今朝の日経朝刊(10/13)早読み。今日の4.で取り上げた【経済】5頁に出て来る記事は是非現物を読んで欲しい。こういう内容こそ、選挙の論争の焦点になるべき話だ。自分たちの世代のつけを将来世代に回して、豪華クルージングや鉄道の旅にうつつを抜かして良いのか?そうさせて良いのか?株高で富裕層の消費が増えているという。株式などの金融資産を保有しているのは、どの世代なのかを炙り出せば、どこが潤って、どこにつけが回ってという構造が明確に浮かび上がるが、それはきちんとワイドショー的に説明してあげないと分かり難いのかもしれない。それをカバーするのがメディアなのではないだろうか。

1. 【1面】神鋼不正、ダイムラー・エアバスも 海外は30社超

神戸製鋼所のアルミ製部材などのデータ改ざんで、対象となった部材を供給した企業や製品は納入先約200社で、国内自動車メーカーの大半に加え、独ダイムラーや欧州エアバスなど海外企業も30社超が採用。国際的な問題に広がりつつある。やはり被害は拡がった。このところの企業不祥事は、何故発生するのか。間違いなく10年、20年前に比べれば「コンプライアンス重視」という単語は、そこここで聞くようになった。それと反比例して、こうした問題が増えている。何が因果関係を感じるのは私だけ?

2. 【総合2】小売り回復 消費に変化

曰く「3~8月、7割が増益 百貨店、宝飾伸びる 株価上昇、富裕層動かす」だそうだ。大いに結構なことなんだけど、なぜ急にこうした「景気回復している感じ」と思わる記事が増えてきたのか、単に小売りの決算発表と重なったからなのか?しかし、ここで報道されているのは3-8月期、つまりひと月以上前だ。街角景気ウォッチャーではないが、もう少しリアルタイムの報道があれば「景気回復を実感していますか?」という野党発言も梯子を外されなかったのでは?日経平均が2万円台に乗ったのは6月で、その頃から富裕層の消費が変化があったというのなら、少なくとも7月ぐらいには「株価回復の恩恵」という取材記事があっても良かったのではと思う。当時は「実感なき景気回復」という話が多かった。

3. 【総合2】IMF、3メガ銀の低収益性懸念 「低金利環境が影響」

これも気になる話だが「国際通貨基金(IMF)が金融安定報告書で、世界の大手銀行のうち日本の3メガ銀を含む日米欧の9行が「持続可能な収益性を得るのに苦労する可能性がある」と指摘し、一部の大手銀の収益性が低いことを問題視した。」という。そりゃそうだろう。無担保コールのO/Nは延々とマイナス金利が続いているにも拘らず、普通預金でさえマイナス金利にはしていない/出来ない日本の銀行である。正に逆ザヤ。高収益が見込める(サラ金と同じなのでおかしいとは思うが)個人カードローンには、総量規制に近い睨みが入り、投信販売は「フィディーシュアリー・デューティー宣言」をさせられ、1000億円集めた投信も販売手数料はノーロード。これで稼げと言われても・・・というのが経営企画の本音だろう。海外展開というが、外銀も邦銀も両方経験した立場で言えば、邦銀の内向きな姿勢は、外銀のそれとは全く違うし、人材のタイプ全く違う。組織そのものの発想の組み立て方が違うからだ。こぞって海外展開を急げば、手痛いしっぺ返しが来そうで見ていて怖い。

4. 【経済】消費増税凍結で負担541万円増 民間試算、現役のツケは将来世代に 使途変更は270万円増

時機を考えれば、これこそ今日の一面記事なのではないか。2019年10月に予定する消費税率10%への引き上げの時期や使途を見直した場合に将来世代が国の借金の形で被る負担額が分かった。増税を凍結すると今後生まれる一人ひとりが541万円ずつ新たな借金を背負う。増収の半分を教育に充てるケースで270万円増だ。景気や子育てへの配慮が後世に及ぼす影響が浮き彫りになり、政策論議に一石を投じそうだ。今朝の一面「フィンテック」の話などこそ、この辺りのページで良いだろう。増税を凍結した場合、現在30歳の人だと生涯の税などの負担と給付の差し引きの純負担額は3712万円。予定通り増税したケースに比べて294万円負担が減ることになるが、今後生まれてくる将来世代は純負担額が1億1421万円で、従来案に比べて541万円負担が増える。

増収分の使い道を変更し、半分を教育の無償化などに充てるシナリオでは、30~34歳で子を持つと仮定し、教育無償化の利益を親世代が受けるとした。現在30歳の人の場合、323万円負担が減る。子育てに要する費用を国が肩代わりしてくれるので、恩恵が大きい。子育てを担わない想定の若年、老年層は予定通り10%に上がる消費税を払うだけなので、負担の増減は無い。やっぱりこれが一面トップにあるべきだと思う。それが言論の自由の中での経済新聞の在り方ではないか?

5. 【国際2】FRB議長人事なお霧中 パウエル氏浮上 大統領、月内にも決断

2018年2月に任期が切れるイエレンFRB議長の後任人事が、最終局面を迎えて混沌としていることは、もっと大きく報じても良い。何故なら、為替変動やその株価への影響など、日本への影響もかなり大きいからだ。イエレン議長の路線を継承するハト派になるのか、逆にタカ派になるのか、要注目だ。

6. 【総合2】台湾IT、成長減速 19社、9月売上高0.6%増 新型iPhone生産遅れか 鴻海・TSMCは減収

曰く「台湾の電子部品会社幹部によると、「X」は目玉機能である顔認証に関連した部品の一部の生産ペースが想定通りに上がっていないという。」だそうだ。iPhoneXを見てからiPhone8にするか検討する人もいるので、この煽りを受けてiPhone8もスロースタートだ。ただ実施的に需要が後押ししているだけならば、何ら問題はない。寧ろそのキーパーツを作る企業への視線が集まるような気がする。

7. 【企業2】アサヒ、青島ビール株売却へ 選択と集中で欧州強化

アサヒは、中国のビール2位である青島ビールについて、保有する20%弱の株式の売却を検討する。2009年に株式を買い取り、中国事業のてこ入れを狙ったが、想定した効果を得られなかった。まとまった経営資源は欧州の高級ビール事業に集中する。スーパードライが強く、また第二、第三のビール、ノンアルとある中で、青島ビールの影は薄い。東芝のWH買収や楽天の海外企業買収なども含めて、日本企業の海外展開はなぜ失敗するのか?企業経営者はよくよく成功している企業に学ぶべきだろう。