世論調査は本当に民意を象徴しているのか?

最近安倍内閣に対する支持率に関して、多くの世論調査なるものの結果が発表され、「内閣支持率低下」「危険水域」「支持率最低」などなど、どれを取っても倒閣を志向しているとしか思えない結果が並ぶ。テレビのバラエティー番組のようなニュース・ショーのようなものでも、俳優やコメディアンなどの所謂「タレント」と呼ばれる人たちが、尤もらしい顔をして「加計学園問題は徹底的に究明されるべきだ」とか、自衛隊の日報問題を取り上げて「稲田防衛大臣の退陣と、任命責任は問われるべきだ」と無邪気に安倍政権への批判を口にしている。

まずひとつの問題意識は、これら世論調査と言われるものが、本当に国民の総意を反映したものなのであろうか?ということである。おかしなもので、日本のポピュリズムは意外と簡単なことで一斉に同じ方向を向く。それはいつものことだが、どの新聞を見ても、どのテレビ局を観ても、同じトーンでの時事問題の弄り方しかしないからではないだろうか?

米国では、共和党系と民主党系とメディアもはっきりと分かれており、主張することも、批判することも、ある意味首尾一貫している。国民自体も共和党支持者か民主党支持者か、多くの場合、明確な政治意識を持っているので、決してどちらか一方への偏向報道状況にはならない。

翻って日本はというと、当月始めのTBSの世論調査によれば、2pt低下したとはいえ断トツで自民党支持が多く31.5%、野党第一党と言われる民進党も何故か1pt低下して僅かに6.3%でしかない。残りの政党は3%台以下と評価に値しない。と言っても、2大政党の支持率を合わせても半分に届かない不思議(異常?)な状態だということだ。何故なら支持政党が無いと答えた人が50.4%と過半数を超えるからである。

この状態でワーワーとスキャンダラスな話のようにメディアで騒ぎ立てて「安倍内閣を支持するか?」と聞かれれば、余程の筋金入りの人以外は「支持しない」と答えるであろう。現に与党自民党の支持者は31.5%しか居ないのであるから、内閣支持率がそこまで下がっても、極めて整合的な当たり前の結果が出ているに過ぎない。

一方、それ以外の日本の状況に目を転じれば、北九州や秋田での自然災害があり、隣国北朝鮮でのきな臭い動きには留まるところが見えず、欧米諸国は漸く超金融緩和状態から抜け出ようかとし始めているにも関わらず日本はまだ先が見えてこないなど、政府が先頭に立って手を打たなければならない問題こそ枚挙に暇がない。にも拘わらず加計学園問題や日報問題などの追及の方が、優先順位が高い報道テーマなのだろうか?世論を誘導すべき問題なのだろうか?

恐らく、災害被害にあわれている地域の人達は、政府の要人たちの貴重な時間がそうしたこと以外に割かれて消耗されていることに落胆されているだろう。株価がずっと20,000前後の水準に張り付いたままボラティリティがジリジリと低下しているのも、大切な景気の舵取りの話や国際緊張問題などへの対応策などが政治問題の中心に据えられているように見えないからではないだろうか?

過激な発言かも知れないが、内閣改造という小手先ではなく、一層のこと解散総選挙を安倍首相が選択されたら刺激的なことになるのではないだろうか?この国では、かつてポピュリズムに走って「一度はちょっと自民党にお灸をすえてやろう」という票が一気に流れて政権交代が実現し、実に痛い目にあったという苦い経験がある。

苦い経験と思っていない人も数多いるとは思うが、本当に民意を問うならば、メディアが主宰する世論調査などの数字ではなく、素直に解散総選挙で民意を問う方が正確な答えが得られると思う。もしそれで政権が交代するなら、それはそれで国民の意志であり、国民の選択なのだから。世論調査なる怪しげなものに振り回されて、国政が停滞することこそ、今の日本にとっては最大のリスクだと私は考えるのだが・・・。