グラフィックチップを使ったGPUコンピューティング、予想以上に進んでいた

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画像の説明が多くなっていますが、以下のようなことを考えながらお読みいただければと思います。

  • コンピューターグラフィックの世界はここまで進んできているのですが、今後後退するのでしょうか?
  • このように高度の処理をすることが普通になってくるとデータセンターやコンピューターそのものに要求される「パワー」はどうなっていくでしょうか?

 

エヌビディア毎年恒例「GPU Technology Conference」

エヌビディアの毎年恒例「GPU Technology Conference」が今年もやってきました。私が以前行った時は、基調講演やブース出展で個別の製品などの紹介があり、会場の外では参加者向けにバーベキューパーティーが行われていて、カリフォルニアのスコーンと抜けた青空の下、頭と胃袋を一杯に出来たとても楽しい有意義なイベントという印象のものでした。そしてどうやら今年も大盛況だったようです。

その会場にこそ行けませんでしたが、相変わらずエネルギッシュなジャンセンCEOのプレゼンテーションは、全編2時間半に及ぶ大作(英語:字幕スーパー無し)ですが、同社のWebページから録画動画にアクセスできます。下手なテレビ番組やハリウッド映画を観るよりずっと興奮して観られる代物です。(私がハイテク・オタクだということをお忘れなく)

GPU(グラフィック・プロセッサー・ユニット)の技術カンファレンスですから、お台場で行われるアニメ祭りやアキバ・オタクの集いのように思われるかも知れませんが、参加しているのは機関投資家やアナリスト、勿論報道関係者も居ます。従って、まだゲーム分野が主力だった頃でも「特殊なイベント」という感じではありませんでした。ましてや今ではCGはハリウッド映画の制作には無くてはならない存在ですし、AIや自動運転、或いはデータセンター用のサーバー向け用途など、GPUは引く手数多ですからだいぶ様子は変わっているのだろうなと思います。チャンスがあれば、来年は是非参加して、生で再び観てきたいものです。

さて、プレゼンテーションの方ですが、まず下の写真を見て、左右を見比べてください。どちらが本物で、どちらがCGだと思いますか?小さく映っている人影がジャンセンCEOです。


実は右側がCGです。テールランプのLEDの感じなんか、右側の方が本物らしいと私は思ってしまいました。BMWを使ったビデオで、3回クイズが出されましたが、正直、私は1勝2敗、それもエイヤで決めたいい加減な答えです。見分けがつきません。更に本物を撮影したカットだろうと思っていたプロモーションビデオの1部分が全部CGなんてのもありました。


これは上の映像(動画)がシングル・コア、シングル・スレッドで描画されたオリジナルで、下の映像が最新のRTXで処理されたものです。光の感じから周りの金属の光沢まで、全く次元がことなることが分かりますよね。これがGPUの処理能力の証でもあります。


また、PIXAR社からのメッセージを添えて、こんな比較もありました。上段が実はインテルのサーバー向けCPUで、下段がエヌビディアのGPUです。映像分野においては、明らかに画像処理に特化しているだけあって、処理速度もコストも全然エヌビディアの方が優秀です。


今回のプレゼンテーションを通じて、ひとつの纏まった映像を作るのには、多くの分業が居ることが分かりました。下の写真の左の会社が複葉機の形を作くるカリフォルニアの会社で、真ん中のモントリオールにある会社は風景を作り、右側のイギリスの会社が色を付けます。


これがNVIDIA OMNIVERSEのお陰で同時の一体処理が出来るようなりました。勿論、インターネットを通じたネットワークが重要なのは言うまでもありません。

それにしても右側の複葉機のプロペラ部分、クロームメッキされた光沢感がまるで本物のようです。でもこうした光の反射の表現って、本当に難しいということは、以前直接取材した時に確認していますので、この出来栄えには驚きです。


もう一枚、スクリーンショットを紹介すると、これはモビルスーツなのか、ロボットなのかは不明(多分ロボット)でしたが、その動き、質感、武器の発射された様子など、実写版のようでした。


映画「モンスターズインク」でサリー(水色のモンスター)の体毛の表現が精一杯だった頃、映画「ファインディング・ニモ」で、海の水面が透き通ってキラキラとしたさざ波の表現がされたことに驚いた頃からすると、隔世の感があります。

ジェンセンCEOのプレゼンテーションはここまでで一時間超。しかしここから更に熱を帯びて、いよいよ核心部分に入っていきます。それこそAIの話、それによるデータセンターへの影響と何が今データセンターで課題になっているのか、これから更に求められるのかなどの解説があり、エッジコンピューティングのロボティックスの話を挟んで、最後は自動運転の話で締めくくるというビッグ・プレゼンテーションでした。

全編英語で字幕スーパーはついていませんが、是非、ご覧になることをお薦めします。半導体業界の事、データセンターの事、エッジコンピューティングの事、そして自動運転の事、多くの今話題のキーワードについて、リアルにサンフランシスコ・ベイエリア、すなわちシリコンバレーの息吹を感じることが出来ます。

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