今朝の日経朝刊(9/25)早読み。正式発表は28日の臨時国会冒頭となる予定だが、安倍首相は衆院の解散に踏み切る予定。これを受けて、既に永田町では毎度おなじみの魑魅魍魎な鍔迫り合いが始まっている。自民が優勢なのは事実だが、所謂浮動票と呼ばれる無党派層の取り込みが最終的には雌雄を決すことになりそうだ。ただ、野党は今の時点で慌てて結束する、しないを協議している面もあり、また根本的なイデオロギーの違いはどう糊塗して結束するのか、国民は見極めないといけない。一度は袂を分けた民進・自由が合流するなどは、消費増税を今後どう評価するかの肝心な部分が一致しない筈だ。選挙のための合流ならば、野合と言われても仕方あるまい。
1. 【1面】衆院選投票先、自民44%民進8% 消費増税使途見直し「賛成」6割
【1面】民進・自由が合流構想 連合が後押し 前原・小沢氏、野党再編探る
【総合・政治】政権批判票 受け皿見えず 前原氏や新党「期待せず」半数 無党派、5割態度未定
日本経済新聞社とテレビ東京による22~24日の世論調査で、次期衆院選で投票したい政党や投票したい候補者がいる政党を聞くと、自民党が44%で最多、次が民進党と、小池百合子東京都知事側近の若狭勝衆院議員や民進党を離党した細野豪志元環境相らが立ち上げる国政政党がともに8%。この差は大きいが、合計して52%程度。無党派層は全体の3割程度あり、無党派層に限ると投票先で自民党を挙げたのは12%にとどまる。若狭氏らの新党も10%、民進党も7%止まり。一方、民進党と自由党が10月22日投開票を想定する衆院選をにらみ合流する構想が浮上してきた。ただ小沢氏は2012年に消費増税を決めた旧民主党執行部と対立し同党を離れた経緯があり、小沢氏が率いる自由党との合流には民進党内から反発が出る可能性がある。
2. 【1面】鉄冷え 解消の兆し 中国、設備1億トン廃棄で市況好転 追加削減焦点
粗鋼生産量で世界の半分を占める中国が日本の1年分にあたる1億トン規模の設備をこの2年で廃棄、輸出も3割減らした。安い中国製が姿を消し国際市況は上向いたが、とは言え中国はなお2億トンの設備余剰を抱える。権力集中を進める習近平指導部は、中国の鉄鋼産業(総合・経済面きょうのことば)を本気で改革できるのかまだ分からない。
3. 【総合・経済】ベアリングから見た景気 半導体引き続き需要増
ベアリングの需要は主力の一つである自動車向けについては、中国市場の持続的な成長もあって堅調。中国の自動車販売は2008年に940万台程度だったが昨年は2800万台、8年間で2000万台近く伸びた。これは米国市場が軽く1つ分に相当する。半導体製造装置は昨年1~3月期から回復しており、過去の循環から言うと今年は弱含むとの予想に反して堅調な需要が続いている。『IoT』やクラウド技術の普及もあり、半導体の需要は構造的に増える傾向にある。EVはリスクでありオポチュニティー(事業機会)。EVにどんな種類のモーターがどのように搭載されるかによって、業界の経営への影響は変わる。今よりも高精度、高価格のベアリングが使われるようになる可能性もある。
4. 【法務】〈イノベーションとルール〉自動運転の事故責任 法改正議論 メーカー負担が焦点に
自動車の完全自動運転車の誕生は、単純に技術的な問題を克服することだけでは無く、法的な部分の整理も必要だ。AIが制御する自動運転車が事故を起こしたら誰の責任になるのか、国土交通省の有識者会合が、法改正も視野に議論を進めている。完全自動運転では人は車両制御に関与しない。点検整備を含めて過失がないなら、車の所有者だけに事故責任を課すのは妥当か。国交省は専門家で構成する会合を昨年立ち上げ、来年18年3月にも報告書をまとめる。焦点は、自動車メーカーやAIの開発会社の責任。現在も、車両の欠陥が立証されれば製造物責任法(PL法)などに基づき、保険会社がメーカーに賠償を請求できるが、一部を除き「ほとんどしていない」(損害保険大手)のが現状。有識者会合は、(1)運行供用者責任を維持し、保険会社がメーカーに賠償請求しやすい仕組みの構築(2)運行供用者に加えてメーカーにも保険金のような形で一定の負担を課す(3)メーカーも損害賠償責任が免れない仕組みとする――のいずれかの案を軸に調整している。来年3月にこれら報告書がまとまっても、まだ法的側面の整理には当分時間が掛かりそうだ。時間軸を見る上では、こうした面のフォローも重要。