この国難を乗り越えられなければ、当面日本株のリバウンドは見えてこない。

週末3月23日までの日米市場の現状など

今朝(現地時間3月23日)の米国株市場は大幅続落、NYダウがマイナス424.69ドル(-1.77%)の23,533.20ドル、SP500がマイナス55.43(-2.10%)の2,588.26、そしてナスダックがマイナス174.01(-2.43%)で6,992.67と7,000ポイントを割れて終わった。

要因は昨日同様、トランプ米大統領が表明した中国製品に高関税を課す措置に対し、中国は米国製品への関税引き上げ計画を準備しているという貿易戦争の話が中心。更に悪いことには、会員情報の流用問題への懸念がくすぶり、Facebookが値を保てないため、それ以外の多くのハイテク株も下落するという悪循環に入っていることだ。正直、市場はベア一色になってしまったと言っても過言ではない。

翻って日本を見て見ると、これも週末の日経平均株価は一時1,000円安以上を演じながら、辛うじてマイナス974.13円で踏み止まって20,617.86円。シカゴ日経平均先物の今朝の終値はマイナス135円で20,215円。

為替と金利だが、ドル円は104.74円と105円を切って104円台に突入、ただ逆に米国債10年の金利は2.81%に低下した。これが今週を終えた段階での市場の状況だ。確かなことは、かなりな混乱状態に陥っているという事だろう。恐怖指数と呼ばれるVIX指数も、2月初めの37.32に比べるとまだ低いが、一旦下落した後ではこのひと月で最高値となる24.87まで再び急騰している状態、下がるよりはまだ上がる可能性の方が高かろう。

週明け以降の展開を考えると悲観せざるを得ない

さて週明け以降の日本市場を考える上で重要となるのは、二つのテーマだと思われる。結論から言えば、シナリオは大きく変わってしまい、目先にリバウンドは期待し辛い。このまま行くなら、日経平均の20,000円割れは普通に覚悟しておかないとならない状況だろう。その二つのテーマとは、①米国の輸入関税に関する問題、②安倍政権の安定性の問題だ。

①米国輸入関税に関する問題:トランプ米政権は23日、日本政府が強く適用対象から外すように求めたのを他所に、鉄鋼とアルミニウムの輸入制限を発動した。日本が米国に輸出する鉄鋼とアルミニウムにはそれぞれ25%、10%の追加関税が課される。これは或る意味、これまでの日米関係の蜜月を終わらせる合図になってしまっているのかも知れない。何だかんだと言いながら、防衛問題も含めて、長年米国に甘え続けてきた日本に対し「もう許さないよ」と喉元に匕首を突き付けられた状態にも見える。今後、鉄鋼とアルミニウム以外にも広がる可能性はまったく否定出来できない。

②安倍政権の安定性の問題:上述の米国輸入関税問題に、結果はどうなるにせよ、最善の対応が出来る政権は間違いなく今は安倍政権だ。本来、こうした時にこそ長期政権が役に立つというものだ。しかし翻って国内だけで政局を見ると、足元の安倍政権は政権発足後で最も厳しい状況に立たされていると言えるかもしれない状況だ。ここまでの景気回復を引っ張ってきたのはアベノミクスだという事実を忘れて、支持率の世代間格差という事実も脇において、野党もメディアも安倍おろしの矛を収めないし、寧ろ与党内に混乱さえも齎す勢いで煽り上げている。今、安倍政権が倒れ、政治空白が生まれたり、禄でもない日和見政権が誕生したりでもしたら、恐らく何も国益は守られず、すなわち株価は大きく下落するだろう。

残念なことに、森友学園の問題で安倍政権の足元がグラついているニュースは、それほど海外では今まで喧伝されていない。これは逆に言えば、外国人投資家の行動にそのリスクは大きくは織り込まれていないということだ。外国人投資家はまだアベノミクスを信じているし、期待している。もし政権がぐちゃぐちゃになれば、円安には振れるだろうが、それも期待の限りでしかない。

逆転の可能性を考えてみるが・・・・

ただ、もしかすると①米国輸入関税に関する問題は、4月末の米朝会談を前に、トランプ大統領の北朝鮮に対するひとつのポーズかも知れない。大国中国との貿易戦争に発展しようとも、蜜月関係と思われている友人でもある日本と雖も、厳しく対応すべき時には容赦しないぞ、ということを見せつけているのかも知れない。だがそれほど計算し尽くしてトランプ大統領が動いているとは正直考えにくいのも事実だ。単に、秋の中間選挙を前に、トランプ大統領の岩盤となっている白人支持層へのアピールに過ぎないのかも知れない。

②安倍政権の安定性の問題に関しては、残念ながら、野党や与党内の一部、そして世論と呼ばれる旧来型メディアに洗脳されている世間の流れは、この問題で打倒安倍政権の勢いを加速させることはあっても、「アベノミクスを守らないといけない」と、方向転換はしないだろう。寧ろこれに乗じて「安倍政権の外交政策の失敗の責めを問う」という狼煙をもう一本あげると考えた方が良い。

つまり逆転の可能性は極めて低く、寧ろ米国の輸入関税に悩まされつつ、国内政治は安定しないで外国人投資家からも見放されていくという読むのが、現時点では最善の見立てかも知れない。

結 論

日本株市場を取り巻く状況(つまりは日本経済の環境なのだが)は米国の輸入関税発動によって、想定外に大きく変わった。一旦は、今まで描いてきたシナリオを白紙撤回した方が良さそうだ。つまりリバウンドはそう簡単にはもう起こらない。

日経新聞の今朝の朝刊(総合2)には「経済官庁幹部は「農業の市場開放の圧力を強めたり、日米の自動車の貿易を巡って譲歩を求めてきたりするシナリオも想定する」と話す。トランプ氏が熱心な米国製戦闘機の購入要求も再燃しかねない。円安に振れれば、日本が通貨安政策を取っているとの批判を再びトランプ氏が始める懸念もある。米国が求める日米自由貿易協定(FTA)交渉の圧力も高まりそうだ。経済でこじれれば、北朝鮮問題など他の外交課題で日米の連携に影響が出るかもしれない」というくだりがある。正にその通りだ。純粋に経済の流れだけを考えれば、為替は円安に動く筈だ。だが、それさえも「恣意的だ」と取られてしまうかも知れない。

今、日本は大きな国難に直面している。森友学園問題などで長閑に”政治ごっこ”をやっている場合では無いというのが現実だろう。だが、それを”世論”に正しく伝える野党もマスコミも残念ながら殆ど存在しないことだけが悔やまれる。