最初に、私の30余年の市場業務経験から得た率直な感想を言えば、債券市場関係者は良く言えば「慎重論者」、悪く言えば「根暗な悲観論者」が多いと思っています。

何故か?

その理由は、債券が景気の良い金利上昇局面では儲からず、景気が悪い金利低下局面で儲かる性質のものだからです。

金利が上昇する好景気な状態よりも、金利が低下する不景気な状態の方が身入りが増えるからです。

債券はご承知の通り、

金利が上がれば価格が下がり、
金利が下がれば価格が上がります。

だから金利が下がって貰わないと商売上がったりだからとも言えます。株屋に下落トレンドの中で、株を買って儲けなさい!と命令しても、殆どお手上げになるのと同じです。

更に、これは株屋のファンドマネージャー出身の私のひがみかも知れませんが、マクロの経済データを引っ張り出してきて、専門用語を並べて慎重なトーンの話をしている人の方が、「この会社、凄い儲かっていますから株価もガンガン上がる筈です」というような話をする人よりも賢く見えますよね。

前者は見通しが外れても「慎重に成り過ぎました」と言えば許され、後者は「見通しが甘いんだよね」と貶されるだけなんです。

逆イールドの状態は何故悪いのか?

さて、そんな中で12月4日のNY市場の株価下落要因が

「逆イールド(長短金利の逆転)の発生」
「利回り曲線のフラット化進行」

が原因だと多くのもっともらしい解説がなされました。

それってなんでそんなに悪い話なのでしょうか?

短期金利(FFレート)はFRBが睨みを利かしているもので、中央銀行の思惑で上がったり下がったりしますが、長期金利は債券市場の需給で決定されます。

短期の金利よりも長期の金利の方が低いということは、当該短期の期間よりも、先々の長期の景気の方が悪くなることを市場は予想していると解釈することが出来るからです。

「FRBがどう考えようと、先々の世の中は暗いよ」と債券市場がシグナルを送っているということです。

3年債と5年債の長短金利逆転が本当に問題になるのか?

しかし、今回の件で注意しなければならないのは、長短金利の逆転現象が起きたのは「米国3年債と5年債」の間での話であり、通常議論の対象となる「2年債と10年債」の間の話では無いということです。

となると、問題は、3年債金利が「短期金利」で5年債金利が「長期金利」と呼ぶべきものなのかということです。普通はこの位の期間だとどちらも「短中期金利」と呼びように思います。「5年債」を長期債と呼ぶのを聞いたのは、もしかすると私は初めてかも知れません。

因みに、肝心な「2年債と10年債」金利も水準は近づいてきていますが、それでもまだ逆転はしていません。過日大騒ぎになった3%越えの水準から2.9%台まで低下しても、まだ逆転はしていない、つまり市場は騒ぎたくなるほど景気後退をまだ予想はしていないということです。事実、経済統計系のデータでは、現時点ではそれを証明出来ない筈です。

感覚的な話で恐縮ですが、3年債と5年債をそんなに「期間の違う異なる債券」として運用現場や投資商品組成現場が扱うかと言えば、正直極めて微妙です。余程精緻な債券ポートフォリオを組んでいるファンドマネージャーならば、きっと別なのでしょうが・・・。

つまり、たまたま需給関係(買いたい人が多いか、売りたい人が多いか)が少し歪んでいただけなのかも知れません。

市場休場の前だったのも影響したのでは?

更に言えば、12月4日の翌日はブッシュ前代大統領の国葬の為、市場は休場です。クリスマスが近づいているこの時期の休場前、株式市場にポジション整理の動きが出易いのと同様に債券市場にもあって然るべきなんだろうなと思います。

リーマン・ショック後の異常な金融緩和状態からの正常化プロセスが始まって以降、基本的に債券市場は追風の中の運用にはなっていません。何故なら「金利上昇局面」だからです。

FRB議長が「来年は3回は利上げをする」などと言えば、思いっ切り向かい風になります。でも「利上げは取りやめる」とでも言えば、利上げを見越して上昇していた長期金利は低下し、即ち長期債の価格は上昇し儲かることになります。

「逆イールド(長短金利の逆転)」を殊更に囃し立てる背景はこのあたりにあったように思います。そして当然、株式市場の方では、この現象に反応したプログラム取引が休場の前の市場に大きなインパクトを与えたということではないでしょうか?

株価は景気が悪化すれば、企業収益が上がらず下がるというのがセオリー(理屈)ですから、そのプログラム取引はある筈です。

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