12月のこの時期と言えば、早い人ならもう年末待望のボーナスを貰って「車を買い替えようか?」などと考えたり、週末に金融機関の資産運用相談コーナーなどを訪ねてみようかと考えられていたりされているのではないでしょうか?

前者はこのコーナーとは関係ない話ですが、後者は正に一番気になるところです。

注意してください。

貴方の顔には「ボーナスが入ったから、人生100年時代に備えて、資産運用がしたいんです。だから何かいいお薦めの投資信託を下さい!」と電光掲示板のようものが光り輝いているのを、金融機関の営業マンには丸見えになっているということを。

そうです、「資産相談コーナー」などと銘打った、金融機関の無料相談コーナーやイベントは、そうした貴方のような方に金融商品を販売することで、一見無料で成り立っているのです。

正に鴨が葱を背負ってやってきたようなものです。もしかすると、鍋や調味料も貴方は背負っているように見えているかも知れません。

心得、その1

「絶対に相談したその場で買う決断をしないこと」

窓口ではいろんな資料やパソコンの画面に映し出されるチャート類などを使って、その金融機関が「今一番売りたい商品」のセールスを仕掛けてくるでしょう。

もしかすると待合室やロビーには、清潔感溢れる芸能人や、自分と身近な存在に感じられるような芸能人のポスターやTVコマーシャルなどが流されていて、よりその気になるのを煽っているかも知れません。

でも、はっきり言いましょう。その芸能人の方は、その金融商品が何であるかは殆どの場合「知りません!」。単に役柄として笑顔を振り撒いているだけです。

ベテランの営業マンの話術は巧みです。またそれを販売する為に金融機関が叡智を絞った資料やプレゼンの仕組みは、まず完璧です。まるで催眠療法でも仕込んであるのかと思うぐらい。

もしかするとその上に、「私たちはFD宣言(フィディーシュアリー・デューティー宣言)をしていますから、お客様のことを第一に考えています」と微笑まれるかも知れません。

しかし必ず「この資料はのちほど、ご自宅に帰られてから、ゆっくりとお読みください」と沢山の資料を渡されることと思います。既に購入することを決めて、伝票に署名捺印して処理は終わっていてでさえです。

まずは勇気をもって「今日はいいお話を聞くことが出来ました。よく検討して、買うことに決めたらまたお邪魔します」と伝えて、一旦はお帰りください。そして頭を良く冷やして、資料をよく読んで、最低でも一晩よく考えてから決断してください。必ず疑問点のひとつやふたつ、湧いてくるからです。それをクリアにしてからでも投資をするのは遅くありません。

心得、その2

「手数料が総額で幾らかかるか、確りと確認すべし」

購入時に支払う販売手数料、保有期間中にファンドからずっと自動的に引き落とされる信託報酬等、投資信託に掛かる費用は結構あります。

金融機関の職員が休日出勤し、良く作り込まれた販売用資料を使い、テレビCMなども行って投資信託を販売し、運用会社がファンドマネージャー以下アナリストやトレーダー、或いはバックオフィスなども動員して運用するのですから、投資信託の販売から運用にはお金が掛かるのは当然です。

ただそれが投資家側として、

何の対価としての必要なのか?
その多寡は納得いくものなのか?

という視点だけは持って、一度きちんと確認をして欲しいのです。

例えば、ある投資信託を10百万円購入すると、

購入時に32.4万円、
一年間保有すると更に19.9万円、

つまり52万円程度の手数料を金融機関に払うことになります。

つまり年率5.2%です。ファンドマネージャーの感覚として、正直この初年度の年率5.2%の負担は取り返すのに負担を強く感じます。(ファンドマネージャーの責任ではないんですが・・・)

ファンドは当初有価証券組入時に有価証券の売買手数料や、執行インパクトなど、多くのコストが必然的に掛かります。その上で仮に頑張って10%の利益を稼いだとしても、お客様の初年度の受取分は「10%‐5.2%=4.8%」と、金融機関全体での収益よりも小さくなってしまいます。

ましてや現時点のように、1年前より株価が安くなってしまっているような局面では、尚更のことです。だから長期保有して販売時の手数料を2年持てば半分、3年持てば1/3になるなどと説明を付け加えるのです。

ですから、まず手数料が幾らかかるのか、確りと確認してから購入するかしないかを決断してください。

心得、その3

「どんな時に投資収益が上がる投資信託なのかきちんと確認すべし」

最近流行りのパッシブ運用の代表である日経平均株価などのインデックス運用ならば、どんな時に投資収益が上がるのかは誰にでもわかります。日経平均株価が買った時よりも、総支払手数料を上回る率で上昇すれば儲かります。これは当たり前の話です。

でも時々、私のような資産運用業界にドップリ浸かった30年余りの経験をもってしても

「このファンドって、儲かる時ってあるのか?」

みたいな複雑な仕組みになっているものが売られたりしています。

株が上がれば良いのか、金利が下がれば良いのか、円安になれば良いのか、などなどです。

「あーなって、こうなって、そうなったらこの投資信託は儲かります」ということが、きちんと投資家である貴方の腑に落ちることを確認してから購入してください。

心得、その4

「どの資産クラスを投資対象としているのか、偏らないように気を付けるべし」

プライベートバンクの投資ソリューションチームのヘッドをしていた時、お客様の投資内訳が、殆どの場合、1つか2つの投資資産クラス、具体的には「日本株式と新興国株式」、或いは「日本株式と新興国債券」に偏っているなど、極端な例を幾度となく確認して来ました。

私たちは常に「もっと国際分投資になるように、ポートフォリオを動かしていきましょう」と提案を続けてきました。

「人生100年時代の資産運用」なんて言わずとも、資産を確りと安定的に増やしていきたいのならば、国際分散投資がグローバルにデファクトスタンダードな考え方なのですから。

是非、既に投資されている何かがあるのならば、資産クラス(アセット・クラス)を分散することも考えて欲しいものです。どうしたら良いのか、そうした事こそ、金融機関の営業マンに是非相談に乗って貰ってください。きっと正しい答えが返って来る筈ですから。

心得、その5

「アクティブ運用が良いか、パッシブ運用が良いか、それは神学論争のようなものと知るべし」

このところ、世間で喧しい議論が繰り広げられ続けているのが、アクティブ運用が良いか、パッシブ運用が良いかという議論。でもこれ、実は行動経済学の観点から見ても、実は神学論争のようなものなのです。

双方に言い分があり、双方にメリットデメリットがあります。ポイントは、投資家がどちらのスタイルを嗜好して、その結果を納得して受け入れることが出来るかにつきます。単純な良し悪しの問題ではないのです。

なので、もし「今はパッシブ運用が流行ですから・・・」と言われたら、基本的な誤解が販売側にあるか、何も知らない可能性がありますから、そのあとの話は聞かないでも良いと思います。

この「アクティブ運用が良いか、パッシブ運用が良いか」という問題については、またコラムをあらためてご説明しますね。

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