決算を見て聞いて一喜一憂するのは株式投資にとっては重要なポイントではある。しかしながら、アナリスト・コメントやそのリサーチ・レポートから情報を仕入れるだけで投資判断をしている限り、決してあなたのパフォーマンス(投資収益)は上がらない。短期的にラッキーな結果を得ることはあっても、長期で見たら、通算損益は良くてプラスマイナスゼロ、通常はマイナスになるだろう。

何故ならその投資判断は決算発表時に公表される情報に基づいて市場関係者(主としてアナリスト)が再精査した、何らかの「ポジティブ・サプライズ⇒買い」であり、「ネガティブ・サプライズ⇒売り」であり、投資レーティングの変更だからだ。四半期毎に一年に4回も企業の業績結果と見通しは公表されるのに、未だに「サプライズ」と感嘆詞がつくことがあるのには、正直がっかりしてしまう。

個人投資家もファンドマネージャーも、まだ投資を開始する前、つまり株や投資信託を買い付ける前の段階ならそれらの情報は役立つかもしれない。しかし、既に投資中の銘柄である場合、決算発表が出た後でアナリストが如何に驚くかということとは別に、既に投資保有している私たちのポジション(銘柄)は決算発表直後からその発表を受けた値動きに晒される。

つまり「ポジティブ・サプライズ」ならばコメントやレポートが手に入る頃には既に値上がりしてしまって高値になっている可能性が高いし、「ネガティブ・サプライズ」ならば既に値下がりしてしまって底値になっているかも知れない。昨今はアルゴリズム取引など高速取引が多いから、直ぐに株価は位置を変える。それを見ていそいそ買いに行けば「高値掴み」になるかも知れないし、逆に膨らんだ評価損を見ながら諦めて損切りを決意すれば、それは「安値を叩き売る」羽目になるかもしれない。

アナリストと非常に近い立場にある機関投資家のファンドマネージャーの頃でさえ、常々そう思っていた。

実はリテール営業の現場にそうした情報が流れてくるまでには相当な時間が掛かる。端的に言えば、ファンドマネージャーにはアナリストなどが直接コンタクトしてきてくれる。逆に言えば、当時はそのファーストコールを貰えるか否かが、或る意味で非常に重要なポイントだった。

またアナリスト達の手が回らない場合などをフォローするためにも、リサーチ・セールスという部隊も証券会社にはあり、彼らが必要な情報を逐一電話で知らせてきてくれたものだ。だから受け身でも重要な情報は自ずと自然に耳に入ってくる。幸か不幸か、私は各社のアナリストの人達とも飲み友達のような関係も築けていたので、その点では非常に恵まれていたし、彼らには本当に今でも感謝している。

でもファンドマネージャーとして重要なのは、そのアナリストのコメントを自分自身で下した投資判断の正しさに対する裏付けとするような、自分自身での判断方法を確立することだ。

一方、リテールの営業マンたちは状況が違う。営業マンの人達は外訪活動で本当に忙しい(現場を5年間は見ていたので良くわかる)。だから、情報収集する時間さえ限られてしまう。彼らは会社のイントラネットで気になる銘柄のレポートを探すしかない。本当に大変だなと思ってみていたものだ。それを聞かされているのが多くの個人投資家だ。

投資家が本来欲しい情報は「今度の決算は想定通り良さそうだ/悪そうだ」という内容の確度の高い答えの筈だ。

現役のファンドマネージャー時代、実はいつも思っていた。結果論を見てから「買いだ、売りだ」とレーティングを付けるのは楽だよなと。更に結果論を見て「驚いた」なんて言うのは、下手をすれば「職務放棄じゃないか?」というぐらいにも思っていた。

かつて「SONYショック」などと呼ばれた大暴落があった。同社の決算があまりに市場コンセンサスを下回り、将来見通しも弱気だったため、こぞって多くのアナリストが「ネガティブ・サプライズだ」と論評したので、同社のみならず、ハイテク株が総崩れになって市場が暴落した。

「サプライズ」とつく以上、それを評価したアナリスト当人にとっては「想定外に悪い」の内容で、「まさかそんな筈はないだろう」と驚くほどに悪かったのだからそういう表現が使われる。

でもそれが一人や二人ならばまだしも、市場全体にわたって「サプライズ」っていうのは、日頃どんな分析の仕方をこの業界はしているのだろうと、寧ろ私は決算の内容よりも、そっちの方が「サプライズ」だった。

だからかも知れないが、ファンドマネージャーを長く続けていると段々と性格が天邪鬼になっていく。人の意見に耳を貸さなくなるという意味では無く、市場コンセンサスと呼ばれる市場の大勢の意見に対して疑い深くなる。コンセンサスが楽観論に傾けば傾くほど、それに疑いの目を向け始め、逆に悲観に傾いてくれば傾くほど、自然と「大丈夫じゃないかなぁ」と思い始めたりする。

それは結果論を見て梯子を外されるのが嫌なので、ポジションがある限り、常に大勢の意見に対してシニカルに構えて、回避行動が必要かどうかにアンテナを常に張り巡らせているからだ。そうすれば、皆が驚いて「売り!」と叫んでいる最中の下げは絶好の買い場であり、「こりゃあ、サプライズだ。買い!」と沸き立っている時は、絶好の売り場提供なのかも知れないからだ。

かつて、「天邪鬼の奨め」という記事を書いたことがある。その背景にあるのはこうした私の経験則からだ。だから私の各レポートや記事は、普通に皆さんが見慣れたものとはトーンが違う場合があるのかも知れない。何故なら、私は決算発表を聞いてから驚きたくないから。

良ければ良いで「ガッツポーズ」をし、悪ければ悪いで「やっぱりな。でもこの程度で済んで良かった。」と冷静に対処したいのだ。その為の情報分析の仕方、情報マイニングの仕方をお伝え出来たらといつも思っている。

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