200億円増える」という部分。確かに医師の報酬を上げれば保険料などの負担は増えるだろう。でも本当に議論しないとならないのは、そんな目先の問題なのか?どうして医療費の負担が増え続けているかということだ。医療費そのものを削減する、つまり高額なただただ延命するだけの末期医療をどうすべきなのか、などを議論する機会があっても良いのではないだろうか?私の尊厳死という考え方を支持するから。

3. 【総合1】ウーバー脅かす爆弾文書 「知財盗用」元社員証言、地検が捜査 問われるIT企業の倫理

曰く「米ライドシェア(相乗り)最大手、ウーバーテクノロジーズの経営を揺るがす爆弾のような文書の存在が明らかになった。他社の知的財産を盗んだり、外部の調査をかわそうとしたりする疑惑を含んでおり、急成長の影の部分を感じさせる内容だ。セクハラや個人情報流出による信頼失墜に追い打ちをかけ、さらなる混乱を招きかねない」という。確かに、知財盗用を目的とする専門部隊があったというならこれは頂けない。他社の情報を集め経営戦略に生かしたり、通信の機密性を高めたりすることに違法性はない。だが囲い込まれた基幹技術を盗み、自社のサービスに使えば、不正競争を防止する法律に違反するからだ。でも多分多くが事実なのだろう。でもウーバーが潰れても、それを補完する企業は直ぐに登場する筈だ。

4. 【社説】介護報酬増額で25年問題を乗り切れるか

曰く「2018年度からの介護報酬の改定が、大詰めを迎えている。政府は微増の方向で調整しているようだが甘いと言わざるを得ない。25年には団塊世代が全員75歳以上になる。このまま給付が膨らめば、制度を安定的に持続させることはむずかしくなる。真に必要な人に質の高いサービスを届けるためには、もっとメリハリをつけるとともに、25年を見据えた抜本的な見直しが不可欠だ」既に私の父は89歳になる。いよいよデイケアセンターのお世話になっても居るが、まだ健全な母もおり、負担は軽い方だ。しかし認知症の老人をケアすることの大変さは見ていて気の毒なばかり。老々介護は限界があろう。だからこそ言いたいのは「人生100年の時代」なんて、今の体制のままで興して本当に良いのだろうか?戦国時代の「人生50年、下天の内を・・」と言う敦盛の歌の時代に比べて2倍に膨らますには、長生きの意味を含めて、もう一度考え直すべきだ。

5. 【総合2】公的年金、成績連動で報酬 運用利回り引き上げ狙う

曰く「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2018年度から、資金を委託した運用会社への報酬の支払い方法を変える。運用残高に応じて一定の比率の報酬を払っていたが、今後は運用成績に応じて報酬の水準を変える「成績連動型」に切り替える。報酬を各社が運用力を磨く動機づけにして運用利回りを引き上げ、国民の年金資産の拡大につなげる」という。考え方はご立派、仰る通りだと思う。しかし、ならば箸の上げ下ろしまでにも物申すみたいな運用管理と言うか支配は止めるべきではないだろうか?自由度を上げなければ、パフォーマンスの差など出るわけがない。雀の涙みたいなものだ。制度設計はきっと優秀な官僚タイプの人が行っているのだろう。ただ、運用の本当の現場(パフォーマンスを上げるという意味)をよく知ってからすべき改革は多い筈だ。

6. 【政治】民進再建策 3案軸に 新党/党名変更/現状維持 きょう常任幹事会

あ、まだやってんだと言うのが正直な印象となるほど影が薄くなった。民進党は13日に開く常任幹事会で党再建を巡り協議する。大塚耕平代表は、他党との合流や解党による新党立ち上げ案や党名を変更する案、現状を維持する案の3案を軸に改革案を示す。党内では「民進党のままでは2019年参院選は戦えない」と早期の新党結成を求める声はあるが、党存続を主張する意見も根強い。執行部は年内に意見集約を図りたい考えだが難航する可能性もある。ただ問題は、徳川埋蔵金では無いが同党に残された多額の政党資金の行方だろう。同党は政権を取った時、正にその埋蔵金で財政改革をしようとした党だ。自らの懐にも埋蔵金があるとすれば、党の改革はもめるに違いない。