昨日今日、周回遅れの内容の記事が日経新聞朝刊の大きな場面を飾っているように思う。そう、昨日のルネサスエレクトロニクスの件と、今朝の「世界半導体、30カ月ぶり減 GAFA向け足踏み」という記事だ。

ルネサスに関して言えば、日本の総合電機メーカーの三菱電機、日立製作所、NECの半導体部門が経営統合して2010年4月に登場した会社だが、残念ながら失礼を顧みずに申し上げれば「敗者連合」のイメージの強い経営統合だ。

なぜ、日本の総合電機で、あれだけ優秀な技術者の皆さんを抱えていながら、事実DRAM全盛の頃は半導体部門で随分と収益を稼げた日本の総合電機の半導体部門が凋落したかと言えば、経営のスピード感がドッグイヤーと呼ばれるIT業界のそれにそぐわなくなり、韓国、台湾勢などの後塵を拝するようになったからだ。

この業界、メモリー半導体は必ずどの世代のそれも各社が大量供給するようになったので、先行者メリットは大きかったが、後追いになると、設備投資の減価償却にコモディティ化していく中で単価が下がる勢いに収益化が追随出来ず、作れば作るほど赤字になる状態が続いてしまった。求められるのは大胆で機動的な経営判断が出来る経営陣で、日本型経営に適したスタイルではなかった。

優秀な人材で、プライドの高い各社出身の経営陣が、旧各社の得意分野への拘りを残しつつ、全社的なメリットを追求しての大胆な経営判断が新会社になれば迅速に出来るかどうかと言えば、多々疑問符が残ることはお分かり頂けよう。そして三菱や日立、或いはNECの金看板の下で失敗したトラウマがまだ残っているとしたら、その傾向は尚更だ。それを踏まえて、昨日のルネサスの記事を見て頂くと、より現状への理解は深まるだろうと思われる。

さて、本日のニュース。半導体の世界需要が1月減速というのは、既に1月に決算発表をした多くの日米欧の半導体関連企業がその決算説明の中でコメントされており、株式市場の半導体分野関連では既にワンラウンド消化し終わった内容だ。個別に跛行色があったのは事実だが、既に個社別、或いは半導体の種類や用途別に動向分解は終わって、次なる株価の価格形成が始まっている。

データセンター需要が落ち込んでいるというのは周知の事実では無かったのかといぶかしんでしまう。確かに昨年末あたりからデータセンターの投資需要はブレーキが掛かった。それはクラウドコンピューティングに必要なデータセンターのキャパシティーが飽和して需要が無くなったからという事では全くない。ある意味ではむしろ逆だ。データセンターの本質的な需要は増え続ける一方で、その要求スペックが高くなり、ちょうど世代交代が必要な段階に来ているという事だ。だから2019年秋口からは回復すると言われているのは、その技術的な問題が追い着いて来るからだ。

例えば、今データセンターが欲するニーズと言えば、省電力化と高速化だ。これには5Gなどの話も密接に関わって来る。IoTなどのエッジコンピューティングが進むといっても、クラウドでの処理は増加の一途であり、新しいそうした用途に対応するには、データセンターも一言で言えば処理速度を上げなければならない。

更に個別の事情を言えば、インテルは半導体のデザインルールと呼ばれる微細化技術で、現在珍しく苦労している。最先端が7nmになりつつある段階で、まだ10nmで足踏みしているからだ。微細化は省電力化に威力を発揮するし、当然発熱量も落ちるからだが、発注側としては最先端テクノロジーのものが欲しいに決まっている。

また、一方でGoogleやAmazon、或いはマイクロソフトは独自にデータセンター用の半導体開発に乗り出しているということも少なからず影響を与えているだろう。

昨年夏頃までは、仮想通貨のマイニングの為に、エヌビディアのグラフィックチップが使われて特需を生んでいると言われていたが、それが削げ落ちたからこそ、同社の株価は半値まで落ち込み、ソフトバンクグループは先の決算発表(2月6日)で、孫会長自らどうやって株を売却したかまで説明したぐらいだ。あまりに旧聞過ぎるように思う。もう誰もグラフィックチップにマイニング需要を期待してはいない。

ひと言で半導体という括り方が出来たのは、恐らく1990年代までであろう。シリコンウェーハの上に回路を描いて切り出して使うという意味では、多くのものが半導体に違いないが、それは反物の布から切り出して縫製するものを全て「服」と纏めるぐらいに大雑把なやり方になってしまった。テーラードスーツもあれば、ファストファッションもある、また下着や高級カジュアルもある。そうした視点で見て行かないと、ただただ投資機会を逃すだけになるとしか言えない。

事実、今半導体業界が注目している半導体のひとつは、ここまでで私が一言も言及していない半導体だから。

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