国際分散投資のことをお話すると必ずと言っていいほど聞かれる質問が「為替ヘッジはした方が良いですか?それともしない方が良いですか?」というもの。

私の答えは「長期投資で国際分散投資をするならば、本来は為替ヘッジ不要」である。

勿論、数年間程度でドタバタ売買を繰り返す前提ならば、ある程度は為替の読みを入れて「ヘッジしたり、ヘッジを外したり」する方が超過収益を得ることが可能になるかも知れない。FX取引という金融商品がある以上、為替変動の波の中を上手く泳げるならば、プラスアルファが期待出来ると思えるかも知れない。

しかし、理論的な世界では「長期的な視野に立った場合、最終的に為替変動はその各資産クラスの価格に織り込まれていく」というのが答えとなる。

何故ならば、為替変動は最終的には全て国際交易条件に反映されるので、結果、各資産クラスの原資産価格に織り込まれて行くということだ。自国通貨が強ければ(日本で言うなら円高)、輸出産業が打撃を受け、輸入産業が恩恵を受ける。逆ならば輸出産業が恩恵を受け、輸入産業が打撃を受ける。

当然その状況によって景気も変動するので、株価水準も金利水準も変動する。それらを総合したものが各市場のインデックスとなり、それらを元にして資産クラスの配分も、国別の資産配分も決めるからだ。

そしてもうひとつ重要なことは為替ヘッジのヘッジ価格がどうやって決まるかという仕組みそのものであり、為替ヘッジのやり方だ。

為替ヘッジのやり方には、単純にスポット価格でヘッジ対象の通貨の売りポジションを持つ方法と、1カ月先、3か月先、半年、一年などの先物予約を使う場合とがある。

実際に1万ドル分の株を購入し、その為替ヘッジを考えたとしよう。

1万ドル分のドル買い持ちポジションを持ったことになるので、その為替変動リスクをヘッジする

① スポット価格でドル売りだけをした場合。(実際にはどこかで買い戻さないとならない) 

(問題点)

購入した株が狙い通り上昇し、2割増の12,000ドルになる場合もあるし、逆に見通しが外れて2割安の8,000ドルとなることもあるだろう。問題はその時に当該ヘッジポジションをどう扱うのかということだ。前者の場合、更に2,000ドルを売り増し、後者の場合、逆に2,000ドルを買い戻すのだろうか?当然この時、為替相場自体も動いているであろうし、為替の売買コストも多少なりとも発生してしまう。そもそも、そんなジタバタする必要があるのだろうか?これはせっかくの長期投資の前提からして、スタンス的にもおかしなものである。

ファンド運用などの場合には、こうしたドタバタを避けるために、一か月ごとの為替の先物予約をその時点の外貨のポジションに合うように、毎月毎月決済と新規先物予約を繰り返すというのが普通だ。だから投資信託の目論見書には「為替は原則フルヘッジとします」というように“原則”の文字が入れられる。つまり途中のオーバーヘッジ部分やアンダーヘッジ部分には目をつぶっているからだ。

② 先物予約を使って1カ月先のドルを売り建てした場合

先物予約をする手続きだが、どうやって値段を決めるのか、その簡単な仕組みをご説明しよう。 

  1. まずスポット為替で円売りドル買いの必要相当分(前例なら1万ドル)を売る。
  2. その決済期日を1カ月後として、円とドルとの金利差から1か月後の受渡価格を決める。

(仮に円金利をゼロとして、ドル金利を1.2%とするならば、今円を渡して金利の付くドルを貰えない相手業者に対して、その期間分の利息を負担してあげないとならない。

つまり、ドルの年率1.2%の1か月分の金利0.1%(10,000ドル×0.1=10ドル)相当分を上乗せしないとならないということだ。これをヘッジコストという。) 

3か月のドル預金をして、3か月先まで為替をフルヘッジしたら、せっかく金利が高いと思って外貨預金をしたのに、円金利と同じになってしまう(金利裁定)という理屈がこれだが、為替ヘッジというのは、投資家として、ひとつでもリスクファクターは減らしたいという気持ちは理解出来るのだが、現実には長期投資の場合、コストが膨らむだけの無駄な気休めということが出来る。

そもそも、先述したように「為替変動は最終的には全て国際交易条件に反映されるので、結果、各資産クラスの原資産価格に織り込まれて行く」という大前提があるのだから。

これらの結論として、長期投資の場合、為替ヘッジはしない方が良いという結論になる。但し例外として、歴史が証明するように「プラザ合意」や「ルーブル合意」のような通常とは違う事態が発生した場合は、この限りではなく、迅速な何らかの対応が必要になる場合がある。

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