今朝の日経朝刊(10/17)早読み。旧郵政時代は国債ばかりを買っていたゆうちょ銀が、アクティブ運用に乗り出すという。どういう体制を組むのかはゴールドマン出身の副社長の手腕によるが、パッシブ運用が称賛されている世論の中で、正しい流れへの起爆剤となればと思う。同様に面白いのが【投資情報】の「一目均衡」。つみたてNISAへの違和感を語る。何でも「安くて、コツコツ長期に積み立て」れば良いというものでも無いだろう。やはり幅広く選択肢を示すべきだと思うが、ここにもやや偏向報道が今まであったような気がしてならない。その訂正が始まるのかも知れない。

1. 【1面】関電、大飯原発2基廃炉へ 採算合わず、大型炉も選別

衆院選でも原発廃止か最低限の存続かなどの喧しい議論が続く中で、関西電力は大飯原子力発電所1、2号機(福井県)を廃炉にする方針を固めた。大飯原発のような100万キロワット超の大型の廃炉が決まるのは東京電力福島第1原発を除くと初めてという。その理由なども詳細はあるが、気になったのはこの部分。曰く「国内では震災前に電力の約3割が原発でまかなわれていたが、現在は数%。政府は現行のエネルギー基本計画で、30年の原子力比率を20~22%としているが、現状は大きく下回っている。実現には関電や九州電力、四国電力の計5基にとどまっている原発の再稼働を30基程度まで増やす必要がある。」ということだ。30年までに原発をゼロにすると言っているのが最も革新的な意見だと思うが、現状の数%という現実の前に、政治の言っていること自体が事実認識が出来ていないように思う。やや精査が必要な部分に思えてきたが如何に。

2. 【1面】神鋼の不正、数十年前から アルミ・銅、合格証も改ざん

これは極めて残念なこと。神戸製鋼所のアルミ・銅製品の性能データの改ざん問題を巡り、同社の国内工場で数十年前から不正が続いてきたことが明らかになった。アルミ・銅事業部門の幹部がその後、神鋼本体の取締役になっている人事もあり、過去の経営陣がどこまで事情を知っていたかも焦点になりそうだ。たぶん、過去の経営陣はみんな知っていたのだろう。勤勉実直で品質第一を錦の御旗にしてきた日本の製造業にとって、これは大きな汚点。たぶん、神鋼は今の形のままでは存続できなくなると思う。名門の看板がひとつ消えるという意味だ。

3. 【1面】日経平均10日続伸 2年4カ月ぶり

16日の東京株式市場で日経平均株価が10日続伸し、終値は約21年ぶりに2万1200円台を回復した。日経平均が10日続伸するのは2015年5月15日~6月1日(12日間)以来、約2年4カ月ぶり。特にコメントする必要は無し。

4. 【総合2】世界株高 鮮明に 新興国でも最高値 経済同時成長が追い風
【総合2】金利なお低位安定 投資マネー、株に流入

6日は日経平均が10営業日続伸となったが、海外の株式市場は日本以上に好調だ。韓国やインドの代表的な株価指数は16日に過去最高値を更新した。欧州でも前週にドイツ株が高値を更新した。米株式市場ではS&P500が最高値を更新した。米MSCIが算出する世界株指数(ACWI)の推移を見ると、今年になってほぼ右肩上がりで上昇し最高値の更新を続けており「世界株高」の様相が鮮明だ。リスク要因は①トランプ米大統領が進める大型減税法案の不成立、②北朝鮮情勢の悪化、③欧州でのポピュリズム(大衆迎合主義)台頭、④中国・共産党大会の終了後に景気刺激策の反動減、などだ。世界の長期金利は低い水準で安定し、FRBも今後の利上げペースは緩やかになるとみられている。長い目で見れば世界の金融環境はなお緩和的で、株高の一因になっている

5. 【政治】小池氏に不信感 蓮舫氏、街頭演説で 「排除に耳疑った」
【政治】民進への再結集発言 小川敏氏、火消しに躍起 「リベラルの結集述べた」

小池劇場は予想外に早くも幕引きとなり、与野党の闘いというよりも、野党間でのゴタゴタの印象が強い。民進党の蓮舫前代表は16日、横浜市の街頭演説で、希望の党の小池百合子代表に不信感をあらわにし、無所属で立候補した民進党の江田憲司元代表代行は「誰かが野党を分断してしまい、安倍自民党を利している」と指摘した。ただ無所属で立候補した民進党出身の当選組が集まり、立憲民主党と協議して、自民党に対峙する固まりをつくりたいという思惑に対しては、民進党の小川敏夫参院議員会長が民進党の再結集を呼びかけた発言の火消しに追われている。立憲民主党の枝野幸男代表は「永田町の合従連衡で政権を取ろうとは思わない」と否定した。

6. 【金融経済】ゆうちょ銀、日本株を選別投資 年内にも数千億円

ゆうちょ銀行は年内にも、個別企業を独自の調査に基づいて選び、高い株式運用益を目指すアクティブ投資に乗り出す。2兆円規模で保有する日本株のうち、数千億円を選別投資に切り替える。これまでは主要株価指数に連動するパッシブ投資だった。運用改革の一環として、外債投資の積極化を進めたほか、前年度からはヘッジファンドやプライベート・エクイティ・ファンドなど「代替投資」にも着手している。世界的にはアクティブ投資は専門人材の獲得やリスク管理体制の構築などで手間やコストがかかるためパッシブ型を中心とした運用にシフトする流れが強まっている。さらに、ここ数年は世界的な株高が続いたことで、パッシブ投資でも高収益を上げやすかった。一方でアクティブ投資の成績も回復しつつある。ゆうちょ銀が数千億円分を入れ替えることで、指数連動のパッシブ運用分には売り圧力が発生する。特にパッシブ運用が故に買われたゾンビ企業の株価には厳しい売りが入る可能性がある。

7. 【一目均衡】つみたてNISAの違和感 証券部次長 山下茂行

「つみたてNISA」の口座開設手続きが今月、始まったが、この新制度に対して「違和感」を訴える声が運用業界から出ているという。ポイントは販売手数料がゼロ、かつ運用コストである信託報酬の低い投信が対象になるという部分。日本株投信なら、信託報酬は株価指数に連動するインデックス型で0.5%以下、指数を超える運用成績をめざすアクティブ型で1.0%以下を求める。アクティブ型がこの基準を達成するのは難しいかどうかは判断の分かれるところだが、何でも安ければ良いという発想自体に問題を私も感じる。銘柄を選別しないインデックス投信ばかりになれば、上場企業に対する市場の規律付けの機能は弱まる。そもそも投資の大原則は自己責任なのに、行政が商品選びにまで細かく立ち入っていいのかという疑問もあり、違和感の根は深い。