今朝の日経朝刊(11/27)早読み。毎週思う事だが、月曜日の朝刊は本当に記事が薄い。これならば月曜日は毎週休刊にして、その分新聞購読料を値下げしたらどうだろうかと提言したい。取ってつけたようなオピニオン記事や時事性の無いコラムの羅列を読者は期待していない。紙面を埋めるために無理やり原稿を書くなら、潔く定期休刊、値下げというのが正しい選択だろう。だから1面に突っ込みどころ満載の記事が今朝は並んでしまった。労働生産性の話は農林水産業への突っ込みが足らないし、世論調査は前提としての用語定義が曖昧で、またバイアス修正が出来ていない。つまり年収分布が標準正規分布になっている前提で集計されているようなものだ。経済新聞であるなら、統計処理ぐらいはきちんとして欲しいものだ。

1. 【1面】危機を好機に(1)成長か衰退か 人手不足 飛躍のバネに

興味深いことが書いてある。それによると、今後の実質国内総生産(GDP)の成長率を足元の潜在成長率並みの0.8%と仮定すると、労働参加率が現状のままでは7年後の2025年に583万人の労働力が不足するらしい。また克服するためには、労働生産性の伸び率を14年までの20年間の平均値の0.9%から3倍超の3%にする必要がある。女性らの労働参加率を最大限高めても、なお3割増の1.2%に高める必要がある。実質GDPの成長率が2.0%の場合は今のままでは労働生産性の伸び率を6%超、労働参加率を最大限高めても2.8%にする必要があるという。これはGDPの成長率から計算した労働力不足の問題。謂わばトップダウンなので、経済政策を考える側の材料だ。だが実態経済はボトムアップである以上、そう簡単に労働生産性も、労働参加率も伸びるとは思えないので、GDP成長率は、例えば2025年については、その足りない583万人をベースにどこまで伸ばせるかを感がるべきであろう。
労働生産性や労働参加率の問題で一番手古摺るのが、きっと農業や漁業などの一次産業だ。米国やフランスが強いのは、移民を受け入れてきた長い実績があるし、そもそもがちょっと田舎に行けば物凄い一次産業の国であるという事だ。NYなどの都市は例外中の例外。日本はその逆だ。農業や漁業関係者の平均年齢を調べれば、どちらも60代半ば。7年後には間違いなく70代半ばだ。ロボットは兎も角としても、スマホで何か置き換えられる産業ではない。
例えばひとつの提案として、都心部や都市部での、無駄なビルの建て替えを禁じてみてはどうだろうかと思う。つまりまだ使えるものを壊して近代化しようとする無駄を省けば、土木作業が減る筈である。最近よく見るのは、千葉県登録のダンプカーが横浜を走っている図。そうした出稼ぎの需要が無ければ、何割かは地元産業に従事するしかなくなるのではないか?それと農業や漁業の近代化(企業化)だ。地元漁師の船、ではなく地元企業の船に置き換えられるような法改正だ。イオングループに就職したら、最初の配属先は気仙沼で漁業だったみたいなのも、笑い話でなく真剣に考える時なのでは無いだろうか?技術伝承が出来る間にしておかないと、日本の農林水産業は間違いなく消滅の道を辿っている。都市部が人を集めるべき時代は当の昔に終わっていると思う。

2. 【1面】認可保育無償化「高所得者は負担を」57% 内閣支持横ばい52%

世論調査で、政府が検討する教育無償化で3~5歳の認可保育所をどうすべきか聞いたところ「高所得者は一定の自己負担をすべきだ」が57%と過半を占めた。政府は全世帯を無償化の対象にする方針だが「所得に関係なく無償化すべきだ」は26%にとどまった。「所得に関係なく無償化すべきでない」は11%だったというが、こういう調査の時に曖昧なのが、高所得者とは幾ら以上の年収を言っているのかの定義が無い事である。週刊誌で見た記事でZOZOTOWNの社長が、マイバッハに乗って、行きつけのレストランに行く記事があった。確かにこうした人達にとって、教育費の負担は特に痛くも痒くもないだろう。公平か不公平かという点で議論を残すとは思うが、実質的に負担苦は無い筈だ。しかし、税調などが言っている高所得者の年収水準は極めて低い。確か1000万円前後のところに線引きラインがあった筈。こういう世論調査は「年収1000万円以上の人は自己負担すべきか」と具体的に問い掛けるべきであろう。更に言えば、人間の欲得は、必ず「先ずは自分」と思う筈であるから、平均年収ゾーンとそれ以下のボリュームゾーンで必ずこうした結果になるのは自明の理。母集団の数が違う。それを世論調査結果として経済新聞がまともに取り合うのは、統計学を一度勉強し直してから、こうしたバイアス修正の仕方を学んでから行うべきだと思う。世論調査の問題を考えている人が頼りないのかも知れない。まあ、ポピュリズム的には民衆には受けは良いと思うが、間違った報道は、この国を衰退させるだけだ。