今朝の日経朝刊(8/25)早読み。今週は「週間の振返り(8月21日~8月25日)」で既報の通り、金融市場では米国トランプ大統領が拘る「国境の壁建設予算の確保」の話に焦点が移り、再度トランプ・リスクが浮上するかも知れない。連邦債務の法定上限の引き上げが9月30日までに米議会での歳出法案として通過しないと、10月に米国政府閉鎖の可能性も見えてきているが、月曜日の朝刊のトーンは毎週変わらず呑気なトーンだ。

1. 「内閣支持率4ポイント上昇して46%」と言うが、これってなんだ?

政治のことはあまり語りたくないので言及をなるたけ避けてきた。だが日本経済新聞社とテレビ東京による25~27日の世論調査で、安倍晋三内閣の支持率は46%となり、内閣改造を受けた3、4両日の緊急調査から4ポイント上がり、不支持率は3ポイント低下して46%で、支持、不支持が拮抗したという。この統計を伝えることに、今の国際社会の中での日本経済に取って、どんな意味があるのだろう。

2. 無党派層の支持率の戻りが悪いというが・・・

まず無党派層と呼ばれる層とは、どういう人達なのか?支持する政党が無いというのは、二つの意味に分類出来るのではないか?つまり「政治そのものに興味が無い」ということと、単純に「支持する政党が無い」という無期待派である。どちらにも共通しているのは、今の政治に対する無関心を越えた諦めだ。誰が何をやっても変わらないだろうということ。その数値を伝えることより、なぜ無党派層なのかを掘り下げるべきだと思う。

3. 安易な画面作りでなく、メディアには頑張って欲しい

前回、内閣の支持率が低下した大きな原因は「加計学園問題獣医学部新設問題や南スーダンの日報問題」で、次期9月下旬の臨時国会でも野党は引き続き「加計学園」問題を取り上げるとしている。高い国会議員の人件費と国会運営費を掛けてまで、それが今の日本で一番最優先で議論されるべきものだろうか?ひとつには、メディアがワイドショーや、ニュースショーなどで、ここぞとばかりにそればかりを取り上げるからこそ、野党議員が露出欲しさにヒートアップしてみせるのでは?好例は国会答弁の時、テレビ映りを期待して、パネルを出したりするあれだ。テレビカメラがいちいち大きくアップにしたりする必要は無い。本来、既に国民に選ばれた人達の議論なのだから、それを事細かにワイドショーの画面の作り方と同じ手法で映す必要は無い。一切、そんなものを映さなければ、政治家も無駄だとわかると筈だ。

4. 獣医学部新設の見送りが決まり、一番気の毒な人達

報道によれば、文科省は加計学園の獣医学部新設は、既に学び舎の多くが立ち揃い始めているのにも関わらず、再審査の為認可を取り消したという。来年、ここを受験しようと思っていた受験生たちはどうなるか?受験生の絶対数は全国民に比べたら極めて微々たるものであるが、その当事者の胸中はいかばかりであろうか?少数のことは放っておけば良いのか。また途中で中止命令や無用な横槍を入れて、結局は再開した同じ構図が旧民主党政権時代にある。そう「八ッ場ダム」の建設中止や、スーパーコンピューターの予算削減などである。どちらも結局は再開したが、その間にどれだけの人に余計な心労や苦労を強いたのか?

5. 今の日本の問題で国会審議が必要なことは、もっと世界秩序に関わるような事

言うまでもなく、北朝鮮情勢に対して日本がどう対処すべきかなど、もっと議論すべきことは沢山ある。英国BBCは、日本が国として推奨している北朝鮮ミサイル対処法として「頭を抱えて身を低くすること」という風刺を行っているらしい。現実に、先般の訓練の時には、関係自治体でJ-アラートの不調が沢山あったという。首都圏でJ-アラートはちゃんと鳴るのだろうか?その時の非難や混乱は大丈夫か?だいたい、ミサイルの部品落下を想定しての訓練と言うが、仮に部品だとしても、超高高度から鉄の塊が丸の内の真ん中に落ちて来たら、うずくまって頭を抱えるだけで本当に大丈夫か?いや、飛んでもない衝撃になる。

6. 目の前で米空母カールビンソンなどに攻撃があったとしたら

今は自衛隊が迎撃に出られるように法改正がされたが、予め与野党でその辺りを再確認しておかないで良いのか?もし、迎撃出来ずに米空母カールビンソンの原子炉が被弾したら、かなり大きな被害と「なぜ、もっと徹底的に早く迎撃しなかったのか?」という責任追及がはじまるのは火を見るよりも明らか。また逆に、迎撃出来たとして北朝鮮との関係が次の段階に入った時も「北朝鮮との関係悪化までを想定して迎撃したのか?」などの責任追及が始まる筈。でも、笑い事ではなく、これこそ「今、そこにある危機」だ。国民の代表である政治家が議論すべきこととは、こうした事態に対して幾つかのシナリオを提示して、どう対処するのか国民合意を得ておくことだと思う。それこそ、世論調査でカバー出来ること。

7. 世論調査、すべきことはもっとあろうに。

政治家が動かないのであれば、世論調査でこういう内容を確認されたら如何だろうか?野党第一党である民進党の支持率でさえ5%足らずの中で、更なる下の野党の支持率など調査するより、北朝鮮のミサイル攻撃に対して、どう対処すべきと考えるか?などだ。グアムに飛ばすと言いながら、先週、北朝鮮は完全に日本が射程圏に入る小さなミサイルを3発発射した。日本の国土がどこか被弾して、多くの犠牲者を出してからの議論というのでは遅すぎる。内閣総理大臣が有事に際し、仮に内閣総理大臣が不在時の再確認など、後顧の憂いなく日本が一丸となって対応出来るような国会議論、コンセンサスの形成が急がれると思う。