来週以降の日本市場をどう見るか?上か下か?

今週の米国3市場は結局3指数揃って前週末の終値を上回る水準に戻して引けた。一方で、株価動向に波乱を齎した債券利回りは、10年債利回り2.87%と週初とほぼ同じ水準に低下して終わった。米国株式市場の動きを如実に反映する日本株市場を考える上では、来週以降の米国株式市場の動きをどう見るかは重要なポイントとなるが、以下に説明するように、割と楽観的に見ているのは事実。

景気過熱抑制のための金利上昇とは今は違う局面

先月から始まった金利上昇懸念による株式市場のアップダウンの増幅だが、金利上昇と株価との関係について、金利上昇がマイナスに作用するのは、景気を抑制するために金利上昇が始まった時(市場が催促する時もあるし、中央銀行が率先する時もある)であり、足元の状況のように、デフレから脱却出来そうが故に異常な超金融緩和状態を解除しようという思惑の中での金利上昇とは訳が違うということはあらためて再認識しておくべきだ。まだ株式市場にとって本質的に悪い金利上昇ではない。

FRBが考える中立フェデラルファンド(FF)レートは2.8%

現在足許のFFレートは1.41%で金利誘導目標は1.50%である。一方、FRB当局者が考える長期の中立フェデラルファンド(FF)金利を2.8%であり、それは現在の10年債利回りとほぼ同じ。週末の終値は2.87%なのだから。敢えて言うまでも無く、本来長期金利の方が短期金利よりも高いのが正常な状態であることを踏まえると、この中立FFレートから逆算される10年債利回りの適正な水準は、少なくとも現状よりも上であり、それは2.8%をわずかに上回る3%程度の話では無い。逆に言えば、3%を超えてきたらWarningと言う考え方はあまりにビビり過ぎと思われる。

NYダウの過熱感はほぼ消えつつある

下記にNYダウの過去5年間のチャートを引き合いに出し、トレンドラインを引いてみた。ご覧いただける様に、赤丸で囲んだ部分の「ちょっと先走って勢い余ったかな」というはみだした部分は概ね調整され削げ落ちたと言える。

賢者からは、市場動向を僅か30銘柄からなるNYダウで見るのはおかしい、適切な指標はS&P500だという声が聞こえてきそうだが、市場のセンチメントを見る時は、理屈ではなく感性なので、米国市場ならばNYダウ、日本市場ならばTOPIXではなく日経平均が妥当だというのが私の考えだ。このチャートによれば、NYダウは過去5年間の大きな右肩上がりのトレンドにほぼほぼ回帰し、勢い余った部分は剥げ落ちたと見て取ることが出来る。故に株価の将来動向を見るべき時に気にすべきは、この先もこのトレンドラインが生きているのかどうかだけの判断だと考える。

ハイテク株の未来が気になる人も多いであろうからNasdaq総合の同期間のチャートを下記に示すと、実は「勢い余った部分」というのは殆ど無いことが分かり、順当にトレンドの上を走っていることが分かる。

2016年にトレンドを暫くの間下方乖離した状態が続く時があるが、結局はそれも取り戻している。実はS&P500の描いているラインも殆どこれと同様になるので、念のため下記に示す。

これらから明らかなことは、米国株式市場については、センチメントの過熱感はほぼ払拭されたということである。あとは、前述のように金利上昇についてどう考えるかということだけだ。

米国経済が強いから、超金融緩和の異常事態から抜け出せる

このトレンドが続くかどうかの議論であるが、私は続くと考えている。それは取りも直さず、株価の原点は企業収益であり、それが増加傾向にあるからだ。またその増加傾向は、大型の法人減税のおかげや、今年は中間選挙の年であることを考えると、続くと考えるのが常識的なセンスだと思われる。そうした事を背景とするからこそ、FRBは異常な超金融緩和状態から抜け出せるのであり、何回利上げしようかという議論が消えないのである。やっと離陸を始めた段階で、スロットルを絞れと指示する機長も居ないだろう。あっという間に失速して滑走路に叩きつけられてしまうのだから。米国経済のフェーズは、正に離陸開始の段階である。

気になる地政学的リスクは消えていない

グローバル経済のファンダメンタルズについて、過去のアジア通貨危機などを引き合いに出して、異常な債務が膨らんでいるというペシミスティックな見方があることは充分に承知しているが、新興国の中央銀行も、企業も投資家も学習する能力があるということを侮り過ぎてはいけない。つまり同じことが再現されると煽ることは自由だが、全く同じケースが再現されることはまずないということだ。

ならばこの先のリスクとして何があるかと言えば、やはり地政学的リスクだけは気にしておかなければならない。北朝鮮問題、トルコとシリア情勢、そしてサウジアラビアとイラン情勢だ。取り分け、北朝鮮情勢についてはピョンアン・オリンピック後に、米国空母が6艘が朝鮮半島近海に集結する予定という穏やかならぬ話がある。今年は米国中間選挙の年であり、トランプ大統領が何を考えているのかは非常に推測し難い。私は従来より、こうした国際情勢について、日本のメディアによる報道、それにより作られる日本国内世論を殆ど信じたことが無いが、少なくとも何かが起こるまで安穏としていられる日本国内世論ほど、今は呑気なものは無いと思っている。常に警戒感は保持してアンテナだけは高くしておいた方が良い。

日本株の見通しは、当面米国株次第、つまり上向き

このブログで何度も繰り返してきた通り、日本株の動きには残念ながら自立性は現状ない。基本的には米国株式市場のミラー相場だ。どうしてそうなってしまったかを今更言っても仕方がないが、米国の経済指標を自国のそれと同等以上に気にする今のような時は、過去30年以上を振り返って、今現在が一番だろう。更に、パッシブ運用全盛という背景にも関わってくるが、マクロと言われる経済指標を株式市場がこれほど気にした時も無い。本来、株価はそれ自体が景気の先行指標であるべきなのだが、今はそうなっていない。

話を元に戻して日本株の見通しであるが、米国株式市場の動向に大した不安材料がない今、つまり金利上昇がある程度あったとしても、本来的に株価にマイナスに影響する金利上昇とはまだ言えず、更に株式市場のセンチメントとして”過熱感”となるような部分は削げ落ちた今、米国株式市場の上昇に合わせて、再び上昇傾向となるだろうと見て大丈夫だと思っている。

ただまだボラタイルな状況は続くであろうし、地政学的リスクについては、常に細心の注意を払う必要があるのは言うまでも無い。最後に、日経平均株価の過去5年のチャートを米国3市場のそれと同じように以下に示す。これで見る限り、完全に過熱感が剥落しているとは言い切れないのは残念であるが、それは日柄が調整してくれるだろう期待したい。