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自動運転と5Gの関連性について整理したレポート

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ビジネスショウは投資材料の宝庫

投資信託のファンドマネージャーが年間企業訪問●●社、というようなことをアピールしているのを聞いたことがあるかもしれない。直接企業を訪問し、企業の方向性、業績の確認などができるのはうらやましい、と感じたこともあるだろう。そんなことができれば自分もより良い投資ができるはず、と考えている人も多いかもしれない。

実は、今回見学した『人とくるまのテクノロジー展2019 横浜』のようなビジネスショウに行けば、企業訪問したのと同等、場合によってはそれ以上の投資の判断材料を得ることができる。

投資で成功するための最も大事なポイントは、大きなビジネスのトレンドがあり、その中で売上・利益に結びつく企業を探すこと、だと考えている。私の場合には、それを人間の欲求と技術の進歩を結び付けて検討をしている。

ただし株式市場は日々、そのようなトレンドとは無関係に上下し、政治的な問題やリーマンショックのような信用不安で時として大きく値下がりすることがある。そのような時に値動きに翻弄されて安値で投げてしまったり、外的な要因で値下がりしているにも関わらず値動きが怖くなり購入できなくなってしまわないためには、投資先の企業のことをよく知る、という事が非常に大切だ(もしかすると今後の日米貿易交渉で、このような時が来るかもしれない)。

ビジネスショウに行けば、その企業が何を作っているのか、どのような方向に進もうとしているのか、どのような人が働いているのか、さらには、競合にはどのような企業があるのか、競合の商品(サービス)との違いは何か、などもしかすると本職のファンドマネージャーの企業訪問以上の成果が得られるかもしれない。

何故なら、本職のファンドマネージャーは本当に自分が好きだったり得意だったりする分野以外も調べなければならないが、あなたは自分が良く知っている業界・産業だけを調べればよいのだから。

では早速、2019年5月22日(水) から 24日(金)まで、横浜パシフィコで行われた公益社団法人自動車技術会主催の「人とくるまのテクノロジー展2019 横浜」の取材報告をしたいと思う。

Fund Garageでご案内した「株式投資のための『人とくるまのテクノロジー展2019 横浜』見学セミナー」のスケジュールとの兼ね合いもあり、最終日に行くことになったのだが、まずはその人混みに驚いた。主催者側の発表によると3日間の来場者数の延べ人数は95,900人だそうだ。

テーマは「自動車業界の第一線で活躍する技術者・研究者のための自動車技術の専門展」ということで、やや専門的になり過ぎるかなとの危惧もあったが、「モノ」を見る絶好の機会でもあるため、また逆に技術者・研究者の人達が多いこともあり、小耳に挟む会話に寧ろ興味を示されたりしていた。

首から招待状兼入場券となるカードをぶら下げて回るので、出展社の人はほぼ必ず「何関係の人だろうか?」という目でそのカードをチラ見する。すると「すみません、競合なんです」などと会話をしているのが聞こえて来る。実はここからが面白い。気分は「家政婦は見た」のような感じでドラマが始まる。

ある意味、こんなシーンは通常滅多に見られる光景ではない。ただ商売上は競合であっても、技術者同士というのは共通の言語で会話出来るので、こういう場だと「あ~、そういう方法なんですね」とか結構和気あいあいと話し合い始める。奥深い肝の部分は当然企業秘密なのだろうが、案外得意気に説明されているのを見ると、正に主催者側の意図の通りなのかも知れない。興味深いシーンだし、暫く耳をダンボのように大きくして聞き耳を立ててしまう。さりげなく、関係無いものをみたりしながら盗み聞き。証券マン同士の噂話を立ち聞きするのとはわけがちがうのだから。

因みに我々は「金融関係です」とか、「投資家です」と言えば、まず出展者側の人は悪い顔はしないし、ビジネスショウの常通り、丁寧に解説してくれる。カットモデルなどの前では熱心に出展者に質問されている人も居た。

自動車産業はもはやハイテク産業になった

ご承知の通り、今の自動車業界は100年に一度の大変革と謳いながら「CASE」をキーワードに盛り上がっている。

米中貿易摩擦問題の後は、間違いなく日米貿易交渉で自動車問題がテーマの一つになると予想さるが、それと技術発展の話は全く別の問題。時代は間違いなく「Connected、Autonomous、Shared、Electric」、すなわち「繋がる、自動運転、シャアリング、電動化」の方向へ動き続けている。

