今朝の日経朝刊(12/14)早読み。まずはWSJからの記事だが「FRBは13日まで開催したFOMCで、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を25ベーシス・ポイント(bp)引き上げ1.25~1.50%とすることを決めた。同時に公表されたFRB当局者による金利見通しでは、2018年は25bpの利上げが 3回となっており、前回9月から変更はなかった。19、20年についてはそれぞれ2度の利上げが見込まれている。FRBのトップが入れ替わる中でも継続性が保たれることを示唆した。そんな一方で、トランプ大統領の政権内での空転が目立ち始めてきているように思われる。
1. 【1面】楽天、第4の携帯会社に 回線に最大6000億円 電波取得申請へ 3社寡占に風穴、値下げも
ソフトバンクは当時のVodafone(旧J-Phone)を買収し携帯事業に参入した。つまり既にドコモ、auに次ぐ通常の携帯事業者だったものを買収した。しかし楽天は総務省が新たに割り当てる携帯電話向け電波を2018年1月にも申請して取得、25年までに最大6000億円を調達し、基地局などに投資して第4の携帯会社を目指すという。大手3社による寡占に風穴が開くことで、日本の携帯市場は新たな局面に入ると新聞は言うが、その前に楽天の既存ビジネスとの相乗効果はどこまであるのか?既に楽天はNTTドコモの回線を借りて格安スマホ事業の「楽天モバイル」を提供し、更に今年11月には他社の格安スマホ事業を買収したが、その契約数は僅かに140万件。ここに6000億円もの追加投資を打ってどうやって回収するのか?その絵はかなり厳しいものと思われる。
2. 【1面】伊方原発 運転差し止め 広島高裁、阿蘇噴火リスク指摘
曰く「四国電力伊方原子力発電所3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを広島市の住民らが求めた仮処分申請の即時抗告審で、広島高裁(野々上友之裁判長)は13日、2018年9月30日まで運転を差し止める決定をした」背景理由は熊本県の阿蘇山が過去最大規模の噴火をした場合の安全が確保されないとして「新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断は不合理だ」と結論付けた。11年の東京電力福島第1原発事故後、原発の運転を差し止める高裁の判断は初めて。伊方原発3号機は定期検査で停止中。18年1月に再稼働の予定だが、決定は直ちに効力が生じるため決定が覆らない限り運転できない。経産省の試算には2030年に約30%の原発稼働が無ければ電力料金が引き上げられるとなっているが、これが先例となって愈々ますます原発の再稼働のハードルは上がったと言える。
3. 【総合1】エルサレム首都認定、サウジ改革に打撃 国内のバランス揺さぶるIT企業の倫理
トランプ米大統領がパレスチナの和平で中立的な立場をかなぐり捨て、エルサレムをイスラエルの首都と認めた。大きな打撃を受けたひとりが、トランプ氏との親密な関係をテコに国の改革を進めるサウジアラビアのムハンマド皇太子だ。民衆や宗教界を敵に回しかねず、改革路線は一段と大きな危うさを抱える。パレスチナの問題は、民衆の感情的な反応をまねきやすく、王室と国民の関係にも影を落とす。暗黙の契約を通じて人々が政治参加の権利を放棄したのは、税金などの負担がないからだけではない。強い父親のようなリーダーが、自分たちの願いや利益のために動いてくれると信じたからだ。歴代の国王は、同胞であるパレスチナ人の権利を守ると約束してきたのに、期待は裏切られ続けた。トランプ氏の決定はサウジとイスラエルの関係改善のさなかという最悪の時期に起きた。トランプ氏の支持と宗教界の権威と民衆の期待。エルサレムをめぐる問題は、サウジを支えるこれらすべての柱を揺さぶる危険をはらんでいる。
