2019年2月7日、前日の第3四半期決算発表を受けて、ソフトバンクグループは終値9962円、前日比1500円高とストップ高になりました。
さらに翌日も日経平均が418円安の中、SBGは53円高の10,015円と約5か月ぶりに1万円台を回復しました。

今回の決算発表は昨年12月にソフトバンクKK(通信会社)を切り離した後、つまり投資会社としての初めての決算発表として業界関係者は勿論、個人投資家の方の注目も高かったのではないでしょうか?

このコラムでは、ソフトバンクが今決算で注目されたポイントを注意点を整理します。

まず、大幅に買われた理由ですが、は以下の4点だと考えます。

1.25-4=9? (企業価値)の意図が伝わった
2.どういうビジョンを持っているのかが良くわかった
3.自社株買いを発表した
4.最後に質問が出尽くすまで、質問を受け付けた

では一つづつ確認していきましょう。

1.25-4=9?(企業価値)の意図が伝わった。
冒頭で出てきたスライドが、E=MC2(特殊相対性理論)の分かり易い有名な式と、意味不明な25-4=9?というもの。誰もが「なんだこれ?」と思った筈です。

実はこれ、後に説明される企業価値の話に繋がります。有名な特殊相対性理論の数式を持ってきた後で、誰もが疑問に思う計算式で注意を惹くあたりは、さすがプレゼン上手です。

その後暫くは普通の決算説明と同じような説明が続き、NVIDIA株式売却の考え方や伴う損益などの説明が続きますが、いよいよ「株式価値について」というタイトルで一番訴えたいであろう部分の話が始まりました。

一般的に「ソフトバンクグループは借金まみれ」と噂されやすい同社は、まず株主価値と負債との関係について明確にしたかったのでしょう。確かに昨年11月にソフトバンクKKを上場させて純粋持ち株会社になった同社の財務諸表から、そうした内容を部外者がサラッとそれを読み解くのは容易いことではありませんから。

スライド31で、現預金や投資先企業の借入で連帯保証をしていない分を差し引くと、実はSBGの借入は17兆円ではなく、4兆円に過ぎないということを説明しています。

次に説明されるのはSBGの企業価値そのものの話。

主要な投資先で時価を換算することが出来るものを示し、「この7銘柄だけでも約25兆円あります」ということを公言、すなわち企業価値は25兆円ある筈だということです。それで、その企業価値から負債を引いたもの、すなわち株主価値が幾らか計算してくださいよ、というのが冒頭部で出てきたスライドの「25-4」という部分の意味になります。普通に計算すると「21」ですよね。これが「9」にしかなっていないというのです。

実際にその日の引け値(2月6日)ベースで計算した例を示し、同社の時価総額、すなわち株価×発行済み株式数は9兆円、すなわち「9」にしかなりません。そこで「この差は何でしょうか?」と、「「25-4=9」なんですか?」と問い掛け続ける。

あくまで自らは答えを言わず、聴衆に考えさせるやり方。さすがです。誰もが「過小評価だ」と思う筈ですから。これが翌日の株価に一番インパクトがあったと思う部分です。

2. どういうビジョンを持っているのかが良くわかった
次に話題が向かったのがSBGのビジョンの説明。何をどう見て投資をしているのかという話。言いたい事は「AI 人類史上最大の革命」ということと、「AI群戦略」という話なのですが、やはり情報通信革命の流れを示し、如何にその流れをSBGが上手く泳いで来たかを示した後、次はAIだと強調します。そのスライドが下の絵です。

ここまでの流れを満たす為の必要条件はCPU/GPU、メモリ容量、通信速度の進化だとして下記の図を示し、この先30年後には更に全て100万倍になると断言されました。信じるも信じないも聴き手側の勝手ですが、例えば「ムーアの法則は終わった」という評論をここで展開するのはあまりに無意味に感じられました。また「過去は過去、未来は保証しません」論法も勿論無駄な抵抗と感じられました。それくらい説得力はあったと思います。

だからこそ、「SBGはAI群戦略を続ける」と締めくくれば、素直に「凄い!」と言わざるを得ない感じを見事に醸し出し、プレゼンテーションは大成功という感じがしました。

3.自社株買い発表
そんなプレゼンの中で自社株買いが上限6000億円として発表されました。その分だけ発行済み株式数が減るので、既存株主の一株当たりの株主価値は当然今よりも更に上昇することになります。

ただでさえ、孫さん式数学の中では「25-4=9」はおかしくないかと問い掛けている中で、更に株主価値が上がることを発表したのですから、これをネガティブに受け取る向きは少ないだろうと思います。

4.最後に質問が出尽くすまで、質問を受け付けた
孫さんだけでなく、日本電産会長の永守さんも同じスタイルなのですが、基本的に時間の許す限り質問は最後の1問が出尽くすまで、誠意をもって対応されます。今回のSBGのそれでも、何度か司会の女性が「それではそろそろお時間が・・・」と切り出すと、それを孫さんが制止して「大丈夫です。私が仕切りますから」と全部の質問を相手にして切り返すというか、説明を続けました。最後に質問をすることが無くなると、所謂「疑」の文字は消えていますから、皆を味方につけることが出来るという方法です。

機関投資家を個別に社長が何社も何社も訪問して回るのは時間の無駄だと常に思っているのですが(大口保有者、すなわち大きな株主は除く)、決算説明会の1時間や2時間の延長は、流石に企業経営にダメージを与えることは少ない筈だと思います。トップがどんなトーンで、各質問に答えるかを見聞きするのは、投資家として何とも心強いでし、「疑」が無くなれば安心が残ります。

これらの要素があわさって、私もライブを見終わった後の第一印象は「孫さんの勝ち!」と思わざるを得ませんでした。良い説明会だったなと素直に思いました。更にアナリストが駄目だしする芽を殆ど摘んだなと思えましたしね。

 

SBG決算発表に見る投資判断のチェックポイントについては下記の記事をご覧ください。

 

今回はソフトバンクグループの決算書を題材に買われたポイントを整理しました。第三四半期決算もほぼ出そろってきました。興味がある会社の決算をみて感じたことをメモしてその後の株価の推移をチェックしてみてはいかがでしょうか?

 

ソフトバンクグループの決算発表動画は以下からご連になれます。
https://webcast.softbank.jp/ja/detail/video/ref:20190206_01_ja

文中の画像は同社決算発表資料からの抜粋です。

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