はじめに
このレポートは、2025年4月5日の朝7時半に無料メルマガをご登録頂いている方々向けに緊急で配信したメルマガの写しです。メルマガにも記したように先週のマーケットは、トランプ関税発動により、文字通り「右往左往」の展開となりました。週末は米雇用統計の発表、パウエル議長の講演会、などなどトランプ関税以外の材料もあり、市場反応は気掛かりでしたが、ご承知の通り、NY市場は3指数揃って急落となりました。
当Fund Garageが目標としているのは、「買い推奨(銘柄)」のご提供でも「売り推奨(銘柄)」のご提供でもなく、個人投資家の皆様がご自身で「投資家としての自己責任」を果たせるような、「投資判断の一助」にして頂くための情報をご提供することです。主宰の大島和隆の経験を踏まえて、いわゆる「バイサイド」の思考方法を知って頂くことで、「なるほど、ファンドマネージャーってこんな風に考えるんだ」ということを知って頂けるような投資情報をお届けすることです。売買提案や投資勧誘等を基本的な目的とする「セルサイド」のそもそもの考え方と、パフォーマンスを挙げることを第一義とする「バイサイド」の考え方は、実は似て非なるものだと考えているからです。
また、通常はリアルタイムでの投資環境に対する考え方は、毎週日曜日の夕方に「プレミアム・レポート」として、お届けしています。ただ、今回のように投資家の皆様が悩まれるだろうなと思われる時には、こうして無料メルマガの方でも、「プレミアム・レポート」に比べると、かなり簡単な「臨時レポート」とはなりますが、随時配信させて頂いております。
また無料メルマガは、毎週2回、半年前に配信した「プレミアム・レポート」を再編集したものと、Fund Garageの公式YouTubeチャンネルである「YouTubeチャンネル『勝木ユウの経済研究室』」を使った解説動画のご案内メルマガをお届けしています。前者は、たとえ本誌は半年前に配信した「プレミアム・レポート」であって、内容が如何に普遍的に投資判断に資するものをお届けしているかということがご確認頂けると考えております。また後者は、「プレミアム・レポート」の配信後、3日目にして、そのエッセンスを絞って、専門のスタッフが分かり易くYouTubeを利用したアニメ仕立ての動画でお届けするもので、プレミアム会員の方からも「プレミアム・レポート」とこの動画と合わせることで、より分かり易く理解出来るようになるとご好評を頂いております。
また現在、主宰の大島和隆は、三菱UFJ e-スマート証券様のYouTubeチャンネルで「ダイブ・イン・米国株」という番組を毎週水曜日の夜8時にアップする形でご提供しています。ただ、すべて元となるリサーチは、すべてプレミアム会員様向けの「プレミアム・レポート」にありますので、より詳細な話や、深堀した内容については、プレミアム会員にご登録頂いて、毎週発行される「プレミアム・レポート」をお楽しみにして頂ければと思います。
前振りが長くなりましたが、以下より、「【緊急配信:FG無料メルマガ】世界同時株安と狼狽する事なかれ」本文をご高覧ください。即時性を最優先した臨時レポートのため、図表のない、テキストだけのメールとなっておりますこと、予めご了承ください。
4月5日午前7:30配信済み【緊急配信:FG無料メルマガ】世界同時株安と狼狽する事なかれ
今週のマーケットは、週末にかけて主要株価指数が大幅下落し、投資家心理が大きく動揺する展開で幕を閉じた。S&P500は1日で6%近く下落し、週間では9.1%の下落。NASDAQは10%の下落、ダウ平均も7.9%安と大幅な調整となった。背景にあるのは、トランプ政権による突然の大規模な関税発表、そしてFRBのパウエル議長による慎重な金融政策姿勢である。
今週、トランプ大統領は世界一律の大規模な関税政策を発表した(対中で50%超、対日で20%超)。これに対し中国はすかさず34%の報復関税を発動し、米中貿易戦争が再び激化した。これにより、米国企業の業績への悪影響が警戒され、株式市場全体が売られる展開となった。
