今朝の日経朝刊(10/19)早読み。日銀のETF買いのお陰で日本の株価は支えられている。米国の株高は、FRBの利上げによって金融機関の体力も回復し、また景気も回復していることの証左だ。米国景気の持続性を訝る節は沢山あるが、日本の景気も長く統計上は好調を続けている。かたや利上げで、かたや中央銀行のETF買いによる演出。少なくとも正当な教科書的な対応は米国の方に分があると思われる。

1. 【経済】日銀のETF残高、20兆円超 株価下支え、出口課題に

曰く「日銀の上場投資信託(ETF)の保有残高が20兆円を突破した。年6兆円のペースで買い続けており、日経平均株価が21年ぶりの高値を更新する原動力になっている。保有残高は日本株全体の3%超に達しており「株価の形成をゆがめている」との批判も出始めた。」当然だ。この儘毎年6兆円の購入を続けていれば、2年後には日本株全体の5%に接近し、日本企業すべての大量保有報告書に実質日銀の名前が並ぶのと同じ状態に成りかねない。またパッシブ運用が全盛となることの弊害は、ゾンビ企業へも資金が回ることだ。本来の市場は自浄能力がり、上場を維持出来ない価値の会社には、株価をもって退場勧告をする機能を有する筈。それを買い支えるのが中央銀行の役回りになっているのは問題無しとしない。

2. 【1面】中国、米に並ぶ強国に 共産党大会 習氏が長期構想 党規約に名前冠した思想
【総合2】不動産バブル・過剰設備… 中国経済、課題山積の現実
【総合2】党規約に名前冠した思想 習氏「毛・鄧」に並ぶ権威

曰く「5年に1度の中国共産党大会が18日開幕し、習近平総書記(国家主席)は建国から100年となる21世紀半ばまでに経済、軍事、文化など幅広い分野で世界の頂をめざし、米国と並び立つ強国となる長期構想を表明した。米主導の国際秩序とは別に、独自の勢力圏を世界に広げようと夢見る。自身を歴史的な指導者になぞらえ、党の最高規則である党規約に名前を冠した思想を盛る見通しだ。」恐ろしいことだと思う。隣国にはリトルロケットマンと呼ばれる狂人が居る一方で、それを支援しつつ、世界の強者になろうという、独裁的な社会主義国超大国が雄叫びを上げたわけだ。軍事費も現状の米国の1/3の水準から引き上げるとすれば、我が国は如何なる立場に追いやられるのであろうか。中国には国内経済政策の失策のつけが数多残るが、出来ることはそれが長引くことだけなのかも知れない。

3. 【総合1】若者、現状に不満なし? 高い内閣支持・低い投票意欲 18、19歳が初の衆院選
【政治】「保守」「リベラル」曖昧 「保守」自民・希望、「リベラル」改憲慎重な立憲民主など

曰く「日経が10~11日に実施した衆院選の序盤情勢調査で、18~19歳の内閣支持率は52%と不支持率の32%を上回った。不支持率(48%)が支持率(37%)より高い全体平均とは逆の結果となり、支持率が3割台だった40歳代以上の世代と比べて「保守的」だ。」違うだろう。この世代に近い子供を二人抱える親としてリアルに聞いている彼らの声は、現在の政治への失望と、消去法的に現体制維持を考えているだけだ。記事にもある通り「保守」だの「リベラル」だの、そもそも定義の曖昧な言葉でメディアが勝手な報道をするが故、より若者にとって政治が遠いところになり、ネットで得る情報で答えを得る。そもそも既存メディアの世論調査に、どれほどの若者が真剣に答えているのか。それすらも掴めていないとしか思えない。今回の選挙で急に使われ始めた「リベラル」の定義ぐらい曖昧でいい加減なものは無いと思う。

4. 【総合1】日産、法令順守浸透せず 無資格検査、発覚後も 管理能力の低さ露呈

この類の企業の法令順守違反が広がり始めて久しい。それと反比例するかのように、どんどん「コンプライアンス重視」による締め付けは厳しくなってきている。この根底にあるのは、きっと教育と躾のせいだと思う。善悪の判断が自らつかず、ルールで規制されないと分からず、でもそのルールには必ず抜け穴があって、そこを擦り抜ける輩が居る。ルールはどうしても限定列挙だ。「2次会禁止を謳う証券会社では、部長が率先して2次会に部下を引率して泥酔していた。」その事実ひとつをとっても、ガチガチの法令順守で善行を保つことの難しさが分かると思う。子供の頃から、自ら善悪を判断させず、直ぐに親が学校に怒鳴り込むスタイルが当然となった世代が立派なシニアマネージャー世代になってしまった現代の結末と思えてならない。

5. 【金融経済】米利上げ、金融に果実 7~9月5社増益 融資、足元では鈍る

全く日本の現状と逆で、足元の政策金利の上昇が金融機関経営の追い風になっている。FRBは利上げによる金融引き締めを徐々に進めているが、貸出金利は預金金利よりも市場の動きを素早く映すため、FRBの利上げ政策は採算改善につながる。貸出金利などから預金を含む調達の金利を差し引いた利ざやは2.4%まで拡大し、4年半ぶりの高水準となった。これに対して、日本は超低金利で預金は逆ザヤで手数料稼ぎが横行する。如何にFD宣言させようと、元々の利鞘という収益源が絶たれている以上、兵糧攻めにあっているのと同じ金融機関は何らかの奇策を打たなくてならない筈だ。