自動車専用道の同一車線を時速60キロ以下で走る自動運転に実用性は無い

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国際ルール難航、自動運転走らず 「レベル3」、アウディ封印 せめぎ合う各国、米は我が道

今朝の日経新聞朝刊一面では、独アウディが2018年半に世界初の技術となる「レベル3」の自動運転が可能な高級セダン「A8」を日本で発売するに際し、「ソフトの設定を変えハンドルを握った状態での自動運転に機能を絞る」(斎藤徹社長)ということについて「自慢の最先端技術を封印するのは法制度が立ちはだかるため」と分析しているが、果たして本当に法整備さえ終われば、レベル3の自動運転なら国内に導入出来るのだろうか?実は、現段階での自動運転の導入については、例えレベル3といえども、私は非常に技術面に懐疑的であり、また実際の必要性については、更に懐疑的だ。まずは次の表を見て頂きたい。既にお馴染みの自動運転のレベル段階をしめしたものである。

ご覧頂ける通り、レベル3とは「システムが運転し、人はシステムの要求に応じて関わる」とあり、完全自動運転とは当然にして言えない。果たして、その人はシステムの要求に応じて関わる度合い、頻度、間合いなどはどうなっているのだろうか?もし、頻繁に即座の対応を必要とする要求をシステムがするならば、寧ろ安全かも知れない。しかし、両手放しでスマホでも観ている時にシステムが運転車の関与を要求してから、それに対応するまでにはどれほどの時間的な猶予が与えられるのだろう。

制限速度60キロの自動車専用道路で同一車線走行が実態にそぐうのか?

首都圏のドライバーとしては、比較的頻繁に多方面に出掛けて車を運転している方だと思うが、最初の問題点として、アウディA3が備えたという「自動車専用道路の同一車線を時速60キロメートル以下で走る場合にシステムが操作を担う機能」を利用する場面が、実際にどこであるのかということである。

確かに首都高速は湾岸線は80キロ、それ以外は60キロ以下、環状線については50キロで、JCTでは40キロに制限されている。これで見る限り、湾岸線を除いて制限速度の範囲内に入ると言えるが、実態を見て見ると、渋滞して駐車場のようになっているか、或いは各制限速度を超えた領域で各車が走行している。そこに60キロまで、同一車線を維持して走る車が1台いたら、何が起こるのだろうか?

因みに、片側3車線の第三京浜は80キロ、2車線の小田原厚木道路は70キロの制限であり、60キロで走る車があれば、それは相当にノロノロ運転をしていると見える。

本当に制御出来るのかは、乗ってみないと分からない

自分の車には、もう10年以上前から、レーダー式追随機能付きオートクルーズが搭載されている車を乗り継いでいる。レベルで言えばレベル1に相当する機能だと思うが、ブレーキ減速機能などを含めて、当初の頃のものに比べれば格段に精度が上がっ来ていることは確かだが、カーブの認識機能や雨天時の機能にはまだまだ多くの部分で不安が残り、任せ切るなど以ての外だ。それは車線ライン等でカーブを認識したりしていることもあり、ラインが一旦切れたり、跨いだりしてしまうと、カーブを認識し切らないという点がひとつある。また雨天時や積雪時は、レーダー自体が雨滴のせいで機能しないことが多い。常に前方を注視しているからこそ余計なアクセル操作とブレーキ操作の煩わしさが軽減されるので便利に使っているが、余程センサーやアルゴリズムのテクニカルにジャンプが無いと、両手放しで頼れる気はしない。

カーナビのおバカ加減には辟易するのが事実

最近のカーナビは、地図情報も頻繁に更新されるので、埋め立て地のディズニーランドらしきところを通過するなんておかしな自体はもう起こらないし、プローブ情報やVICS情報のお陰もあり、地図上に表示される渋滞情報の精度は相当に上がったと思われる。

しかし、ことルート選択の精度と言うか、選択のセンスという面で言えば、どんなアルゴリズムで渋滞回避を計算しているのかと呆れて笑いが止まらない。まず都内では、自分の勘に頼ったルート選択の方が絶対確実に目的地には早く着く。それも5分や10分といったレベルではない。

また自動で渋滞回避の為にリルートすることがよくあるが「新しいコースでご案内します」と言いながら、到着時間がより遅くなるコースを選択することが度々ある。何のためのリルートであろか。そんな演算プログラムを見ていると、技術的に不連続な進歩があったと言えない限り、地図と自車位置把握の精度に照らしてコーナーを分析するという技術、また自動でコースを選択する能力には疑問無しとしない。ヤフーやグーグルマップでのナビゲーションの方が、まだ一段上なのは、それらはクラウド・コンピューティングだからだろう。

レベル3と雖も、法整備だけでなく、基本技術がもっと進歩しないと、日本の交通事情の中では自動運転はまだまだワークしそうにない

残念ながら、日本の道路と道路事情を知り尽くした日本メーカー発の自動運転でなければ、日本の交通事情の中で有益な自動運転は提供できないだろうと思われる。かつて、メルセデスのレーダー機能が、周波数帯の干渉問題で欧州版を導入出来ない事例があった。キャデラックのナイトビューとブレーキアシストは夜間に鹿が道路を横切っているリスクのある米国では人気があるが、日本では大して騒がれない。各国の交通事情はそれだけ違うという事だ。アウトバーンの整備されたドイツだから出来ること、道がだだっ広い米国だから出来ること、それが必ずしも日本で重用されるかどうかは疑問だ。歩行者が溢れかえる東南アジアのタイやベトナムで自動制御は使えるのだろうか?期待先行の短編急な解釈は、要らぬ誤解と軋轢を生むだけなような気がするが如何に。

 

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ファンドガレージ 大島和隆

Fund Garageへようこそ。主宰の大島和隆です。投資で納得がいく成果を得る最良の方法は、自分自身である程度「中身の評価」や「モノの良し悪し」を判断が出来るところから始めることです。その為にも、まず身近なところから始めましょう。投資で勝つには「急がば回れ」です。Fund Garageはその為に、私の経験に基づいて、ご自身の知見の活かし方などもお伝えしていきます。