繋がるに関しては当然のことながら、自動運転にも5Gの話は切っても切り離せない。もちろん自動運転にはAIの話は必須だ。これらにより莫大な需要が生まれるのがクラウドコンピューティングであり、エンドコンピューティングだ。使われるのは、半導体、電子部品、センサなどだからこそ、このイベントが従来からある「モーターショウ」の色合いと違い、ハイテクのイベントのように見えるのだろう。

完成車メーカーのブースはさほどワクワクしない

完成車メーカーの方には失礼な話だが、私的には差し当たり目新しいものは殆ど無かった。
トヨタのブースには得意の未来的なクルマが展示してあったが、さすがに地に足をつけた投資をする上では、未来語り過ぎるという印象。下の写真は「Concept-愛i」。ただこれは2017年に既に発表されたコンセプトカーなので、そうしたことも目新しさを感じられなかった原因かもしれない。

基本的には投資をする上で重要なのは、そう遠くない段階で実現し企業収益に反映してくるタイミングまで来ているものを探すことだ。

そうすると、完成車メーカーのブースが「投資家目線」で面白いものになるかと言えば、残念ながら答えはNOだ。彼らは現存するもの、間も無く登場することを公表済みのもの、或いは未来語りしか出来ない。それがB to Cのビジネスの難しいところだ。

普段見ることができない部品を見てみよう

自動車業界のヒエラルキーの中で、完成車メーカーの直ぐ次に来るのがTier1(ティア1)と呼ばれる部品メーカーだが、彼らは完成車メーカーよりは発表内容に自由度が高くなるので面白い。DENSOやアイシン精機などの日本企業もあれば、独ボッシュやZF、或いはボルグワーナーやコンチネンタル・オートモーティブなどの欧米企業もある。彼らが何を作っているのか、何をしているのか、などは、こうしたイベントに来ないと多分マニアでないと分り辛いだろう。その中からいくつかご紹介しよう。

DENSO

新聞でも話題になっていたが「踏み間違え加速抑制装置」の展示が下記。正直最初はあまり目新しくは無いなと思ったのだが、パネルを読んでみると「新車時オプション」ではなく、今乗っているクルマにもつけられるものらしい。既にハイブリッド車など、制御系が電子化されている部分の多いクルマに搭載可能。これもう少し早く普及していたら、池袋での事故や「プリウス・ミサイル」などと揶揄されることは無かっただろうと思うと残念だ。つまりニーズは強い。

DENSOのWebページに特設ページをみつけた。期間中放映されていた動画などもあるので、訪ねてみると有意義かも知れない。
https://www.denso.com/jp/ja/news/events/2019/20190522-01/

JTECT

ジェイテクトのブースでメインに展示されていたのがこれ。写真を見て何が凄いか直ぐに分るだろうか?

これは前輪のステアリング機構だが、ステアリングのコラムシャフトが寸断している。通常は写真下のステアリング機構にまで棒が突き刺さり、これによってステアリングを左右に回すと、タイヤが左右に動くもの。数年前まではステアリングコラムは安全保安上の理由から「絶対に切り離してはいけない」と言われていたが、自動運転の時代にはドライバーの前のステアリングは単なるスイッチでしかなくなる。

「Steer-by-wire (ステアバイワイヤ)」という航空機の「Fly-by-wire(フライバイワイヤ)」という発想から来たものである。横棒の中ほどにあるのがステアリング機構を駆動するモーターである。これこそ、こういうイベントでしか見られないのだが、ご覧頂ける通り、完全に製品状態なので、どんな部品が使われているのかなど、よりマニアックな部分は見ることが出来ず、私には少々物足りない。

住友電工

同社が自動車部品の会社であることを知らない人も多いだろうと思うが、自動車のワイヤハーネスでは世界の4台に1台は同社製品を使っている業界世界第2位の会社である。ところで、ワイヤハーネスとは何かを知らない人も多いと思うので、参考のために下記の写真をご紹介する。

運転席の骨組みらしきものがあるので、クルマの骨格モデルみたいなものかと思われるかも知れないが、骨格と言うよりは循環器系と神経系の人体標本のイメージに近い。赤色が駆動用の電気が流れる循環器系で、黒色が多くの情報が流れる神経系だ。クルマの中にこんな風に張り巡らされている。

