今朝の日経朝刊(10/12)早読み。選挙の話はやや秋の風なので、意図的にひとつだけ。しかし相変わらず紙面は選挙絡みが多い。そんな中で、昨日の百貨店売上高の話に続いて、機械受注復調の話も出ていた。景気は間違いなく回復しているのであろう。株価が21ぶりの高値を付けたのは、そうした背景も大きい筈だ。問題は、そんな中で、今まで日本を支えてきた大企業のタガが緩んできているということだ。しかしおかしなことに、一方でこの20年近くの間、日本の経営者は「コンプライアンス重視」をそこかしこで主張し、ルールばかりは厳しくなった。自主性を重んじ、職人気質に任せていたやり方が、ルール、コンプライアンスでがんじがらめにした結果、セルフコントロールを失ってしまったのが現代なのではないか?これは子供の躾け方の話と、全く同じ気がしてならない。自分で考え、自分で善悪を判断させる能力を育てないと「不愉快だからキレた」というような事件まで起きてくる。

1. 【1面】与党、300議席に迫る勢い 衆院選序盤情勢

日本経済新聞社が世論調査を実施した結果、自民、公明両党で300議席に迫り、自民だけでも安定多数の244議席を上回る見通し。「希望の党」は選挙区で苦戦、比例代表と合わせても70議席程度にとどまる見通し。選挙公示前のドタバタ劇は何だったのだろうか?さすがに浮動票と言われる都市部の無党派層も、安易に非自民で投票出来るほどに希望には希望を託せないと思われた証拠か?ただ最後まで油断は出来ない。

2. 【1面】日経平均21年ぶり高値 終値2万881円 外国人、企業の収益力評価

当初日経平均が21年振りの高値と聞いて、3万円台でも回復したかと思ったが、それは自分が時間計算が出来ないだけの事であった。7日続伸した終値が1996年12月以来、20年10カ月ぶりの高値で20,881円ということだ。ただ、これはひとつには景気が回復しているという裏付けがあるからだ。単に選挙で与党が優勢ということではあるまい。ただ逆に民主党が政権を取った時を市場は記憶しているので、野党が優勢になれば一気に値崩れする可能性を残している。

3. 【1面】東証、東芝の「特設注意」解除 上場維持へ内部管理改善

曰く「東京証券取引所は東芝株について内部管理体制に問題のある「特設注意市場(特注)銘柄」の指定を解除すると発表した。」。正直な感想は「本当か?甘いなぁ」である。2018年3月末の債務超過回避など上場維持への課題はなお残る中で、なぜ今なのか?かなり高い確率でまだ上場廃止のリスクが残る銘柄を、普通に取り扱うのは、どう考えても大企業優遇という謗りを免れない。また「東証一部上場企業」というレピュテーションを自ら東証は下げていることを自覚すべきだ。

4. 【1面】トヨタ、国内車種半減へ 20年代半ばめど、ニーズ変化に対応

曰く「トヨタ自動車は2020年代半ばをめどに国内で販売する車種を現行の半分の30程度に減らす検討に入った。」という。確かに、カタログを見ると不必要な重複感のあるラインナップがあるのは事実。ただ選択肢が減れば減るほど、消費者は外国車などに流れてしまうのではないか?間違いなく国内需要は若年層を中心に落ちており「いつかはクラウン」と思っていた団塊世代も、後期高齢者入りすれば、小型車への需要に切り替わるだろう。トヨタの衰退は日本の衰退に繋がることだけは否めない。

5. 【総合1】新幹線部材、JIS基準外 神鋼改ざん問題 JR東海、台車に使用

曰く「JR東海は11日、神戸製鋼所のアルミ製部材の品質データ改ざんの影響で、東海道新幹線「N700A」の台車部品の一部強度が日本工業規格(JIS)の基準に届いていなかったことを明らかにした。」JR東海は走行の安全に問題は無いと言っているが、問題はJISというものの確からしさだろう。「JIS基準は満たしている」と言いながら「認証を取らずに契約する例がある」という。ならば「JIS基準」とは何なのか?勝手に名乗れるものなのか?神戸鋼のみならず、日本の産業界の信用の根幹に関わる問題だと考える。

6. 【総合2】市場、脱デフレにらむ 日経平均高値 過熱感乏しく

曰く「日経平均株価がほぼ21年ぶりの高値を回復した。企業はデフレや国際競争力の低下にもまれつつようやく2万円台の株価に見合う利益を達成しており、欧米市場と比べると過熱感も乏しい。市場ではデフレからの脱却をにらみつつ、一段の高値を予想する声が増えている。」だそうだ。ここでの安易に手綱を緩めるのは危険だろう。寧ろ北朝鮮の問題があり、選挙結果がまだ見えず、何よりも前述の神戸鋼の話、日産自動車の話、など日本のお家芸でもあった産業界の職人気質な規律の部分のタガが完全に近時緩んで斬ることが明らかになっている。目先の業績よりもそちらのインパクトの方が多い。安易な安堵感は実に危険だと思う。

7. 【経済】機械受注、外需も復調 8月11.5%増 22カ月ぶり1兆円台

百貨店の業績底入れの兆しと昨日既報の通りだが、今朝は曰く「機械受注統計で国内だけでなく海外からの受注(外需)も復調している現状が鮮明になった。8月の機械受注統計(季節調整値)によると海外受注分は7月に比べ11.5%増の1兆1100億円となり、1年10カ月ぶりに1兆円台を回復した。」という。個人消費に回復感あり、機械受注も改善となれば、目先は日本景気にも安心感がある。株価もそれを見越しての高値回復かも知れない。

8. 【金融経済】AIファンド日本販売 米セレベラム、完全自動化

曰く「米運用会社セレベラム・キャピタルは、人工知能(AI)が運用する米国株式ファンドを日本で販売する。株価などデータの分析から投資する銘柄の決定、見直しまで、AIがすべて自動で行う。人間が気付かない市場の特徴を見抜くAIの力を生かす。」AIと言っても、通常は「人間が選んだ分析手法に従ってAIが膨大なデータから株価のパターンを見つけ出し、その有効性を人間が検証して投資手法を決める」が、セレベラムでは「AIが自ら分析手法を選び、発見した複数の株価パターンから将来予測に有効なものを選ぶ」とのこと。額面通りならば、AI投信技術が第2ステージに入ったことを示しているのかも知れない。

9. 【企業総合】アマゾン1強に待った 米ウォルマート、ネット分野で投資加速

曰く「ウォルマートは10日、新興ネット通販企業の買収などを重ねたこともあり2018年度に米国内でのネット販売売上高が前年度比で約4割増えるとの見通しを示し、「アマゾン1強」時代に待ったをかける」とのことだ。ひとつの可能性は「全米に広がる店舗網はむしろ倉庫や配送センターとして、役割が見直され始めている。」という点だ。既存の膨大な店舗網を物流に仕えるのであれば、アマゾンの背中が見えるかも知れない。