今朝(8/5)の日経新聞朝刊一面、内閣支持率は改造で下げ止まったというものの、記事の内容自体はまだ手厳しい。ただ本当にこうした世論調査が正確な民意を反映しているのだろうか、実態は甚だ疑問だ。
1. ニュースソースが何が主体の人達を対象として聞き取っているか?
先日netgeekというインターネット・メディアの世論調査を見たが、それによると安倍内閣の支持率は改造前でも72%という高い結果が出ている。支持率が29%代に低下したなどと大騒ぎする時事通信社の世論調査がわずか回答者2,000人を対象とするのに比べ、こちらはなんと33万9,363票という投票数の結果。その余りに大きな違いには驚きが隠せない。大きな違いは、全社が聞き取り調査であり、後者がインターネット上のネット調査、つまりインターネットで主としてニュースを得ている人たちだということだ。
2. 身の回りで聞いたことが無い世論調査を受けたという話
時事通信社に限らず、各紙新聞社やテレビ局が世論調査を実施していると聞くが、身の回りの人でそれを受けたという話はあまり聞かない。まるでテレビの視聴率調査のような感じだ。勿論、統計学者に言わせれば、きっと「それだけの標本数があれば、統計として有意なデータであると言える」と能書きを言われてしまうだろうから、敢えて、それ自体に反論は試みないが、人口1億数千万人いる日本の世論調査を、僅か2,000人のそれで有意であるというのは、やはりあまりに少ない気がするのは私だけだろうか?実際に選挙をしてみると、いつも事前予想と違ってくる理由の根本は、こうしたデータの有意性定義にあるのではないか?
3. ワイドショーと新聞が主たる情報源の世代が最大人口ボリューム
ワイドショーのニュースが単なる井戸端会議的な意味合いしか持たないということには賛同頂けると思うが、新聞のニュース(系列テレビ局のニュースも含む)も、NHKのニュースでさえも、かなりな偏向報道の時があることも賛同頂けると思う。敢えて誌名は伏せるが、捏造記事を作ったり、やらせをやったり、思想的にかなり偏ったメジャー新聞社があることは周知の事実だが、ネットの記事と違って、多くのメディアの報道が結論ありきで纏め上げられる傾向があることは事実である。逆にネットのニュースにはフェイク報道ではないが、偽情報もたくさん流れているのもこれまた事実である。
4. 若い世代の情報源はネットが主流
ある年齢を超えると(政治的にはボリューム層)、その層のネット利用率はガクンと落ち、当然情報の入手先はテレビや新聞という伝統的なメディアとなる。一方、30代以下の若い世代(政治的にはマイノリティ層)の情報源はインターネットに変わる。ポイントは、彼らのネット・リテラシーはシニア層が想像する以上に正しく発展していて、溢れる情報の中から正しいもの、間違っているもの、意味のあるもの、意味のないものなどを見分ける力はかなり高いということ。産まれた時からネットがあった世代、物心つく頃にはネットが当然だった世代にとって、ネットで検索することはシニアが辞書を引くというのとはわけが違う。だからきっと取捨選択が普通に簡単に出来ているのだと思われる。
5. オルタナティブの政権、首相、与党はあるのか?
支持率低下が多少なりとも収まったという報道はだから喜ばしい。あのまま世論と称されるポピュリズム形成がされたら、その先にあるのは、例の「ちょっとお灸を据えてやろう」選挙だからだ。また安倍内閣側も下手をすると「お灸選挙」になり兼ねないと考えたから、早めに多くの手を打ってきたのだと思う。問題は、お灸を据えた結果の受け皿が、永田町には育っていないということだ。自民党も自民党だが、最大野党と言われる民進党の支持率は6%台。蓮舫代表辞任で代わる党代表候補の名前も、既に何度も見知ったものばかり。何が変わるのだろうか?代替案となる政権のイメージが具体的に描けないなか、徒に現政権の崩壊だけを目指すような状況だけは、現下の世界情勢の中で作られるべきものでは無いと考えるが如何だろうか。