かなり気になるボラティリティの低下(急落の前触れか?)

筆者は割とオーソドックスな株式/株価指標を参考にして運用を続けてきたし、その後も市場の見立てを立てるためには、割と伝統的でオーソドックスなものを利用してきた。今でも一定のデータは毎日集め、市場の動きを観察している。

その中の重要な指標の一つがボラティリティ。予想変動率などと訳され場合もあるが、筆者が参考にいつもしているのはヒストリカル・ボラティリティなので、本質的な予想変動率であるインプライド・ボラティリティとは性格が異なる。すなわち、これからの話では無く、ヒストリカル、過去どうであったかを数値化したものだからだ。

従来はブルームバーグ端末がデスクにあったので、そこでちょいちょいとキーを叩いて、10日間のヒストリカル・ボラティリティを調べていたが、この数年間は日経新聞朝刊の「マーケット総合1」、真ん中あたり最下段に日経平均オプションの欄の数値の一つとして公表されているものを利用することにしている。日経平均HVとあり、7月5日付の朝刊なら6.9となっているものだ。そう大して差は生じないので・・・。

この数値、通常だと低くても11位。高ければ2008年10月のように130台まで急騰することあるような数値。巡航速度は15-20程度だろうか(単純に平均をとっても全く意味が無いので)。これが昨日の大引け時点で6.9に低下している。因みに今年のGW開けはまだ14.2もあったが、その後ほぼ一貫して下落してこの水準に至っている。

なぜ筆者がこの数値をここまで気にするかと言うと、この数値の極端な低下は、市場の急落の前触れとなることが多いからだ。精緻な言及は専門的になり過ぎるので避けるが、ボラティリティと原資産価格(この場合は日経平均)には負の相関関係があり、株価が上がるとボラティリティが下がり、株価が下がるとボラティリティが上がるという大雑把な関係がある。当然、細かいエラー値は出るが、概ねその感覚で見ていて、あまり間違ったことは無い。

すなわち、この6.9が最低でも14-15程度まで戻るには、一旦株価は急落しないとならない。そうして犬が胴震いをして水露を払うように、澱んだ市場の滓を払って、再び上昇軌道に乗れるなら乗るということだ。そうでないど、この澱んだ市場の滓と共に、ズルズルと下げ続けるか上がらない。

問題は日銀がETFで買いに走ること。これが市場の自然な価格形成メカニズムを完全に変えてしまっている。下に抜ける時は、ダイナミックに一度抜いた方が健康的なのだが。かつて、阪神大震災後に市場が本人の意図せぬ方向に動いてしまったのを、何とか腕力で食い止めようとしたディーラーが居た。その名はニック・リーソン。女王陛下の金庫番と呼ばれたBarings(ベアリングス)を破綻させた男だ。市場の神様は怖いもの。一部の狡猾な者が意図的に動かそうとすると、必ず吠え噛みついてくる。まあ、日銀は下がるとETFを買っているだけなので、市場をマニピュレートしているとは神様もお考えにはならなかろうが・・・。ご用心、ご用心。