4. 【総合1】米政権、議会運営 薄氷に 上院補選で与党敗北、中間選挙へ不安
12日の米南部アラバマ州の連邦上院補選は野党・民主党候補のダグ・ジョーンズ元連邦検事が僅差で勝利した。与党・共和党は20年間議席を独占した牙城で敗れた。オバマ政権は発足後1年の10年1月、与党(当時)だった民主党の牙城、米東部マサチューセッツ州の連邦上院補選で敗れ、半世紀近く維持した議席を失った。深刻な不況が原因とされ、10年11月の中間選挙で民主党は大敗した。共和党はこの再来を懸念している。やりたい放題のトランプ大統領がこの事態をどの程度真摯に受け止めてこれからの政権運営を行っていくかが課題となるが、正直、あまり重く受け止める素地はなさそうに思う。
5. 【総合2】トヨタ EVで巨人連合 パナソニックと電池開発発表 電動車 30年に550万台
「トヨタ自動車は13日、電気自動車(EV)などの基幹部品である電池事業でパナソニックとの協業を検討すると発表した」と聞いて首をひねった人は多い筈。何故なら、既に両社はHVの車載電池で提携関係にあり、トヨタのレーシングカーが転倒するとPANASONICの文字が派手に見えるというのは映画「ドリブン」で有名なワンシーンだ。そのカギはどうやらパナソニックの津賀社長のコメントにある。曰く「トヨタ自動車は13日、電気自動車(EV)などの基幹部品である電池事業でパナソニックとの協業を検討すると発表した。新型電池を共同開発する」。最近テスラを買った友人はその製品不良に怒り心頭の様子だった。それがテスラの実態だとすれば、やはりトヨタとパナソニックの提携は勝利の方程式なのかも知れない。
6. 【経済】新規国債、8年連続減額 歳出は最高更新、税収増で補う 財政健全化は税頼み
アベノミクスの効用はここにも表れたのかも知れない。財務省は13日、2018年度予算案で、新たに発行する国債を17年度より減額する方針を固めた。一般会計の税収が1兆円規模で増加するためだ。社会保障費の膨張で、歳出の総額は98兆円前後と過去最高を更新するが、税収の伸びが歳出の増加分を上回る。新聞は「財政健全化はやはり税収頼みという構図が見て取れる」というが、税収増、企業で言うならトップラインを伸ばすことが最大の経営者の務めであり、コストを詰めてボトムラインを引き上げるのは、経営者の手法としては2番目、やや恥ずかしい方法だ。世論が社会保障費の膨張を自粛するモードに成らない限り、そうした世論形成が為されない限り、その方法は取り難いだろう。
7. 【金融経済】上場投信、世界で600兆円に迫る 低コストで分散投資、新商品・M&Aを誘発
上場投信というが、要するにパッシブなETFだ。ETF市場の拡大は世界で続き2017年の資金流入額は11月末までで約6千億ドル(約68兆円)に達し、残高は5兆ドル(約565兆円)に迫ったという。低コストで国際的に分散投資できる点が幅広い投資家の支持を集めているからだ。これ自体は非常に正しい流れだと思う。パフォーマンスの8割はアセットアロケーションから齎されるので、そのパーツとしてのETFは非常に重要な運用ビークルだ。日本でも「貯蓄から資産形成へ」の旗を振る金融庁と東証が「つみたてNISA」などでETF市場の活性化に注力する。
8. 【国際2】米国務長官、融和色強める 北朝鮮と無条件対話も 大統領との確執露呈
ティラーソン米国務長官が12日、前提条件なしで北朝鮮との対話に応じる可能性に言及した。「少なくとも挑発行為の抑制が対話の前提」としてきた米政権の方針を大きく転換しかねないだけに、その真意を巡って波紋が広がった。ティラーソン氏の北朝鮮に対する融和的な発言は目立つが、政権内ではマティス国防長官らもティラーソン氏の外交努力を支持している。トランプ大統領は引き続き圧力を重視するが、日本政府は北朝鮮包囲網がほころぶ事態も起きかねないと警戒している。