今朝の日経朝刊(10/18)早読み。おかしな世の中になったような気がする。他人が貯め込んだ懐を当てにして、それをばら撒く紀伊国屋文左衛門スタイルが良しとされるなら、それはもう末期的な症状だ。ESG投資も、案の定、拡がりを見せているという。その理由は簡単過ぎて笑いが出る程だ。ただそれが日本の自動車産業に見切りをつけてテスラに切り替えることと同義なら、ESG投資以前の他の問題があるように思う。

1. 【経済】内部留保 活用探る 金融庁説明責任など指針策定へ
【経済】北風政策は逆効果 課税なら二重取りの恐れ

まさか希望の党の党首が言い出したからでは無いだろうが、金融庁が投資家の立場から内部留保をもっと成長投資に使えないか指針つくりに乗り出すという。「スチュワードシップ・コード」の全7項目の内、二つは「機関投資家は、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を的確に把握すべきである。」と「機関投資家は、投資先企業との建設的な「目的を持った対話」を通じて、投資先企業と認識の共有を図るとともに、問題の改善に努めるべきである」というものであり、この辺りを指導の中心に据えようとでもいうのだろうか?利益剰余金はたしかに増えてはいるが、全体の6割弱を占めるのが資本金1億円未満の中小企業だ。つまり機関投資家の手の届かない先。議決権行使やコミュニケーションの対象ではない。またそもそも将来の不安の為に貯め込んでいる資金を、課税により無理やり吐き出さすという考え方は如何なものか。「後期高齢者の資産○○億円以上は課税する」としたら政治家は絶対に当選しない。だから投票権の無い企業を直撃しようというのだろうが、企業の経営者は投票権を持っている。さて、二重課税に走るのか、ポーズで終わるのか。馬鹿な政治家に振り回される官僚もつらい。

2. 【金融経済】投信5000本 5段階で評価 R&I、年内メドに導入

投信業界のファンドマネージャーの間からは「こんな安易な評価は止めて欲しい」悲鳴交じりの怒りの声が聞こえてきそうなこの内容。格付投資情報センターが投資信託の評価方法を刷新し、年内をメドに、公募投信約5000本について5段階の数値評価を導入するという。投信を軸にした「貯蓄から資産運用」の流れに注目が集まるなかで、個人投資家が投信を選ぶ際の参考になる情報を提供する。5段階評価で「シャープレシオ」で安易に評価するという。長期の資産形成を促す目的から10年の長期でも評価を導入するという。

3. 【金融経済】商工中金~不正の連鎖~(上)現場だけの責任なのか 処分500人規模、終わり見えず

現場だけなわけが無いだろう。これだけ大規模な不正がもし現場だけで行われていたとするならば、その現場の横の連携は企業としては実に素晴らしい。そしてそうした不正の元に作られた数字だと経営が気が付かなかったのだとしたら、如何にも経営がおめでたい。組織ぐるみであることだけは確かだ。問題は、そろそろこうした政府系金融機関と呼ばれるものの存在意義を再確認するタイミングに来ているのではないかということだろう。政策投資銀行や産業革新機構なども、決められた枠を使い切れていないという。放っておけば、暴走するやも知れない。「焦げ付き御免」で済むのは、それは税金が原資だからだ。民間では許されない。

 

4. 【1面】環境・社会・統治「見えない価値」着目 ESG投資、市場の3割に

「公的年金に右へ倣え」の年金受託の運用機関なら、あっと言う間にこの広まりなのは当然だろう。「御社はどうしてESG投資をしないのですか?」と年金コンサルティングに質問されたら、白紙の状態だとしても「現状鋭意検討中で、間も無く始まります」と答えざるをえないのだろう。「残念ながら日本の自動車株は投資先から外す」と上っ面のリサーチだけでテスラを入れて満足顔の運用機関を増やしてESG投資も何もあったものでは無い。どうしてこうも日本は形式論ばかりなのだろう。

5. 【総合1】社会保障 財源後回し 全世代対応・最低生活保障…負担語らず

収入が無いのに「紀伊国屋文左衛門」になろうという政策を国民は本当に信じるのか。そんな政党に一票を投じるのか。衆院選最大の争点になってもおかしくない社会保障制度改革だが、なかなか議論が深まらない。高齢化で関連費用が膨らむのは確実なのに、少子化で支え手は減る。制度を持続可能なものとするには再設計の検討が欠かせない。各党は財源の裏付けが曖昧な給付の充実策を掲げるばかりで、骨太の議論を避けているようにしかみえない。その通りだ。

6. 【オピニオン】ネットと政治、相性悪い? 本社コメンテーター 村山恵一

曰く「2013年、インターネットによる選挙運動が解禁された。ホームページ(HP)やブログ、交流サイト(SNS)の利用が認められ、国民の政治参加を促すと期待された。だが現実がそう動いたという手応えは乏しい。」本当にそうだろうか?少なくとも世論調査の結果が世代間でこれだけ違う理由は、ニュースソースが、既存のメディアやワイドショーに偏りがちな世代と、ネットで情報を得る世代の差では無いだろうか?候補者のサイトは見ずとも、YouTubeには多くの党首のなどの演説がアップされている。ネットの利用=候補者のHPやSNSという発想自体が世代間格差の象徴のように思われてならない。

7. 【投資情報】ブリヂストン株、上場来高値更新 タイヤ、EV向けに競争力

ブリヂストンの株価が17日、一時前日比1%高の5363円まで上昇し、上場来高値を付けた。昨年末からの上昇率は27%と日経平均の12%を大幅に上回る。タイヤ値上げによる好業績期待のほか、電動化など自動車産業の変革のなかでも、タイヤは安定的な需要を見込めることが買い安心感につながっている。初代プリウス登場時、専用のECOタイヤがあったことを思い出させる記事だった。