パウエル議長の講演
FRBのパウエル議長は、4日に開催されたビジネスジャーナリスト協会(SABEW)での講演において、「不確実性は極めて高く、インフレと失業の両リスクが存在する」と述べ、現時点で利下げには動かない姿勢を貫いた。一方で、「必要とあらば動く」とも述べ、あくまでデータ次第との姿勢を崩していない。このような曖昧なスタンスが、市場の安心感を得るには至らなかったと考えられる。
今回の世界同時株安は、極めて人為的な要因によるものであり、本来的なファンダメンタルズを反映したものではないという点は強調しておきたい。もちろん、景気の「気」は「気分」の「気」である以上、こうしたセンチメントの急変が実体経済に下押し圧力をかける可能性は否定できないが、現時点でFRBが即座に利下げを行う必要性を示すようなハードデータは確認されていない。
米雇用統計と恐怖指数
実際、先週発表された新規失業保険申請件数は依然として低位で推移しており、週末の雇用統計でも非農業部門雇用者数は22.8万人の増加と、堅調な労働市場が継続していることが確認された。失業率は4.2%へとわずかに上昇したが、構造的な悪化とは言えない水準である。また、PCEデータにおける個人消費支出も引き続き底堅く、米国経済の基盤が大きく揺らいでいるとは言い難い。
市場のセンチメントを象徴するのがVIX指数である。金曜日には45を超え、パンデミックやリーマンショック時以来の水準に達した。これは「パニック売り」が一巡しつつあることを示すと同時に、過剰反応の兆候でもある。
NVDAのバリュエーション
象徴的な銘柄の一つがNVIDIAである。同社株は1日で7%以上下落し、P/Eレシオ(Non-GAAPベース)は22.5倍にまで低下した。この水準は生成AIブーム初期と同じであり、半導体セクターが関税対象から外れている可能性も報じられている中で、株価調整の背景には投資家心理の悪化があることがうかがえる。ただし、個別企業への投資判断については、慎重な分析が求められるため、本レターではあくまで客観的な評価にとどめる。
誰もが、これだけ株価が下がれば、決して心穏やかでいられないのは事実である。しかし、ここはあえてお伝えしたい。こういうときこそ、冷静に、客観的に情勢を見極めるべきである。そして何よりも重要なのは、投資を決して「投げ出さない」ことだ。
AI革命は引き続き加速している段階にあり、成長ドライバーは確実に存在している。仮に経済・関税戦争が地政学リスクにまで発展しない限り、市場は時間とともに自然に反発するものだ。そもそも「自律反発」という言葉が存在すること自体が、それを物語っている。
投資家への示唆
職業柄、私は相場の情報を日々追いかける立場にあるが、読者の皆さまには、可能であれば一度ニュースや新聞、特にSNSから距離を置くことをおすすめしたい。精神的にも、その方が良いだろう。
市場がここから下げ続けるかどうかについては、いくつかの鍵がある。来週はCPIとPPI、そしてベージュブックが公表される。これらの経済指標がインフレ鈍化を示すようであれば、FRBの姿勢も変わる可能性が出てくる。また、ベージュブックでは企業の設備投資や雇用のトーンが注目される。これらが鈍化していれば、利下げのタイミングが意識され始めるだろう。
現在の相場は、方向感を失った「走り過ぎた悲観」に近いと考える。投資家が取るべきスタンスは、「投げない」こと、そして「感情ではなく、論理と冷静な視点で相場を見る」ことである。
今は、ポジションを守りつつ、次の反転の兆しを見逃さないことが重要である。何がきっかけでセンチメントが変わるかは分からないが、過去の経験上、VIXが40台に達した後は急速に回復する局面が多かった。
今こそ、積み上げてきた理解のツールを信じ、丁寧に状況を見極めることが求められる。
※下の写真が意味することなどは、プレミアム・レポートの方で解説しています。