慌てないで、冷静にデータを読むことこそ、賢人の投資行動です

市場急落時や、今月のようにダラダラと大きな下落が続くような相場の中で、トレンド・フォロー型(市場の流れ追随型)の市場コメントや相場見通しを語るのは簡単です。市場が受け止めている悲観材料に、尾ひれをつけるようにそれを肯定する材料を、さも分かって知っていたかのように増幅させて解説することもいとも簡単なことです。

しかし週末土曜日(12月22日)の日経新聞の夕刊にあったように、既に今月は記録的な株安になっています。週末21日時点までのダウ平均の下げ幅は3093ドルと単月では過去最大で、2番目に大きいリーマン・ショック直後の08年10月(1525ドル)の2倍以上、下落率の方も12.1%に達し、12月としては大恐慌時の1931年(17.0%)に次ぐ過去2番目の大きさになっています。そこに週明け月曜日の下落が更に加わりました。下落率はトータルで15.01%にまで拡大、大恐慌時に肉薄してきたといっても良いでしょう。

米国発の色々な悪材料が伝えられてきています。トランプ米大統領によるパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の解任説。国務長官、国防長官、司法長官、主席大統領補佐官と相次ぐ解任を見せられれば、その可能性を否定する論陣を張るのはかなり悪足掻きに聞こえますよね。トランプ大統領以外、可能性を否定する方法はありません。

またムニューシン財務長官が大手銀行6行トップに異例の個別電話で流動性には問題がないことを確認し、更に金融監督関連当局とリーマン・ショック時を連想させるような流動性・健全性・清算機構の機能性を確認する「会議」を開催したという話を聞かされれば、当然センチメントはドンドン悪くなるしかありません。真意はムニューシン財務長官と多分一部の側近しか知らないのでしょうから。

でも全ては状況証拠です。確実な物証は上がって居ません。所謂、憶測ということです。

ましてや市場はクリスマスで参加者は激減しており、24日のNY市場も短縮取引の中です。こんな時の市場変動は大きく片方に増幅されやすいです。

私は事実を否定する気も無いし、ここでトレンド・フォロワー(順張り型投資家)の相場見通しを覆して強気を言うつもりもありません。ただひとつ申し上げたいのは、冷静になろうということです。

売る人が買う人よりも多ければ、株価は下がります。その需給の前に、株価の理論やバリュエーション(割高割安判断)などは何の役にも立ちません。どんなに市場が閑散としている時でも、相対比率で売り手が多ければ下がり、買い手が多ければ上がります。それが市場です。

だから投資で成功する秘訣は「時間を味方につけること」と言います。何故なら、短期的には需給が株価を動かしますが、長期的には株価は適正なあるべき水準に回帰収斂します。あるべき水準とは、「株価の本源的価値+将来の期待収益」ということです。「将来の期待収益」の部分を、短期で読み込むか、中期なものを読み込むか、或いは長期なものを見据えるかは市場のセンチメントによりますが、少なくとも一年や二年分では一般的にはありません。今はそれがかなり短くなっているということだけは客観的な事実です。つまり市場が短期的な需給だけに支配されているということでしょう。

 

折角のクリスマス、そして年末年始を暗い気持ちで迎えるのは誰だって嫌なものです。だからこそ冷静になって、客観的なデータを見るようにしてください。恐らくこの先も、トレンド・フォロー型のコメントやメディアの記事が増える筈です。投資で成功する秘訣は、人の意見に左右されずに、客観的なデータを読むことです。余計な憶測を判断材料の中から排除することです。それには深呼吸をして、必要ならばもう株価は見ないぐらいの気持ちで、当初投資方針に立ち返って客観的に物事を考えることです。

「株価が奈落の底に落ちそうに感じた時の賢人の投資」に掲載した「市場変動の中での投資家感情の変化」という図を是非参考にして下さい。きっと何かのお役に立つと思います。