今朝の日経朝刊(11/9)早読み。EUが発表した2030年からのCO2規制。現在の規制でさえも、ディーゼルエンジンに活路を見出そうとしたVWなどは、データ偽装などの手を使わなければ規制を達成出来なかった。そして今回のより厳しい規制に対応するためには、データ偽装でレピュテーションが傷ついたディーゼルエンジンはまず使えない。EVやHVに取り組まなければならないが、欧州車のHVは基本的な発想がプリウスなどのそれとは違う。それはアウトバーンに代表される長距離・高速需要に応じる低燃費と、短距離・渋滞/低速に応じる低燃費が所以だ。そして厳しい燃費に対するHVやPHVの実用化は、完全に日本車に一日の長がある。今後の欧州車の開発状況によっては、この規制は日本車に利するところが多きくなる可能性の方が高い。

1. 【1面】EU、車CO2を3割減 30年までに EVシフト加速
【総合1】EU、欧州メーカーに配慮 車CO2「破壊的でない目標」

欧州委員会は8日、2030年の自動車の環境規制を発表した。域内で販売する自動車について二酸化炭素(CO2)排出量を30年に21年目標に比べて3割削減することを求めた。世界でも最も厳しい水準となる。16年の欧州の排出量はトヨタ自動車が105グラム、独フォルクスワーゲン(VW)や独ダイムラーは120グラム前後だった。30年に全社平均で66グラム前後を求められれば、それぞれ現状より4割程度削減しなければならない。トヨタの最新ハイブリッド車「プリウス」でさえ欧州の一般的な基準では70~76グラムにとどまる。VWなど欧州勢はさらに苦しい。ガソリン車よりCO2排出量が2割程度少ないディーゼル車で21年基準をクリアしようとしたが15年の排ガス不正発覚をきっかけに販売が急減しているためだ。欧州をはじめとする各国の自動車メーカーは電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)へのシフトを迫られる。

2. 【1面】幼児教育無償化 200万人増 政府、2兆円枠組み固める

政府は「人づくり革命」のための2兆円の政策の骨格を固めた。3~5歳で幼稚園と保育園に通う場合は親の年収に関係なく支援の対象とし、国から約8千億円を出す。新たに無償化の対象になる子どもは200万人規模になる。ただ「政策の費用対効果は不透明だ。」声があると報じているが、その声は今の日本の置かれた現状を理解した上での声とは思えない。日本の少子化による人口減少は極端に言えば「国家存亡の危機」に近い。じわじわと進み、即効薬は決してないから恐ろしい。これには若い世代が兎に角安心して出生率が2以上になるようにしないと、現状維持すらおぼつかない。「高所得世帯の無償化分は貯蓄に回り、消費喚起にはつながりにくい」などというのは、目先の効果の話だ。費用対効果の効果測定に求めらる視点はずっとずっと長い。

3. 【1面】三菱UFJ、インドネシア銀に2000億円出資へ
【1面】みずほ、半数を小型店に 全国一律サービス撤退

攻める三菱UFJ、守り撤退するみずほと好対照な2つの記事。三菱UFJにとっては東南アジアでの大型買収の総仕上げで、海外で稼ぐ利益の割合は邦銀として初めて5割を超える見通しだ。一方、みずほは今後10年かけ、全国のおよそ半数にあたる約400拠点(支店・出張所)を法人営業や個人向けなど機能を絞った小型店に切り替える検討に入った。事務人員の大幅な削減と業務の効率化が狙いで、すべての拠点であらゆる金融サービスを取りそろえる全国一律サービスから事実上撤退する。共通するのは、日本国内での収益環境が非常に悪いという事だ。利鞘が稼げない中で、手数料収入の追及もFD宣言などの為に、えげつない事は出来ない。ただ、恐らくメガ以上に苦しいのは地銀の一部だろう。

4. 【総合2】いざなぎ景気超え、不安交じり 戦後2位58カ月 稼ぎ、輸出から投資へ 国内に還流しづらく

2012年12月に始まった景気回復局面が高度成長期の「いざなぎ景気」を超えて戦後2番目の長さとなったことが8日、確定した。内閣府が同日発表した9月の景気動向指数(CI、2010年=100)の基調判断を11カ月連続で据え置き、景気回復が9月で58カ月間に達した。海外需要の追い風などで歴史的な安定回復軌道を歩む日本経済だが、将来の成長期待は低く、不安も入り交じる。

5. 【企業総合】AIスピーカー、主役「エコー」日本上陸 アマゾンが発売

アマゾンジャパンが人工知能(AI)を搭載したAIスピーカーの「エコー」を日本で発売した。外部企業と連携して、交通案内や英会話など260種類以上のサービスを用意。米国市場でシェア約7割を占めるエコーの日本進出で、LINEや米グーグルなどを交えた競争が本格化するという。自分で試していないので何とも言えないが、「「エコー」試してみた 日本語版の実力は?」という記事によれば、そこそこには日本語環境でも期待が持てそうな印象ではある。ただ正直なところ、部屋の大きい米国に比べて、ウサギ小屋と揶揄される日本で、どこまでこの手の器機の販売が伸びるかは、米国と同じにはならないような気がする。

6. 【投資情報3】SMC、純利益最高 4~9月740億円、空気圧機器伸びる 工場自動化・半導体向けで

半導体製造装置向け以外でも、設備投資の需要は伸びているようだ。SMCが8日発表した2017年4~9月期の連結純利益は前年同期比61%増の740億円と、同期間としては最高だった。生産設備の自動化需要の世界的な高まりを背景に、主力の空気圧機器が伸びた。