今朝の日経朝刊(11/29)早読み。朝刊には間に合っていないようだが、北朝鮮は29日午前3時17分ごろ、北朝鮮西部の平安南道ピョンアンナムド平城ピョンソン付近から東方向に弾道ミサイルを発射したようだ。新聞の記事の内容は割と景気の良い話が多い中で、こうした地政学的リスクの具現化は非常に悩ましい。

1. 【1面】半導体 IoTで急成長期 2年で3割増予測 投資拡大、供給過剰懸念も

世界の半導体産業が異例の成長を続けて3~4年で好不況を繰り返すシリコンサイクルを覆す勢いで中期的な成長局面が続き、2018年の世界市場は16年に比べ3割増える見通しという。ビッグデータを人工知能(AI)が高速処理したり、IoTで大量に集めた情報を保管したりする新しい需要が市場を引っ張るからだが、供給過剰の懸念も生じているという。つまりシリコンサイクルが無くなったわけではなく、単にサイクルが伸びたという説だ。多分それは間違っていないだろう。ただ、半導体を利用するものが極端に多くなることで、そのサイクルは一山が長くなる。谷が来るときもあるだろうが、それを恐れていては、投資は出来ない。

2. 【1面】高速道に財政融資1.5兆円 来年度、財務・国交省が調整

その昔、高速道路の地方での延伸計画は、全く首都圏在住者には目立った恩恵は無く、非常に困ったものだと思ったが、近年の圏央道や首都高速の新環状線などの建設は、明らかに首都圏の渋滞緩和に役立った。確かに構造的には土木事業へのバラマキ的な雰囲気はあるが、首都圏の高速道路の整備、首都高速の渋滞緩和対策を含む老朽化対応などなら、経済の無駄の解消に繋がるので、これは早期に前向きに進めるべき話だ。これを無駄な道路建設と非難する人は余程の変人と言えよう。

3. 【経済】税収、来年度バブル期並み 27年ぶり58兆円超 財政規律緩む懸念

国の2018年度税収の見積もりが27年ぶりの高水準となる57兆7120億円となりそうだ。国の税収が58兆円を超えれば1991年度の59.8兆円以来で、バブル期の好景気に並ぶ水準となる。当初予算比で見ても、98年度の58.5兆円以来の規模になる。安倍政権が発足した12年度以降では一番高くなる。上記記事にも関連するが、税収がある時に、次世代に残せるインフラ整備などに資金を投じるべきだ。それは首都圏や中京圏、或いは関西圏などの人口密集地に関わるところ。単に道路をひっくり返して埋め直すだけの従来型の工事ならば意味が無いが、高度成長期に作った老朽化したインフラをより現代の需要に合うように作り替えること、これを税金の無駄とは思わない。直ぐに財政規律だ何だと言い出すのは、全くナンセンスと思う。

4. 【経済】日銀ETF、時価20兆円 株高で自己資本の2.5倍に

年6兆円のペースで買っているのだから、こうなるのも当たり前。日銀が28日に公表した4~9月期決算によると、上場投資信託(ETF)の保有時価が20兆3千億円と3月末から4兆4千億円増えた。9月末より今の方が株価は上昇しているので、今は更に含みが膨らんでいるだろう。保有時価は自己資本の2.5倍。含み益は過去最大の4兆2千億円となった。こうなると確かに株安時に資本を毀損するリスクがあるとも言えるが、どの水準をもって毀損したと定義するのだろうか。4兆2千億円分が水泡に帰すときは、日銀の資本毀損を気にしている場合では無いことになっている筈だ。

5. 【企業総合】トヨタ、焦燥の前倒し人事 役員交代4月→1月、外部人材登用 金融や新市場開拓

こうした大胆な行動を取れるうちは、トヨタは強いだろう。曰く「トヨタ自動車は28日、2018年1月1日付の新体制を発表した。例年より3カ月早く80人規模の役員級の人事を決定。三井住友銀行などから人材を招き、自前主義脱却を人事でも進める。背景には前例にとらわれていては車の激変期を生き抜けないという豊田章男社長の「攻めの姿勢と焦燥」(幹部)がある」だそうだ。ただ新聞は異例の改造人事で、トヨタは強さを維持できるのかと訝しむが、柔軟にかつ大胆にマネージメントが動けるうちは企業はまだ強いと思われる。かなりな軋轢もある中で断行される役員級80人の異動、簡単に言う程に容易い話では無い。

6. 【企業1】紳士服大手、アマゾン進出 AOKI・コナカなど、専用ページ 市場縮小で難局打開

AOKIホールディングスやコナカなど紳士服大手は、アマゾンのサイト内に男性用ビジネスウエアを集めた専用ページを開設した。スーツやワイシャツ、雑貨などをブランド横断して購入できる。衣料品店「ユニクロ」はアマゾンで販売しないと打ち出すが、団塊世代の大量退職などで厳しい局面に立つ紳士服各社は「小売りの巨人」の懐に飛び込む道を選んだ格好だ。「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは「アマゾンでユニクロの服は売らない」(柳井正会長兼社長)と明言していが、米国では、既存企業に影響を与える「アマゾン・エフェクト」が衣料品業界に広がり、米ギャップは9月、約200店の閉鎖を発表。米百貨店大手のメイシーズも店舗閉鎖に追い込まれている。米調査会社カウエンによると17年のアマゾンの衣料品販売高は280億ドル(約3兆1000億円)に達し、米最大の衣料品販売店になるとされる。