今朝の日経朝刊(9/26)早読み。28日の臨時国会冒頭で衆院が解散することが正式に決定した。今朝の朝刊は衆院解散に関する記事が紙面の大半を埋める。前回の国会までは学校法人「森友学園」や「加計学園」問題、或いは議員の不倫スキャンダルなどの追及に国会は空転していたとも言えるが、これで国会がまともに国政について議論する場に戻ることを期待したい。消費増税の使途変更や憲法改正を睨んだ姑息な政治戦略だという意見も縷々出ると思われるが、それでもスキャンダルなどの粗探しの国会運営よりは余程良い。野党側では野合とも取れる連携が起こり、また都知事が新党を立ち上げて国政に関与するなど、国家運営を何と考えるかという動きもあるが、これもそれも日本の現実であることは確か。国民としては国が前に進むことを願うばかり。北朝鮮情勢は宣戦布告だとまで言う段階まで来ているのだから。

1. 【1面】28日解散、首相表明 増税使途見直し問う 財政黒字化を先送り
【総合1】消費増税、最大の争点に 10%上げや使途変更
【政治】短期決戦、与野党走る 自民、候補者調整を急ぐ 民進、定数の過半擁立へ

安倍晋三首相は25日夕、首相官邸で記者会見し、28日召集の臨時国会冒頭に衆院を解散すると表明した。2019年10月に予定する消費増税の使い道を広げ、幼児教育の無償化など新たな看板政策「人づくり革命」に充てる意向を示し、衆院選で国民の信を問うと訴えた。20年度としてきた基礎的財政収支の黒字化目標の達成は「困難となる」と述べ、事実上の先送りを表明した。衆院選の日程は「10月10日公示―22日投開票」。勝敗ラインは「与党で過半数だ」とし233議席の獲得が目標。消費増税による税収増4兆円は「使い道を思い切って変えたい」と語り、借金返済分を削り、幼児教育の無償化や高等教育の負担軽減に使途を広げる意向を示した。「国民との約束を変更し、重い決断をする以上、国民に信を問わなければならない」と述べた。

2. 【1面】小池氏「希望の党」代表に 消費増税凍結訴え 全国に候補者

東京都の小池百合子知事は25日、都庁で記者会見し、国政政党の新党「希望の党」を立ち上げ、代表に就任すると表明した。都知事職に就いたまま国政に関与する。新党は保守の立場で改革を進めるとし、次期衆院選では安倍晋三政権の批判票の受け皿を狙う。幅広い勢力に結集を呼びかけ、全国で候補者を擁立する意向を示した。都知事でありながら、国政に関わる新党の党首という役回りは、どう弁明しようと小池氏の24時間が全て「都民ファースト」では無くなることと同義では無いのかなと、素朴な疑問を抱く。政治がゲーム化している気がしてならない。

3. 【金融経済】AIで融資、若者開拓 みずほ銀・ソフトバンク開始 年齢・学歴、自動で評価

みずほ銀行とソフトバンクが出資するJスコア(東京・港)が25日、国内初となる人工知能(AI)を使った個人向け融資サービスを始めた。年齢や学歴などから信用力を自動で算出し、融資額や金利を個々人ごとに提示するという。正直、その内容には驚きを禁じ得ない。傍らで多くの銀行内には、法人営業と個人営業を分離した反動や、或いは財務諸表の自動処理が進んだために、バランスシートを自らバラせず、与信判断がきちんと出来る銀行員が減ったという反省があった。個人向け融資と法人のそれとは違うとはいえ、AI頼りになるあまり、増々銀行員の銀行員としての基本スキル(ノウハウ)習得が難しくなると思わざるを得ない。本当にこのやり方で将来のみずほ銀行は大丈夫なのだろうかと疑問を抱く。

4. 【国際1】北朝鮮外相「米大統領が宣戦布告」 武力行動を示唆

北朝鮮の李容浩外相は25日、トランプ大統領が23日、北朝鮮の体制は「先が長くない」とツイッターに書き込んだことを巡って「明確な宣戦布告だ」と批判する声明を発表した。「米国の戦略爆撃機が領空を侵犯しなくても、撃ち落とす権利も含めてあらゆる自衛的対応の権利を持つ」と警告、確実にWar Riskは高まっていると思わざるを得ない状況になってきた。第一次も、第二次湾岸戦争の時も、それは遠いところでの出来事であった。しかし今回の場合、当事国の片方は正に隣国。両国ともに平和的な解決を心底では願っていると期待するが、舌戦の流れだけを見ているといつ開戦となってもおかしくはない。その場合、日本に何の被害も出ないとは誰も断言できない。

5. 【ビジネスTODAY】GE新トップ、まず「売り」 ABBに電力周辺機器売却 M&A巧者、株価低迷で

米GEの新CEOジョン・フラナリー氏にとって最初の大型案件は変圧器など電力周辺機器を主に扱う事業をスイスのABBに26億ドル(約2900億円)で売却することとなった。前任CEOのジェフ・イメルト氏は米国を代表する経営者といわれながら、年初から半年で約12%下落した株価への市場関係者の不満が募り、退任に追い込まれたが、ビジネスの売却からGEが入らざるを得なかったことは、エジゾン以来の名門中の名門企業が時代の新しい流れの中でもがいていることが垣間見える。そのもう一つの証左はデジタル事業の売却の話も出ていることで確認出来る。デジタル関係自体は縮小することの無い産業ではあるが、既に累計4千億円超とされる投資を行ったにもかかわらず、売上高目標を下方修正するなど想定通りの成長を実現できていない。GEが今のITの流れに乗れるか否か、新CEOの手腕が問われるところだ。

6. 【企業2】ユニクロ「ヒートテック」新味薄く 発売15年目、ヒット不足の壁 機能性に続く強み模索

消費者の嗜好がうつろい易く、消費者の興味を永遠に引き付けておくことは極めて難しいということを明らかにする記事。今朝の新聞によれば「ファーストリテイリング傘下のユニクロがヒット商品不足の壁にぶつかっている。25日、発売から15年目となる肌着「ヒートテック」の新商品発表会を開いた。機能性衣料を安く売るヒートテックは改良を重ね累計10億枚を販売するに至ったが、他社の参入で目新しさは薄れる」という。フリースで名を馳せ、ヒートテックの機能性下着という分野を切り開いてきたパイオニアも、15年もすると目新しさを維持出来ず苦労するという単純な話ではあるが、うつろい易い消費者のニーズを掴み続けることの難しさが垣間見える。日経平均株価に与える影響が大きい企業だけに、その盛衰からは目が離せないのは確かだ。