今朝の日経朝刊(10/30)早読み。月曜日なのでオピニオン記事が多いが、今回取り上げたものの幾つかに、明らかに日本流を切り捨てている何かを感じるのは私だけ? 年収約1130の子育て家庭は高所得層なのだろうか?そしてそれは実際には何%居るのだろうか?そういう統計データを示さないで、単純に「こんなに高所得層が優遇されます」と三段論法の先の方でも一気に駆け抜けるのは、あまりにオピニオン記事として薄い。神鋼の問題もそう。最近の企業不祥事の深層をえぐるには、職工さんの親方たちの「職人気質」という面を掘り下げないで、単にアナログ管理と一刀両断にするのは表面的過ぎる。まるで「下町ロケット」を読んでいるようだ。欧米にはそれが無いからERPのSAPなどが伸びた。大塚HDがMBA帰りの娘に経営を奪取されて、結果大きく傾いたのも、問題の根っこは一緒だろう。日本人はもっと日本人の流儀に誇りをもって、カタカナ文化の安易な輸入を称賛しないことだ。但し、農業政策の輸入制限は、これらとは別の話。あれは政治の問題。

1. 【1面】中国配車アプリ、日本進出

タクシー配車とライドシェア(相乗り)サービスで世界最大手の中国・滴滴出行が日本に進出する。日本では自家用車の有料配送が「白タク」行為として原則禁止されているため、滴滴はタクシー国内最大手の第一交通産業と組み、2018年春にも東京都内で配車アプリを使ったサービスを始める。配車サービスは、アプリの地図で出発地と目的地を指定すると、事業者に登録した運転手が迎えに来る仕組み。利用者はアプリを介して料金を支払う。

2. 【1面】三菱UFJ信託、新規住宅ローン撤退

三菱UFJ信託銀行は来年4月から、住宅ローン事業の新規融資をやめ、富裕層向けの資産運用や相続といったより強みを持つ分野に経営資源を傾けることにした。グループの三菱東京UFJ銀行の代理店として住宅ローンは取り扱うが、自前での新規融資は撤退する。住宅ローン業務に携わってきたおよそ200人を、相続や不動産、富裕層向けの資産運用など付加価値の高い手数料ビジネスに振り向ける。

3. 【総合・経済】保育無償化 誰のため?

「安倍晋三首相が表明した3~5歳の保育所の無償化の意味を巡って、波紋が広がり始めている」と日経は報じるが、記事を読むと「なるほどね」とは素直に頷けない。ポイントは「保育料の負担額は親の年収などに応じて異なるため、今回の無償化の恩恵を所得の高い世帯ほど得ることになる。これまで保育サービスを利用していなかった家庭が利用し始め、保育所がさらに不足しかねない。」ということだが、寧ろ驚いたのが「現在の3~5歳の保育料の負担は世帯収入が高いほど大きい。生活保護世帯はゼロ、年収約260万円未満の住民税非課税世帯の場合の保育料は年7万2千円だが、年収約1130万円以上の世帯では最大年121万2千円を支払っている。」という格差のつけ方だ。既に無料の世帯から、月に10万円以上払っている世帯があるという事実だ。日本は社会主義国家では無いのだから、ある程度の低所得層に優しくはあるべきだと思うが、これは現状で既に格差をつけすぎだろうと思う。年収約1130円が高額所得者かどうかの議論から入らなければ、平行線を辿る議論となるだろう。

4. 【国際】米、対日赤字是正要求へ 首脳会談

長い議論が常に続いている米国の対日赤字是正問題。トランプ米政権は11月の日米首脳会談で、年700億ドルにのぼる対日貿易赤字の是正を要求するという。個別分野では(1)自動車の非関税障壁(2)牛肉の高関税(3)医薬品の価格制度――の見直しを促す。米政権は日本との自由貿易協定(FTA)も中期的な課題と位置づけており、交渉開始に向けて日本側に環境整備を求める可能性がある。しかし、例えば自動車で言えば、日本からの撤退を決めたのはフォードの方だ。GMもクライスラーも、この国での商慣習に照らせば、自動車のディラー整備という点でドイツ車メーカーとは圧倒的に脆弱だ。鶏と卵の議論に等しいが、誰もが「リンカーンに乗りたい」というような米国車が生まれない限り、これは難しいと思う。一方、牛肉の高関税は政治の世界で決着の付く話だろう。コメと一緒だ。農業保護政策が強すぎる。この二つの問題を同時に扱うこと自体に矛盾を感じる。

5. 【企業】ニコン、中国工場閉鎖 コンパクトデジカメ不振

ニコンは中国のデジタルカメラ工場を閉鎖する方針を固めた。2016年11月から進めている構造改革の一環。スマホの普及で、コンパクト・デジタルカメラ市場はピーク時の1割程度まで減少している。中国でコンパクトデジカメの自社生産から撤退するなど生産拠点を再編し、収益改善につなげる。当然の措置だと思う。スマホで写真を撮る文化が根付いた今、単体でデジカメを持ち歩くニーズは低い。「コンパクト・デジタルカメラ」という商品のライフサイクルが終わったという事だと思う。

6. 【企業】ANAHD 最高益 4~9月営業益 JAL8%増

国内航空大手2社の業績が好調で、ANAホールディングスの2017年4~9月期の連結営業利益は前年同期比28%増の1150億円程度と同期間の最高となり、日本航空も8%増の1000億円程度になったようだ。驚いたのは、JALの方がANAよりもこんなに売上が低いんだという事実。確かに稲盛改革はJALを救ったのかも知れないが、単に既得権益を保持する中で、縮小均衡を図っただけとも言える。間違いなくJALのサービスはANAに比べて劣るのだから。

7. 【企業】神鋼不正が映す落とし穴

神戸製鋼所の品質データ改ざんなど、日本を代表する製造業のずさんな経営が「ものづくり大国・日本」の信頼を損ねている。日産自動車でも完成車の検査で不正が発覚した。なぜ過ちは繰り返されるのか。そこにはアナログ経営の裁量が招く落とし穴がある。だが本当にそうだろうか?1980年代、日本企業の急激な追い上げから苦境に立たされたドイツ企業は情報システムや検査部門を合理化、共通化することで競争力を高めるため、統合基幹業務システム(ERP)最大手、独SAPのパッケージソフトに頼った。同じソフトを使うことでデータを共通化し、品質管理や技術基準の不透明性を取り除いた。本来、日本には「勤勉実直」という評価があったが、それを支えていたのが「親方の職人気質」だった筈。それこそが日本人労働者の基本メンタリティーだった。アナログ経営が悪いという論調は単純には同調できない。「ルールベース」ではなく、「プリンシプルベース」で経営が現場を管理するのが本来の日本流だと思う。