写真右下に黒い箱のようなものがあるが、実は車載用のネットワーク・ルーターのようなもので「イーサーネット・スイッチ」と呼ばれるもの。何が珍しいかと言えば、現状、車の中のネットワークは車載専用の通信プロトコルが使われている。イーサーネットとは、会社や家庭で使われているLANと同じ規格だ。Connected(繋がる)と言えば、インターネットと繋がることになる。結果、車載のネットワークにも同じ通信規格が高速化への要求もあり、こっちの方向へ変化していく証だ。因みに、車載用というのは、熱や振動、或いは灰塵対策も高いレベルのものが求められる。家電系の柔なものでは歯が立たない。

アウディにはTDKが入ってる

ここまででお分かりの通り、自動車部品と言うのは密閉されてしまっているものが殆どなので、敢えてカットモデルにして展示がされていないと、中を覗き込むことは出来ない。ただ普通の投資家ならば、そもそも前述までのTier1が展示している部品でさえ、きっと殆ど見たことが無いと思うので、こういうイベントの時に実物を見ることは非常に参考になると思う。

ただ華々しい展示ブースではないが、Tier1自動車部品メーカーに部品を供給しているTier2以下のブースに行くと、段々私もワクワクしてくるようなものが見られたりする。今回は最後にその一例としてTDKをご紹介する。

TDK

電子部品の需要もうなぎ登りになる筈という事を証明しているのが下の写真。AUDI向けに既に提供されている「DC-DC Converter」のカットモデルだ。

現在公道を既に走っているAUDIのモデルのどれかにはこの「DC-DC Converter」が搭載されている筈だが、車載された状態ではただの密閉された銀色の箱なので、こんな風に中を見ることは出来ない。

これはTDKが作っているフィルム・キャパシタという製品を見せたいがために敢えて蓋を開いた状態で展示してある。だが私の目は他に行く。こういうカットモデルを見つけると、隈なくそれに載っている部品を調べる。運が良ければ、何処製の電子部品なのかなど、メーカー名が分かる時があるからだ。

もうひとつが車載情報システム/安全運転支援システム向けのもの。良く見て頂くと、TDKが本来見せたかったパワーインダクタという電子部品以外に、多くの部品が基板上に並んでいるのが分かる。前述の通り、私的には、これらが一番興味をそそられる。

それはUSBなどのコネクターであり、SDカードのドライブであったりもするが、真中の「R-Car-Gen3-sip」と書いてある冷却ファンの下にあるであろう半導体が一番に気になるところ。提供はルネサスエレクトロニクス。

あらためて調べてみると、トヨタとデンソーが2020年の市販車導入を目標に開発を進めるHighway Teammateに採用された半導体で、これはどうやらデンソー製のECUの基盤のようだ。ルネサスエレクトロニクスの半導体はARMアーキテクチャーのロジック半導体でLinuxベース。今はスマホで何でも検索出来るから、現地の会場内でもすぐに調べることが出来る。

強い投資家になるためにビジネスショウに行ってみよう

一度ひとつのこうしたイベント、例えば今回の「人とクルマのテクノロジー展」などに行っただけでは、ただただ人混みの中で、何を見て良いかもわからず右往左往するだけかも知れない。どう会場内を歩いたら良いのかも分からないかも知れない。

ただ色々なビジネスショウに足を運んで、知識を蓄えていくと、上記のTDKブースのように、非常に投資家としても勉強になるものに出くわすことが出来るようになる。勿論、私のような水先案内人に同行して、要所要所でポイントを聞きながら見学するのが近道なのは事実だが、臆せずに時間の許す限り参加してみると、きっと面白くなる筈だ。

投資対象は人がはやしているテーマに限る必要はない。あなたが好きだったり、詳しかったりする業界やテーマ、企業を対象とすればよい。そして、後はでネットで調べるなり、もう少しの努力をして自分が投資をしているものの正体を確りと理解することが出来るようになると思う。そうなれば、下手な金融マンよりずっと詳しく濃い情報に基づいて投資が出来るようになる筈だ。

『人とくるまのテクノロジー展2019 横浜』を見て私たち(参加者の方々と私)は、自動車産業が大きく変わっていこうとしていること、実際に関連する企業やその社員がそれに取り組んでいる姿を見ることができた。そして、間違いなく自動車産業が半導体や電子部品を大量消費する時代はもうそこまで来ているということを実感した。

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